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[読書記録]人間図書館という考え方

本を読んだ感想ですが、最後の項目は感想とずれています。

人間図書館とは

人間図書館とは、図書館で本を借りる感覚で人間を借りるというものらしい。30分間、人を借りて話す機会を得られ、自分が普段関わることができない人種や宗教の人と関わることができるというものだ。
自分のコミュニティー以外の人と話すことで偏見を減らすことに繋がる。あまりに大きい事柄だとは自覚しているが、自分の固定観念から外れることができる人が増えるほど、世界は平和になると思う。

人間図書館を知ったきっかけ

ナ・ジョンホさんの「ニューヨーク精神科医の人間図書館」という本を読んだ。この序章において、人間図書館について触れられている。
この本は様々な精神病にかかっている人の人生を紹介するというものだった。読んでいて、ハイライトをしたところを紹介していく。

悲嘆への向き合い方

「たとえ愛する人を亡くしたとしても、人生には生きる価値があり、この世界は意味のある物だ」「悲嘆とは喪失の後に経験する、愛のもうひとつの姿なのである」
愛した人を失ってしまった後に、生きる価値がないと思ってしまう人もいる。でも、生きていかなければならない。
愛していたからこそ、悲嘆する。
それだけの関係性を築き上げたんだ。
愛のもうひとつの形という言葉があまりにも美しい。

レイシスト

白人至上主義(レイシスト)の人が、自分の命を救ってくれた有色人種の医師が部屋から出ていった瞬間、激しい怒りと、国に帰れとう言葉を発したエピソードがあった。それに対して著者は、
「いままで一体どんな経験をしたがゆえに、命の恩人に感謝の言葉さえ伝えられない人間になってしまったのだろうか」
と記している。
本当にその通りだなと。反面教師としてこのような人になりたくない、という気持ちと。命を救ってもらってでもなお、感謝したいという気持ちが芽生えない程の嫌悪感が作り上げられてしまった社会的背景が気になった。
このレイシストの人の思考回路も、人間図書館を通じて聞いてみたいものだ。

恐怖と勇敢

アーモンド(偏桃体)を取り除いて、恐怖を感じなくなった女性。
自分の感情を大事にしつつも、配慮のできる人だったらしい。その女性を通して、筆者が思い出した映画のセリフは
「人は想像力があるから卑怯になる。想像をしなければ勇敢になれる」
その通りだなと。
私もこう動いたらこのような反応が帰ってくるかも、このようにしてもらうことができるかも、、などと想像した上で自分自身にとって一番都合の良い者を選ぶ。それが卑怯に繋がることがあれば、どうして卑怯と分かっていながらその選択を選んだのだろうと責めてしまう。自分が卑怯側に立ってしまっていないか振り返るようにしよう。勇敢でいる方を選ぼうと思う。

共感とは

共感は自分が経験したからこそできるのだろうか。
第二章がその問いへの答えとなるエピソードが紹介されている。著者の考えはぜひ本を読んで知ってほしい。
共感は簡単だと思ってしまう。自分には共感能力があると思ってしまいがちだ。だが、人の靴を履いて歩くこと、本当にその人の立場に立つことができているのか、その人の視点で物事を見ることができているのか。すごく難しいことで、相手の心に土足で踏み込んでしまっていないか不安になる。
が、共感の能力は身に付けていきたいなと思う。

私の大学の先生は非常に共感能力が高い。寄り添ってくれる。でもその直前に何があって、何がきっかけで苦しくなってしまったのかをまずは丁寧に聞いてくれる。これが大事なんだろうな。自分の感情を出さずに、淡々と聞いてくれる。
私は自分の視野の範囲から外れた方とお話をする際、大きく驚いてしまう気がする。朝井リョウさんの本を読んでいて、「否定も肯定もしない主人公との居心地がよくて、話したくなってしまう」というような描写があった。
そのような居心地の良さを提供できるようになりたい。
肯定することと、受け止めるということは大きな違いがあり、共感は受け止めると似ていると思う。

依存症と意思

自分の意思の弱さに落ちこんだり、責めてしまったりする。そして周りの人に失望されるだろうと想像してしまい恐くなる。
健常者の人からすると、精神疾患や依存症の人の症状は、意思の弱さだと思われてしまうかもしれない。健常者の人ではなくとも、精神疾患を患っている自分自身ですらそのように思ってしまう。責めてしまう。
でもそうではないと、精神科医が言ってくれている。
根性論の押し付けはやめてほしい。

自殺

最後の章が自殺についてだった。私の周りに一人自殺未遂をし、措置入院になった人がいる。その人を思い出した。依存が意志の弱さだとすると、自殺は選択だと思われてしまう。
だが自殺も、選択ではなくて、それしかないと思い続けた結果である。
どうか暖かく受け止めていきたい。

この本は読んでいて、すごくしんどくもなる。
無理せず、でも読んでほしい一冊。

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