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チームビルディングから始めるCS向上 ~好循環サイクルを生み出す営業マネジャーの取り組み~

「最初は皆、何をしたらお客様に喜んでいただけるのか、わかっていなかったんです。」
そう話すのはARIのAIチャットボットLOOGUE FAQを始めとする、LOOGUEシリーズのセールスチームを率いるマネジャー K.Noriko (以下、K)さん。
2021年に入社して以来、LOOGUEセールスチームの基盤を作り上げ、1年のうちに開発チームとの連携をスムーズにしました。結果的にお客様から高評価をいただけるまでに成長を遂げた立役者ともいえます。

この記事では、そんなLOOGUEセールスチームの成長を実現した、具体的な施策や成果について、Kさんのお話をご紹介します。

チームのポテンシャルを引き出すために、まず行ったこと

-Kさんがチームにジョインされたとき、どのような状況だったのでしょうか。

チームのほとんどが営業経験も少なく、業界経験も浅い若いメンバーで、お客様に対してはただ一所懸命に機能説明を行っているだけ。一方通行のコミュニケーションをとっていました。私がARIに入社をしたのは、現在の部署ができてから半年くらいの時期。まだ営業部門としての機能が確立できていませんでした。皆必死に頑張っているのは伝わってくるのですが「どうしたらよいのかわからない」という状況だったのだと思います。
私自身も、業界は未経験。IT業界としては先輩にあたるメンバーに対して、何が提供できるか考えたときに、自分の武器はこれまでの社会人経験と法人営業の経験だけでした。でも、それこそがチームに必要なものだと感じたんです。

-まずどのようなことから始められたのですか。

社会人経験はあるものの、営業スキルや知識がまだまだ足らないメンバーが多かったんです。なので、まずは社会人として、営業として、あるべき姿がどういうものか基本的なところから徹底して伝えました。それまでチームがうまく機能していなかったのも、単に「どうあるべきか」という基本を教えられてこなかったから、見本とすべき中間層がいなかったから、という印象だったので。
口で伝えるだけではなく、全ての商談にメンバーと一緒に参加しました。私が商談をするところを見てもらい、商談後にはフィードバックを行って、一緒に行動することを徹底しました。もともと真面目で素直なメンバーが多かったので、こういった私の行動も抵抗なく受け止めてもらえましたし、成長を実感する場面も多くなりました。

次に取り組んだのは、行動目標の設定です。
私がジョインした当初も売上目標はあったのですが、サービスの性質上リードタイムが長く、行動と成果が直ぐに結びつかないため、数字に対する意識がほぼ皆無の状況でした。なので、自分の努力で達成できる数値目標を持つ必要があると考えて、新規商談件数を目標に設定しました。これなら、リードタイムが長い案件でも週単位や月単位で自分が目標を達成できたのか意識がしやすいですし。きちんと追える目標を設定したことで、自発的な行動も増えてきました。

チームメンバーの経験は浅いものの、それぞれに強みといえる良い部分があります。苦手なことを少しでも克服するというよりは、強みを活かせるような役割分担も考えました。例えば、元声優のメンバーには声の良さと話の上手さを生かしてインサイドセールス担当にアサインするなど。結果的にはこういった強みを活かした役割分担も、新規商談件数の目標達成に寄与してくれました。

お客様への取り組みと、その反応

-目標設定と役割分担から始めて、まずはチームの自発性を引き出したんですね。お客様に対してはどのように接点を持たれたのでしょうか。

最初に行ったのは、既存のお客様に対してのヒアリングです。お客様がLOOGUEをどのように利用しどういった点にお困りなのか、どのような課題をお持ちなのか、現状を把握しました。ものすごく基本的なことですけど、改めて確認する必要性を感じました。
それまでは、お問合せがあれば真摯に対応をするものの、そこから一歩踏み込むという動きがとれていなかったですね。お客様の期待や課題をきちんとヒアリングできてこそ、今後のサービス改良や新しい開発は進むものです。なので、まずは「お客様の声を聞くこと」から始めました。

そして商談を行ったお客様や、新たにLOOGUEを導入していただいたお客様に対しては、アンケートを実施しました。初回商談までの流れがスムーズであったかや、営業担当者の対応についてなどです。これらをデータとして蓄積することで、営業活動の課題を明確にし、改善施策を検討しています。アンケートで気になった点は詳細ヒアリングでさらに深堀をしていきます。
そうすることで、営業メンバーも開発部門の担当者も、これまでの経験や予測だけでなくお客様の生の声を元に新しい施策を打ち出せるようになりました。

-お客様側の反応は変わられましたか?

そうですね。まず、感謝されることが増えました。
不具合が発生したという話だけではなく、使用しているうえでの良い感想もいただけるようになりました。
今後こういう機能があると良いであったり、ここがもっと使いやすくなると良いであったり要望をあげてくれるようにもなりましたね。あるお客様は、社内でLOOGUEを利用している方たちの声を集めて、私たちに共有してくれることもありました。
今はお客様とも協力関係を築きながら、サービスの改良を進めていける状況です。

お客様の声を届けることでさらに強いチームに

-開発部門の方にも、お客様の声をフィードバックされたのですね。
反応はどうだったのでしょうか。

それが、ものすごく喜んでいただけたんです。
私がIT業界未経験で入社したので、開発の方たちには勝手なイメージを持っていたんですよね。例えば、自分の技術を黙々と磨く職人さんのような。でもそれは間違いでした。誰よりもお客様の声が欲しかったのは、開発部門の方たちだったのかもしれません。

それまでの営業チームは、何か不具合が発生した時だけ開発部門にフィードバックを行うような状況で。ネガティブな話しかあがってこないのであれば、開発側も営業からの話を聞くことに、積極的にはなれないでしょう。営業メンバーがお客様の声を聞くようになってから、期待することや具体的な要望、活用状況なども届くようになったことで、開発側も営業の言葉をポジティブな気持ちで聞いてくれるようになったと思います。営業と同じように、開発メンバーもお客様が好きなんです。好きな人の言葉は聞きたいですし、聞けると嬉しいですよね。なので、これからも開発部門の方たちには、お客様の声を積極的に届けていきたいと考えています。

数字として見える成果だけでなく「信頼」という目に見えない成果も

-チームに対してだけでなく、お客様との接点の持ち方についても、様々な施策を打ち出してこられたのがよく理解できました。
LOOGUEチームがものすごく成果をあげていらっしゃるとはよく社内でも耳にするのですが、具体的なところではどのような成果を感じていらっしゃいますか。

具体的な成果として、数字面ではまず商談数が前期の2倍になりました。受注件数は4倍です。サービスの改良スピードも速くなったと感じています。
そして、数字では見えない部分にも成果は出ています。
毎週、LOOGUEの開発、営業の間でミーティングの時間を持っているのですが、そのミーティングの雰囲気が変わりました。一緒にサービスを良くしていこう、という空気がより強くなったと思います。開発も営業もまず「お客様中心で考える」という気持ちが一致しているとお互いに理解し合えたのが大きいですね。同じ方向を向いて一緒に考えよう、という雰囲気ができました。

社内の他チームとの関わり方も変わってきています。
とあるコールセンター関連のプロジェクトで、チャットボットが絡んだご相談が発生しました。そのときに、顧客対応の面でLOOGUEチームにもサポートを依頼したい、という相談があったんです。大事なお客様に対して、普段関わりのないLOOGUEチームにもサポートを依頼してもらえたのが、ものすごく嬉しくて。これって、信頼されていないと難しいじゃないですか。LOOGUEチームが社内での信頼を得ることができたのも、数字では見えない成果の一つです。

社内全体に好循環を広げていきたい

-行った施策がそれぞれ良い結果に結びついたと思いますが、うまくいった秘訣はあるのでしょうか。

お客様を最優先において、施策を実行したことだと思います。
結果的に、お客様からのフィードバックが増え、それを社内に戻すことで開発部門とのコミュニケーションも増え、営業担当者も目に見える形で変化を実感することで自信につながる。それにより、プロダクト自体も更に改良が進み、お客様に対してより高い価値をご提供できるようになります。まずお客様を一番に考えることで、メンバーの成長、プロダクトの成長という好循環を生み出すことができました。

-今後の目標や新たに考えていることなどはありますか?

今行っていることを継続していくことで、会社全体へカスタマーセントリック(※)な考え方をこれまで以上に強めていきたいと思います。LOOGUEチームがそのモデルケースになると嬉しいです。

チームとしては、メンバーそれぞれが周囲に影響力を発揮できるようになってもらいたいですね。私の発言が100%になるのではなく、チーム全体で議論を行って、多様な意見を取り入れた施策を考えられるのが理想です。私たちも、プロダクトもまだまだブラッシュアップできますから。
自分も成長したいですし、メンバーにも成長してもらいたい。今は全体で好循環をつくることには成功しているので、個人の間でも好循環を作っていきたいです。

インタビューを終えて

「ものすごく当たり前のことしかやっていないんだけど」と照れくさそうにお話をされたKさん。ですが、当たり前のことを継続して実行するのが、実は一番難しいのではないかと筆者は考えます。当たり前のことは、本人がその行為に価値を見出せるからこそ習慣化されるのではないかと思うのです。
LOOGUEチームでは、もともと「お客様のために」という意識は共通していたので、Kさんがその意識を実際の行動に表す方法を整え、見本を見せることでメンバーも成果を実感でき「当たり前」を習慣化することができました。そこからの好循環は、ちょっとしたきっかけでこんなにも良い方向に変わるのかと、インタビューを行った筆者も聞いていてドキドキしてしまったほどです。

お客様のためにどう動けばよいのかわからない、チームをどう変えていけばよいのかわからない、そんなお悩みをお持ちの方にこの記事が少しでも参考になれば幸いです。

※カスタマーセントリック:顧客中心主義


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