少し少しもう少し
半年ほど前にプロポーズをした。
人生で一度しかない出来事。
あの日のことはどの瞬間も忘れることはない。
あの日のために小さなものを積み上げたことを忘れることはない。
人生で一番大きな決断をしたんだ。
優柔不断な人間が持つことのない絶対的な自信を持って決断したんだ。
僕の残りの人生の時間を費やす人を決めたんだ。
自分だけの人生じゃない道を歩むことに決めたんだ。
そう決めたのに今の僕はそうなれているんだろうか。
簡単に触れることのできない距離を作り、いざという時に隣で力になることもできない。
そんな人間がなんだってんだ。
1秒1秒そうさせている時間が長くなり、1秒1秒そうさせる時間が短くなっていく。
長い時間が終わり数える必要がなくなった時、隣で一緒に歩んでいくんだ。
そうなるまではもう少し。
もう少しだけ罪悪感に苛まれよう。
その時には嫌われるくらいの時間を重ねるんだ。