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【地中海ひとり旅】チュニジアの青年たち

 混ぜてほしいなんて、これっぽっちも思いませんでした。だって暑いですし、それほどお洒落をしているわけではないとはいえ、服を汚したくありませんから。あとへたっぴですもの。

 それでもわたしが彼らチュニジアの青年たちをしばらく見つめていたのは、ビーチサッカーをする姿が、本当に楽しそうだったからにほかなりません。顔から足先まで砂だらけなのはお構いなしに、彼らは笑いながら、ひたすらボールを追いかけていました。

 チュニジアに来て、気づいたことがあります。こんなにも毎日暑くて強い日差しであるのに、降り注ぐ太陽の光を、わたしはおよそ鬱陶しいとは思っていないのです。それを象徴するに、彼らの奥に光る水面“みなも”のキラキラは、確かに眩しいのですが、目を瞑ったり背けたくなるようなものでは決してありません。

 何度か目の合った3人のうちのひとりの青年のまなざしも、同様に、キラキラしていました。物理的なキラキラではなく、しかし、真夏の午後3時ころの光に照らされたラムネの中のビー玉のような、そんなキラキラ。このビー玉を取って持ち帰り、水を少しそそいだ小びんに入れては、日の当たる窓際に置いておきたいな。

 そんなサイコパスなことを考えてしまうわたしは、きっとこの国の熱気にあてられているのでしょう。どこか陽気でキラキラな、北アフリカは、チュニジアという国の熱気に。

地中海ひとり旅日記より抜粋
in Tunis, Tunisia Feb.2024

この時のフィルムカメラ、めっちゃ熱かったな

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