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僕の心の中には”悪口”を入れるゴミ箱がある|私の価値感で感じ、動き、私の目から視えた世界
「僕の心の中には、”悪口”を入れるゴミ箱がある。ゴミ収集車が3日に一回だけやってきて、ゴミを持って行ってくれる。でもいつも3日目にはゴミ箱がパンパンで苦しくて、だからその時の僕はイライラがどうしても止まらなくなるんだ」
これは現在小6の息子が、小2の時に私の前で突然放った言葉です。
私はそれを聞いて、「へ? なにこの言葉? 詩人?!」と、正直ポカーンと固まった。
それは、私自身が「あれやりたい! これはイヤ!」と、自分の気持ちをそのまま伝えられる、いかにも子供らしい子供だったからであり、まだ小2の小さな子から、こんな言葉が出てくることが想像すらできなかったからです。
息子は真面目で優しく、大人しいタイプの子。
幼稚園の頃から、友達から嫌なことをされても言われても、先生にそれを伝えることを一度もしたことがありません。
私から先生に伝えると言っても「そのせいで〇〇くんが怒られるのが嫌だから絶対に言わないで!」と口止めされてきました。
それでは何も解決せず、息子は幼稚園から小学校4年生まで「首振り」「口を突き出す」「目をぱちぱちする」「鼻を鳴らす」といったチックの症状がとてもひどく、外で溜まる鬱憤は、すべて下の娘(妹)にぶつける日々でした。
私は兄からイライラをぶつけられ傷つく娘を守らなければならず、かといって長男の気持ちを思うと一方的にきつく叱るということも難しく、対応に悩んでいた時期がありました。
冒頭の言葉を聞いたときに「明らかに自分とは違うタイプだ!」と強く感じたため、息子のような子にはどのような対応が望ましいのか?
同じく繊細なタイプの姉に相談してみることにしました。
姉は「よくわかるよ」と言って、ひとことだけ。
「『いつもあなたを見ているよ。見守っているよ』と、伝え続けてあげるだけでいい」と、教えてくれました。
息子の攻撃対象であった下の娘は、生まれながらに「幸せの達人」であり、目の前で起きることも、自分自身のことも、ほぼ良い面しか見ない。
口ぐせは「私って、すごすぎて泣いちゃう」
一瞬悪いことが起きたとしても、それを決して引きずることがなく、瞬間湯沸かし器のように「ギャー―!」と大声で泣いたと思えば、すぐに別の楽しいことを考えられる子でした。
「私がお兄ちゃんにいじめられてるのに、お母さんはお兄ちゃんを全然怒ってくれない!!」
そんなふうに「自分は兄より大切にされていない」と、娘を傷つけているのではないかと悩みながらも、
兄を厳しく叱りつけない理由を知ってほしくて、長男をできる限り感情的に叱らず静止させるのと同時に、娘には兄の持つ苦悩を説明し続けました。
「イライラって何?」「悩むってどういうこと?」
と、何事も引きずらない娘には兄の苦悩がわけわからない様子でしたが、私が息子を強く叱らないことについては「まぁいいよ」と言って認めてくれたことが、私にとっては本当に救いでした。
一度お風呂の中で「兄と自分、どちらが大事にされてると思う?」と率直に聞いてみたことがあります。
その問いに「え!?そんなの私に決まってるでしょ♡だって私は、すごすぎて泣いちゃう子なんだから♬」と、当たり前のように答えてくれる子です。
そんな娘のおかげで息子の危機を乗り越えられたことに、本当に感謝しかありません。
自分の気持ちを友人になかなか伝えられない長男でしたが、小4から始めたオンラインゲーム「フォートナイト」のおかげで、自分に自信を持ち、嫌なことはイヤと言える子に劇的に変化しました。
面と向かっては伝えられなかった自分の気持ちを、学校の友だちに対しゲーム中の会話で少しずつ伝えられるようになってきたのです。
「お前、ゲームと学校で性格が全然ちがうよな!」と、友達にからかわれながら、息子はリアルでも嫌なことはイヤと言えるようになりました。
また、息子はゲームに対して抜群のセンスを持っており、友人達に一目置かれるようになったことも、息子の心の成長に大きく貢献してくれました。
フォートナイトは本来「15歳以上」の年齢制限があります。
小学生がそのゲームをすることに賛否両論あると思いますが、4年以上続いたチックの症状が改善したのは、完全にフォートナイトのおかげでした。
「俺は高校生の間にフォートナイトで世界一位を取る!!」
夫を説得し、ゲーミングPCを買い、息子がフォートナイト世界一の称号を手にすることを、今は家族で応援しています。
チックが改善した息子に、また新たな試練がやってきました。
小4の途中で引っ越してきた、Kちゃんという同じ通学班の女の子から、突然後ろから蹴られたり、「うざい! キモイ!」と悪口の嫌がらせを受けるようになりました。
5年生になり、Kちゃんと同じクラスになったときはすごくショックを受け、そこからは教室ですれ違うたびに「ウザい!私に関わってくるな」などと悪口を浴びせられていたようです。
息子はKちゃんとの出来事を毎回話してくれましたが「俺はまだ大丈夫だから先生には言わないで」と言い続けました。
息子と一緒に「Kちゃんは何が辛いんだろうね」と話すとともに、「Kちゃんにどんな事情があったとしても、それはあなたが攻撃されていい理由にはならない。あなたが我慢する必要は一切ない。いつでも学校に乗り込んで助けるから」と伝え続けました。
5年生の一年が終わるころ、Kちゃんの気持ちに何か変化があったのか?
今までの嫌がらせがウソのようになくなり、普通にゲームやYouTubeの話をしてくるようになったのです。
息子は嬉しそうに「最近Kが俺に仲良く話しかけてくるようになったんだよ!」と、毎日報告してくれるようになりました。
今まで散々自分を苦しめてきたKちゃんをそのまま受け入れ、仲良くできたことを喜ぶ息子を、本当に誇らしく、すごい子だなと思いました。
「僕の心の中には”悪口”のゴミ箱がある」
息子は自分の経験から、Kちゃんの心の中のゴミ箱がしっかりと見えていた。
そしてそのゴミ箱がいっぱいで苦しい時の気持ちも、きっと理解できていた?
少なくとも、理解しようとしていたのだと思います。
☘
ここまでの話を読んで、どの部分により注目し、どんな感想を持たれたでしょうか?
私が書いたこの記事は、世の中の「いじめ問題」について、こうであるべき、こうするべき、と何かを訴えかける意図は一切ありません。
上の文章は、我が家で起こった出来事を”私視点”で書いた、ただのエピソード紹介だとご理解いただけたら助かります。
私の視点からはこのように見えましたが、「息子」「娘」「Kちゃん」の視点に立てば、また違った世界があると思います。
そして、今ここまで読んでくださった方が、この文章をどのような視点から眺め、何を感じたのか? 私には全くわかりません。
「息子さん、すごいね。偉いね。」と褒めてくれる人もいるかもしれません。
「キレイごとを言ってイジメる側を美化している」と感じた方もいるかもしれません。
「息子がKちゃんを理解しようとした」という私の解釈を「それはあなたが自分の都合よく見ているだけ。他人に配慮するより、息子さんをまず心配してほしい。」と思った方もいるかもしれません。
また、私が子どもたちにかけた一言一言に、なにかモヤっとしたものを感じた方もいるかもしれません。
我が家がフォートナイトを容認していることを「ルール違反だ!」と、そこに注目した方もいるかもしれません。
私自身、私が今まで生きてきた経験から得た価値観でしか物事を判断できません。
ここに書いた話は、私が「正しい」と信じる行動を取り、私の視点で見た世界の話です。
私視点で感じたそのままを綴った文章を読んだ時、読み手の皆さんがどこに注目し、どこに「ひっかかり」を感じるか?
同じ文章を読んでも、読んだ方の過去の経験によって全然違うと思います。
この記事にオチはありません。
ただ、私の理想として、より多くの人の想いを感じ、理解できる人間になりたい。
様々な立場に立つ人たちの考え方を知っていくことで、他人がとる言動の背景を想像できる人間になりたい。
そうした強い想いがあります。
(誰もが)『より善く生きたいと願っている』
でも、彼らは、そうでもしないとやっていられない人生を歩んできた。
ある方が書いていたこの言葉を見て、心の中のゴミ箱の話を思い出し、記事を書いてみたいと思いました。
私は世の中にいる人たちがどんな立場で何を感じているのか?とても知りたいと思っています。
そのための教科書が、このnoteのタイムライン上に溢れる「書き手の想いが率直に綴られた記事」です。
以前こちらの記事に、整理しきれない想いを綴ったことがありました。
「書き手の想いが率直に綴られた記事」は、誰かを不快にさせたり傷つける恐れや、批判される可能性をどうしてもゼロにできません。
そんな中で、私にこうして何かを考えるキッカケを与え、学びある記事を読ませていただけることに、いつも本当に感謝しています。
私の書いたこの記事で、誰かを傷つけていたらごめんなさい。
その代わりに、たとえ共感ではなくても、どなたかの何か考えるキッカケになっていたら嬉しく思います。
「この言葉も 訳されれば 本当の意味は伝わらない」
「正義の裏 犠牲の中 心には悪魔の子」
「正しさとは 自分のこと 強く信じることだ」
「目に見える現実が全てではない」
「正義とは何か?」
とても考えさせられるアニメ『進撃の巨人』
ヒグチアイさんの歌は、その世界観をとてもわかりやすく伝えてくれています。
曲だけでもぜひ聴いてみてください。
矛盾だらけではありますが、私も自分が正しいと信じる道を、これからも進み続けていきたいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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(おまけ)
昨日の夕飯時に「心の中のゴミ箱の話、覚えてる?」と息子に聞いてみました。
その瞬間に娘がすかさず割り込み、「ソレ覚えてる!覚えてるー!私にはゴミ箱もゴミも一つもないけどね♬」と言いました。相変わらずです。
息子は「ゴミ収集車は週一になったけど、ゴミが満タンになることはない」と言いました。
子供たち二人が心身ともに健康でいてくれることに感謝!
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