設計(者)プロポーザルをリ・デザインする#010:選定・審査委員会を組織する(誰が委員長を務めるか)
委員会を組織するうえで最後に考えたいのは、誰が委員長を務めるかです。ここまで考えてきた委員会の構成は、図書館のような文教施設・文化施設であれば、1)副市町村長、2)教育長、3)建築士(「つくる」専門家)、4)図書館等に知見を有する方(「使う」専門家)、5)「つくる」「使う」の専門家(その事業の性格・方向性次第)です。この5名のなかから委員長、ついで副委員長を決めていきます。
なお、一般的には最終的な決定は委員会の設置規定等に基づいて行います。以下の話もその前提で考えてください。
結論から言うと、3)建築士(「つくる」専門家)、4)図書館等に知見を有する方(「使う」専門家)、5)「つくる」「使う」の専門家のどなたかを強く勧めます。逆に1)副市町村長、2)教育長が委員長を務めるケースには首を傾げます。外部の専門家を招聘するのであれば、その方々から委員長を選出すべきです。副市町村長や教育長が委員長を務めてしまうと、プロポーザルの公正さに疑念をもたれるだけです。
では、「つくる」専門家と「使う」専門家とどちらに委員長にお願いするのがいいでしょうか。これは私もまだ答えが見つからず、毎回悩んでいます。ちなみにこれまでの経験では、建築士に委員長を委嘱したケースが多いですが、そうでないケースもありました。こうした経験からは、どちらかのほうが絶対にいいとも言えません。ただし、外部専門家のどなたに委員長を委ねるにしても、1つ確かなことがあります。それは委員長を含む委員間での事前のコミュニケーションを密にすることです。当たり前の配慮と思うかもしれませんが、相当計画的に進めないと意外に実現しないことなのです。
さて、副委員長はどうしましょう。案外いい方法が副委員長を置かないことです。実際、副委員長を置かないケースも少なくありません。副委員長を置かない場合のリスクは委員長が急病等で不在の場合ですが、その際は委員の互選で委員長代理を選ぶことで対処することになると思います。
あえて副委員長を置く場合は、副市町村長をあてるのが妥当と考えます。委員長を外部の専門家が務めるので、副委員長は行政側の委員からという判断です。
これで委員会の組織化は完了です。組織化したところで安心せず、委員間のコミュニケーションの機会を確保するようぜひ努めましょう。専門性が異なるからこそ、委員間の自由闊達な議論環境を育む努力を惜しんではいけません。