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犬の字

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犬にまつわるエッセイです。 ・ブンの死①~⑩
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#いぬのきもち

犬に「あした」を覚えさせる

犬に「あした」を覚えさせる

雨で散歩に行けないときや、忙しくて相手をしてあげられないとき、
ついつい口に出してしまう言葉。

「わかった、あしたね!」
「あしたまで我慢して~」
「あ・し・た!」

子どもへではない。
わが家の大きな犬に対して、だ。

あ~、こいつに「明日」の意味がわかったらどんなにラクだろう!
とよく思った。

この意味さえわかってくれれば、
雨が続いて家の中でのいたずらが増えて困るときも
忙しくて相手をし

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おなじ世界を見ている

おなじ世界を見ている

山や川、海や森ならどこへ行くにも一緒にいたい相棒がいる。
名を「いちほ」という。
大型犬(♀)で、体重は30kgほど。
いっしょに暮らし始めてまもなく4年になる。

散歩中や山歩きをしているとき、庭を散策しているときなど
私はよく、いちほに話しかける。
もちろん、人間の言葉で。

「ああ、アジサイが咲いたね、きれいね」
「見て、これ。葉っぱもきれいね」
「田んぼに水がはったね、きれいね」

いち

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山を歩く

山を歩く

いちほ、というのは私の犬の名だ。
赤毛をなびかせて走る姿が美しい、アイリッシュセッターという犬種。
体重は30kgほどあり、立派な大型犬だ。

いちほの赤毛のからだに顏をうずめる。
ふわふわと柔らかい毛が顏にそよそよと触れてとても気持ちがいい。
からだを丸めて寝ているときは、下腹から下肢の付け根のくぼみあたりが最高だ。
毛の肌触りのよさに加えて、ぽてぽてのお肉感も楽しめる。
とくとくと心臓の音が聞

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