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子無し奴隷から見た子持ち様:産休クッキー問題の深層
2024年のネット。
産休クッキーというワードが流行りました。
そして子持ち様というワードも流行りました。
産休クッキーはビジネスに関するワードです。
子持ち様はビジネスだけのワードではありません。
しかし子持ち様というワードもビジネスに持ち込んでみましょう。
「産休クッキー+子持ち様」は「働く子持ち女性」をイメージします。
そして「産休クッキー+子持ち様」は2024年版「仁義なき戦い」をイメージさせます。
おっと。
自己紹介が遅れました。
45才公務員👉無職おじさんの「ありのこ」です。
2023年に潰瘍性大腸炎という病気(=難病)のため国家公務員を当てもないまま退職に追い込まれました。
〇〇省勤務ではなく出先機関に20年以上勤務していた事務系公務員でした。
公務員の世界はガチで男女平等です。
男女平等の役所を20年以上過ごした経験から描く「子持ち様vs子無し奴隷」の争いを書きます。
最初に書いておきます。
今回の話は悲惨で救いがないです。
・働く子持ち女性がひどい目に遭っていた時代(2001年のリアルな話)
国家公務員試験はおもしろい試験です。
国家公務員試験は人事院が実施します。
国家公務員になるためには人事院が実施する試験を通らないといけません。
さらに希望する官庁から内定をもらわないといけない。
「国家公務員試験だけ通っても意味がない」という意味で変わっていておもしろい試験です。
希望する官庁から内定をもらいに行くことを官庁訪問と言います。
民間企業に採用してもらおうと思ったら面接を受けに行きますよね。
それと同じです。
行きたい官庁に面接に行きます。
たいていは何度か面接を受けて内定をもらう形です。
私が就活をしていたのは2001年。
私はある出先機関へ官庁訪問に行きました。
面接を受けるためです。
そこの出先機関からは内定をもらえませんでした。
私とのご縁がなかった官庁なので官庁名は伏せます。
その出先機関で人事を担当している方とお話する機会がありました。
人事を担当しているだけで面接担当ではありません。
50代の男性公務員です。
その公務員の方と何人かの就活生たちが雑談をする感じでした。
その50代男性公務員の方は一時的に本省に行っていたことがあるそうです。
本省とは「〇〇省」のこと。
財務省とか総務省とか文部科学省とか。
50代の男性公務員はおそらく人事交流で本省に行ったのだと思います。
そして話の中で次のようなことをおっしゃいました。
女性キャリア官僚が子育てしながら働けるなんてウソ。
自分の親に預けっぱなしじゃないとムリだよ。
私が勤めた出先機関でそんなひどいのは見たことがありません。
しかし多くの民間企業では本省の女性キャリア官僚のような状態だったと思います。
つまり
女性が妊娠したら「退職する」か「出産後、親や義理の親に子どもを預けっぱなしにして他の人と同じレベルで働き続ける」か、この2つしか選択肢がなかった。
これが2001年の現実。
「さすがにそれはひどいだろう」と。
「子持ちの女性でもバリバリ働ける環境を!」と20年以上かけて改「善」してきました。
そして2024年になり・・・。
・子持ち様の権利が確立され、配慮もされるようになった(2024年のマクロな話)
多くの職場で妊娠・出産した女性たちへの権利確立が進みました。
権利があっても使えない状況が長い間(=20年以上)続いてきましたが、状況は大きく改「善」されてきました。
権利だけではなく「妊娠・出産した女性たちには配慮しましょう」とまで世の中は改「善」しました。
では子どもがいない労働者たちにとってそれは改「善」だったのでしょうか?
妊娠・出産する女性がいる職場で起こりそうなことを考えてみましょう。
リアル男女平等役所勤務歴20年以上から導き出した「ありそうなこと」です。
・そして子持ち様になって帰ってきた!(2024年のミクロな話)
「この職場で産休・育休に入る女性がいる」と話が回ってきました。
同じ職場の人たちは「1人欠員ですか?仕事が回らないですけど?」となります。
日本の職場ではほとんど余剰人員を抱えていません。
余計な人手はいない、ギリギリの人数しか雇いません。
経営者はケチだから。
人事担当の偉い人が言います。
「大丈夫だよ。別にもう1人雇うから」
この「大丈夫だよ」は本当でしょうか?
みなさん、ご経験の通り「大丈夫ではありません」。
なぜならばその人は産休・育休に戻ってくるまでの一時的な人員だからです。
一時的なので産休・育休に入った女性が戻ってきたらまたその人はいなくなってしまいます。
いなくなることが決まっている人に誰かが仕事を教えないといけません。
誰もがギリギリでヒーヒー言っている状況なのに、誰かが代わりに来る人に仕事を教えないといけません。
「誰が教えるの?」
無言の押し付け合いが起きます。
で、結局は誰かがやらないといけません。
誰かが負担をかぶることになります。
代わりの人が来てくれました。
最初は教えなければいけなかったけど、仕事を覚えるのがすごく早い。
そして優秀!
産休・育休を取った女性よりデキるじゃん!
良かった、良かった。
約2年後・・・。
産休・育休を取っていた女性が戻ってくるという。
育休明けの復帰。
ということは・・・優秀なこの人はいなくなってしまう・・・。
話を聞くと優秀なこの人は「ほんとうは正社員で働きたい」そうだ。
複雑な心境になる職場の人たち・・・。
そして産休・育休明けであの女性が戻ってきた。
「この人に誰が仕事を教えるの?」
2年も経てばシステムなど変更されていることもあります。
今は世の中の流れが速いですからね。
また無言の押し付け合いが起こります。
結局は誰かがやらないといけません。
誰かが負担をかぶることになります。
帰ってきた女性は子持ち様になっています。
残業はできません。
短い時間の勤務にしてください。
子どもが病気なので午後は帰ります。
周りの人たちは思います。
「周りの人たちがまた負担するの?」
「僕が子持ち様のためにマイナスを食らうの?」
「私が子持ち様のために我慢するの?」
子持ち様もこの点はさすがに申し訳なく思っています。
さらに周りの人たちは思います。
「はぁ????お前の代わりに来てくれたあの優秀な人に戻ってきてほしいよ、マジで」
そんな周りの人たちの気持ちまでは天下無双の子持ち様は知る由もありませんでした。
これは私が考えた事例です。
ただしかなり最「悪」な例です。
実際には代わりに来てくれた人が優秀とは限りません。
また2年も産休・育休を取るとも限りません。
でも、かなり良い線を言っているストーリーだと思います。
リアリティラインはクリアーしてませんか?
・子無しども そこのけそこのけ 子持ち様が通る(2024年 そう見える)
子持ち様への配慮は一方的です。
お互い様になってない。
一方通行。
職場にはお互い様になっていおらず一方的にマイナスを食らい続けている人たちがいます。
子どもがいない人たちです。
正確には「子どもがいない&配慮がいらない人たち」です。
職場には他にも配慮が必要な人たちがいます。
親を介護している人たち。
そして私のような病人たち。
こういう配慮がまったく必要がない人たちがずーーーーーーーーーーっと不利益を被り続けます。
人手不足なのに余計な仕事を割り振られる。
残業は増える。
大変な部署に異動させられる。
などなど・・・
数えきれないほどのマイナスを食らい続けます。
挙句の果てに「子持ち様にはマイナスを食らわせてはいけない」となっています。
法律でそうなっているのです。
難しく言えば「不利益な取り扱いをしてはいけない」と言います。
産休・育休復帰後の子持ち様だからと言って昇給を遅らせたり、出世を遅らせてはいけない。
これにて子持ち様たちの職場環境は改「善」された。
一方的にマイナスを食らい続けている人たちにはご褒美なしですか?
プラスになることは無しですか?
これって子持ち様以外にとって職場環境の改「悪」ではないのですか?
・子無し奴隷 そこのけそこのけ お子持ち様が通る(2024年 そう見える)
「職場には他にも配慮が必要な人たちがいます」と書きました。
しかし残酷な現実は「職場では子持ち様が配慮すべき最上位にいる」なのです。
なぜ子持ち様が配慮すべき最上位にいるのか?
2つの理由が考えられます。
①子持ち様の人権確立は長い歴史がある
②子どもがいることは社会的に素晴らしい(少子化社会)
①子持ち様の人権確立は長い歴史がある
最初に書いた女性キャリア官僚の話を覚えているでしょうか?
子どもを自分の親に預けてバリバリ働く、これしか選択肢がなかった話です。
これは2001年の話。
ここから子持ち女性の権利確立に20年以上の歴史があります。
では介護離職はどうでしょうか?
親の介護をする労働者の問題。
社会的問題になったのは子持ち女性よりずっと後だったはずです。
子持ち様の権利獲得の歴史に比べてかなり短い。
なにごとも「歴史がある」ことが尊ばれるのです。
②子どもがいることは社会的に素晴らしい(少子化社会)
誰でも知っているように日本は少子化に悩んでいます。
だから「日本にとって子どもを作ることは尊い」。
日本全体のマクロの視点では「子持ちは正しいこと」。
だからみんな反論しにくい。
不満があっても黙り込むしかない。
子持ち様TUEEEE!(つえぇぇぇーー!)状態です。
子持ち様無双。
「①子持ち様の人権確立は長い歴史がある」+「②子どもがいることは社会的に素晴らしい(少子化社会)」の見事なコンビネーションにより「子持ち様が配慮すべき最上位に君臨する」ことになりました。
子持ち様は第2形態・「お」子持ち様に進化したのです。
そしてお子持ち様ではない人たちはみんな子無し奴隷です。
「さすがにそれは言いすぎ!」ですと?
では次は実際に起きた話を書きましょう。
「難病患者の私vsお子持ち様たち」のお話です。
私が潰瘍性大腸炎という難病のために44才にて当てもなく無職になるステキなお話です。
・ある難病患者が退職に追い込まれる お子持ち様たちはだれも退職しないのに(2005年~2023年 本当の話)
私の経歴を書いておきます。
国家公務員として出先機関に勤務していた2005年に潰瘍性大腸炎を発病します。
働いていたら前ぶれもなく急に病気になりました。
潰瘍性大腸炎は原因不明の難病です。
そして2023年に潰瘍性大腸炎のため退職に追い込まれます。
44才。
まったく今後の当てがない状態です。
15年以上潰瘍性大腸炎患者として役所勤めをしてました。
病状は良くなったり悪くなったりします。
病状が悪くなったときは私がかなり配慮される側に回りました。
この点はほんとうにほんとうにほんとうに周りの方々に感謝しています。
しかーーーーーーーーーーーーーし!!!!
15年以上の潰瘍性大腸炎患者だった全期間を振り返ると
私がお子持ち様に配慮した総量>>>>>私が潰瘍性大腸炎患者として配慮された総量
だと思います。
配慮を数値化してみると、です。
私が思いっきり配慮されたのは15年以上の期間のうち5年くらいだと思います。
下手をすれば5年に満たないかもしれません。
(休職期間を含みますが、休職期間は1年未満です)
500倍くらい私が配慮した方が多いように思います。
あくまで体感であり、自分に甘いかもしれませんが。
私が難病患者として配慮されるよりも私がお子持ち様たちに配慮する方が500倍多かった
どう考えてもステキなくらい収支が合ってませんよね?
お互い様ですか、これ?
お子持ち様に配慮していたときの私は病状がマシなだけで配慮が必要な人間ですよ。
でもね、、、やっぱりお子持ち様が配慮すべき最上位に君臨してるですよ。
子持ち様たちに配慮した難病患者が44才で退職に追い込まれます。
難病持ちの44才おじさんが当てもなく退職に追い込ました。
「人生詰んだ」です。
あ!
言い忘れてましたが私は「ぼっち」です。
結婚歴もありません。
彼女も子供もいません。
一人っ子なので兄弟姉妹もいません。
孤独死まっしぐらです。
ほんとうにステキな残りの人生ですよね(最上級の皮肉)。
他方、私が難病を抱えながら配慮した(ということは私もマイナスを食らう)お子持ち様たちで退職したなんて話を聞いたことがありません。
1人たりも。
お子持ち様のせいで退職したわけではありません。
だからお子持ち様を責めるのはおかしいですか?
しかし私は人間です。
感情があります。
お子持ち様たちに告ぐ
子どもがいるのは子どもができる行為をしたんですよね?
あなたの選択でしょ?
私が潰瘍性大腸炎患者になったのは、不摂生をしたからではないですよ。
原因不明の病気ですから、私の選択ではない。
それでも私が配慮し続けたお子持ち様は働き続けることができて、お子持ち様たちに配慮されなかった私は退職に追い込まれた。
マジでこれってどうなの?
私が残りの人生を気分よく過ごせるとほんとうに思いますか?
これは合理性ではなく感情の問題です。
・産休クッキーが炎上する 合理性ではなく感情の問題(2024年の日本)
ここでやっと最初に少しだけ書いた「産休クッキー」の話です。
産休クッキーは「産休をいただきます。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」と書かれたクッキー。
産休に入るときに配るためのクッキーのようです。
私は産休クッキーを知りませんでした。
この産休クッキーがSNSで炎上したそうです。
産休クッキーに「キィィィィ」となってしまうのは合理性ではなく感情の問題です。
お子持ち様だけが配慮される最上位に君臨。
自分を含めた子無し奴隷たちがマイナスを被ってきた。
この「お子持ち様による地獄」が繰り返されてきたのです。
過去の忌まわしき記憶があるなかで産休クッキーをもらったら、「産休クッキィィィィだとぉぉぉぉふざけるなぁぁぁぁ」となる人も出てきちゃう。
もちろん、人によりますよ。
産休クッキーをもらって素直に「おめでたぁぁぁぁ!!おめでたぃぃぃぃぃ!!」と思う人だっているでしょう。
感情は人によって違いますから。
ちなみに私が前の職場で産休クッキーをもらったとしたら・・・・
ぜーんぜん怒りません。
あれだけお子持ち様をぼろクソに言っていたのに意外ですか?
だって合理性ではなく感情の問題ですから。
ただし「お子持ち様vs子無し奴隷~20年以上の仁義なき戦い」の解決は合理的にしないといけません。
感情で争っても意味がない。
しかし合理的に解決するのは無理です。
少なくとも現場にいる労働者たちには解決できない。
・そして労働者たちが逃げ出した(2024年のマクロな話)
21世紀の日本は労働者たちを痛め続けてきました。
20年以上にわたって労働者をボコボコにしてきました。
公務員は人員削減の20年でした。
で、人手不足です。
多くの民間企業も同じでしょう。
経営者は人件費を少しでも削って利益を上げる。
「この経営こそがデフレ時代の合理的経営だ」という風潮でした。
役所だろうが民間企業だろうが人員に余力がなくなっています。
余力を無駄と言ってはいけません。
普通の時に余力があるから非常時に業務がきちんと回るのです。
非常時とは災害とかコロナパンデミックの場合もあります。
そして労働者がケガをした場合、親を介護せざるを得なくなった場合も非常時です。
もちろん女性がお子持ち様になる場合も非常時です。
人件費をケチって平時に余力がない人員しか雇わないから「お子持ち様vs子無し奴隷の仁義なき戦い」が勃発し続けてしまいます。
「人件費ケチケチ労働者痛めつけ経営」の結果はどうなったのか?
日本全体で労働者たちが逃げ出しました。
たとえばバスの運転手さんが足りないと騒いでいます。
バスの運転手さんにちゃんとした給料を払っていますか?
変なクレーマーから会社は運転手さんを守ってあげましたか?
「お客様は神様です」などと言って運転手さんたち(=労働者)をほったらかしにしていませんでしたか?
今や公務員からも若者たちが逃げ出しています。
「もう人員を増やすしかないでしょ?」という話です。
「経営者の皆さま、デフレではなくインフレになったんだから経営を変えましょう」と。
普通の時に余っている力は無駄じゃない。
余力は省くべきものではない。
余力がある人員確保。
「お子持ち様vs子無し奴隷の仁義なき戦い」を解決するただ1つの方法です。
しかしこれは残酷で救いがない話です。
だって現場にいる労働者たちにはどうしようもない話です。
そして今日からいっせいに日本中の経営者たちが「どんどん人を雇うぞ」とはならない。
つまり「お子持ち様vs子無し奴隷の仁義なき戦い」を速攻で終わらせる方法はないということです。
だから「今回の話は悲惨で救いがない」とnote記事の最初に書いたのです。
今回のnote記事はかなりエグイ話だったと思います。
前回のnote記事は「産休クッキー」を取り上げています。
実は前回のnote記事の方がエグく、救いがない話です。
「産休クッキーが炎上したのは合理性ではなく感情の問題」という話なのですが、今回の話よりかなりセンシティブな内容でした。
だから誰でも文字で読める状態にするのは避けました。
有料記事にしました。
もし興味があれば前回のnote記事もお読みください。
「さすがにお金を払うのは・・・」という方は無料の音声配信を用意しました。
無料の場合は音声配信がギリギリの内容だと判断しました。
興味があればぜひお聴きください。
今回のnote記事は以上です。
かなり一方的な過激な内容でした。
「みなさんがお子持ち様問題について考えるきっかけになれば」と思い切って書きました。
そしてなにより、7000文字以上のながーい文章を読んでいただきありがとうございました。
ちなみに産休クッキーってAmazonで買えます。
今はなんでもAmazonで買えるんですね。
すごい。
産休クッキーは話題になったになったので実物を見てみると良いかも。
Amazonでは4.3点と高評価です。
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![公務員👉無職おじさん/ありのこ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111528997/profile_355a5c58b5c1855924cea23043242130.jpg?width=600&crop=1:1,smart)