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設計(者)プロポーザルをリ・デザインする#005:実績はどこまで遡るべきか

#004 では従来の「公共建築」実績を「公共的建築」実績と明示的に読み替えることを述べましたが、ではその実績はいつの実績まで含むのがいいのでしょうか。これもよく問われることです。

これも絶対的なルールがあるわけではないと思いますが、遡っても竣工から25年程度までが妥当と私は考えています。理由は明確で、公益社団法人日本建築家協会(JIA)による

・JIA25年賞・JIA25年建築選
http://www.jia.or.jp/member/award/25years/

があるからです。この賞は「25年以上の長きにわたり、建築の存在価値を発揮し、美しく維持され、地域社会に貢献してきた建築」を表彰するものです。長期的な評価軸を建築業界で25年と規定しているのであれば、ここが1つの目安になるでしょう。

ただし、これはあくまで最長の目安の話です。そのプロポーザルが何を目指すのかによって、対象期間の取り方は変わりますし、変わらなくてはいけません。たとえば、20代から30代の若手を強く意識したプロポーザルでは、25年前の竣工までを実績として認めれば、中堅やベテラン、あるいは大手の組織事務所の優位性が不必要に高まってしまいます。まず、そのプロポーザルがどのような価値を中心に据えているかをじっくりと考えましょう。

もう1つ重要な注意点は、建築や図書館の世界での大きな法改正や政策展開を踏まえることです。地震対策を重視するのであれば、阪神・淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)の発生年以降に計画・設計されたことを重視したほうがよいでしょう。
ほかにも賑わいを図書館の要素として重視するのであれば、あるいは指定管理者の導入を前提とするのであればといった諸条件を整理していくと、実績として評価すべき建築の竣工年をいつに設定するのが望ましいのかが明らかになってくるはずです。実際、賑わい拠点としての可能性を図書館に期待する場合、重要な政策展開があったのはいつでしょうか。指定管理者制度が導入されたのはいつでしょうか。

いかがでしょう。あなたが向き合っているプロポーザルは、実績の年限にどんな理由や根拠があるでしょうか。


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