うみやまのあいだ、あめつちのからだ

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うみやまのあいだ、あめつちのからだ

#iwate #morioka 「うみやまのあいだ、あめつちのからだ」 https://umiyama-ametsuchi.com ・『ひとしずく』幻冬舎、今明さみどり名義 ・『ひとひと』文芸社、うみやまのあいだ、あめつちのからだ名義

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最近の記事

ユリノキという木⑧

家族写真 2024年4月28日 今年はユリノキの花を見るのがかなわぬらしい。 ユリノキの大樹を伐るのは、諸事情によって5月のはじめとなった。 帰宅時の道すがら、歩を進めるごとに近づくユリノキの葉を見上げながら帰るのが好きだが それが叶うのも初夏までだ。 そういうわけで、今日はユリノキとのお別れ会を催した。 私、父、母、偶然帰省した弟、伯母、祖母、亡き祖父の妹とその息子。 ユリノキの木陰の下、食べ物を持ち寄ってみんなで昼ごはんを食べる。 ユリノキの葉を鳴らす風

    • ユリノキという木⑦

      コブシ暦 2024年3月31日 備えがなければ、現在でも電波が届かぬ楽園がある。 かつて、食糧供給のための国策として開墾された土地だ。 戦時下に家族とともにその地に移り住み、天寿を全うしたある老壮の話を最近聞いた。 今から何十年前の話なのかはわからぬが、 当時80代半ばも過ぎた彼のもとに電気会社の職員が現れて 老壮が住む土地一帯に電気を通すことになったと言伝た。 おそらく戦後の復興期の話なのだろう。 つきましては。 「電線をわたらせるのに、このコブシを大木

      • ユリノキという木⑥

        ユリノキ、空を飛ぶ 2024年3月7日 穂の名の散歩から帰ると、隣接した駐車場のガードレールのところで 何やら話し合い座り込む三人が。 ついに今年伐るというわが家のユリノキ関係の人かしら。 とはいってもなぜ、ユリノキの庭から離れた道沿いで? 奇妙に思っていたら、なんとその中に知った顔がいた。 何とも偶然なめぐり合わせだが、昨年別の機会に居合わせたHさんが わが家のユリノキ伐採をしてくれるそうだ。(お互いなーにも知らなかった) ちょうど帰って来たこともあり、実

        • ユリノキという木⑤

          平和 2024年2月28日 「アカゲラのつがいが来ている!」 鳥好きの私と父にとってこのところ一番嬉しかったニュースはこれである。 穂の名やアウラが駆け回る庭にアカゲラ…! 何とも喜ばしい知らせ。 今年は1月2月とほとんど雪が降らなかった。 土が露呈しぐじゃぐじゃとした温い水は微小な生物を富ませ、 木立の先の新芽や昨年の名残の枯れた実は雪の衣を振り払って早くも裸んぼである。 鳥たちの腹を膨らすには魅力的な場所に違いない。 実際、雑木林然としたこの庭にはこの

        マガジン

        • 犬の字
          16本
        • からむし日記
          8本
        • ユリノキという木
          8本

        記事

          ユリノキという木④

          決めていること 2023年5月23日 私の次の、つまり最後の住処には 私の好きな美しい花々を咲かせる木々をいくつもいくつも植えたいのだ。 例えば御衣黄桜、キウイ、ヒトツバダゴ、ボダイジュ、アカシア、さまざまな。 もちろん、この庭のユリノキも連れて行く。 私の背丈ほどの大きさの若いユリノキに、幾度も目くばせしている初夏。 その他の読み物はこちら うみやまのあいだ、あめつちのからだ (umiyama-ametsuchi.com) 【出版物のご案内】 ひとしずく ひ

          ユリノキという木③

          ユリノキ 2023年2月10日 私の野生の庭には、ユリノキの巨木がある。 若き日の曾祖父が植え、その子である祖父が生涯愛した大樹である。 百年生きているだけあって、ここらで一番背が高い。 一方で、根元から幹にかけての洞も年々広がるようである。 空に近い方の比較的若い枝々は年々太く長くなり、重くなる。 これでは倒れるのも時間の問題かもしれぬ、という人もいる。 あるいは雷に打たれる前に伐った方がよいのでは、と。 そうなったらこの家は、多少なりとも損壊するだろう。

          ユリノキという木②

          ユリノキ暦 2021年5月28日 今年も咲き始めた。 その他の読み物はこちら うみやまのあいだ、あめつちのからだ (umiyama-ametsuchi.com) 【出版物のご案内】 ひとしずく ひとしずく | 今明 さみどり |本 | 通販 | Amazon 楽天ブックス: ひとしずく - 今明 さみどり お手にとっていただけたら嬉しいです。 ひとひと ひとひと | 作・絵:うみやまのあいだ、あめつちのからだ |本 | 通販 | Amazon ©うみやまのあいだ、

          ユリノキという木①

          わが家の神さま 2021.1.1 わが家の古樹のユリノキは 人の世の喧騒などつゆ知らず ただただ穏やかに強かに 来る春の準備をしている 己の春に。 その他の読み物はこちら うみやまのあいだ、あめつちのからだ (umiyama-ametsuchi.com) 【出版物のご案内】 ひとしずく ひとしずく | 今明 さみどり |本 | 通販 | Amazon 楽天ブックス: ひとしずく - 今明 さみどり お手にとっていただけたら嬉しいです。 ひとひと ひとひと | 作

          曲線(自然物)について

          相棒犬との山散歩。 私は犬より多くのものを拾うと思う。今日は何かの鳥の巣を拾った。 いや、本当は相棒犬の方がもっといろんな匂いを拾う。 彼女をとりまく世界の全てのあれこれから。 ↓ 裏側 私が拾った鳥の巣は、私の手の平よりも大きく、 断絶された曲線はもう少し先へのびるだろうことを示していた。 仮にくずれる前の完成形の巣を拾ったとすれば、 間違いなくスズメやマヒワの巣よりは大きいだろうが(このサイズは自分の庭でも毎年拾う) その正解はわからない。 他にも、1

          全う(食べること)

          足を縛られ吊り下げられたニワトリの 頸筋は、ことの異常を察してか羽毛が毛羽立ち皮膚が隆起し 素人の私でもわかった。ああ、あそこに頸動脈があるのだな、と。 こどもを含めた人間たちの好奇、不安、憐憫の眼差しに晒されて その場は一体となり、Kさんの小刀がぶすりとそれを断ち切ることを待ち望む空気であった。 この輪から少し遠く離れたところでは、Kさんの奥さんが 一心に手を合わせて目をつぶり念じていた。感謝か、謝罪か。 この目の前のニワトリをこれから食する私たちにも まず

          馬と鐵

          20代の頃、鉄鉱石から鉄をとり出すという小さな行事に参加したことがある。 いわゆる「たたら製鉄」で、主催の方お手製の練炭サイズの炉に鉄鉱石やら何やらをつめて 一緒に燃やした。 実際のたたら製鉄では粘土製の炉を使うのだがこのときはそうではなさそうだったことや、 鞴(ふいご)がなかったので、うちわで酸素を送り込むものの思ったように火力が上がらなかったことを記憶している。 それで、想定以上に時間がかかり、ようやくとり出してみればそれは私が思い描いていた鉄ではなかった。

          作家インタビュー(後編)

          新刊JPさんより、作家インタビューをしていただきました! こちらは後編です。 宮沢賢治さんにも触れられております…大変光栄です。 読んでいただけたら嬉しいです。 岩手県出身の作家が語る、日常生活に根付く「宮沢賢治」という存在 - 新刊JP (sinkan.jp) 新刊JPさま、どうもありがとうございました! Amazon ひとしずく | 今明 さみどり |本 | 通販 | Amazon 楽天 楽天ブックス: ひとしずく - 今明 さみどり ひとひと ひとひと | 作・

          作家インタビュー(前編)

          新刊JPさんより、作家インタビューをしていただきました! こちらは前編です。 読んでいただけたら嬉しいです。 新刊JPさま、どうもありがとうございました! Amazon ひとしずく | 今明 さみどり |本 | 通販 | Amazon 楽天 楽天ブックス: ひとしずく - 今明 さみどり ひとひと ひとひと | 作・絵:うみやまのあいだ、あめつちのからだ |本 | 通販 | Amazon ©うみやまのあいだ、あめつちのからだ https://umiyama-amets

          【先読み】うみやまのあいだのひとしずく③

          今明さみどり『ひとしずく』(幻冬舎、2023年2月発売) noteに児童小説を書き続けていたら、本になりました|うみやまのあいだ、あめつちのからだ|note その前身となった『うみやまのあいだのひとしずく』の冒頭数ページを三回に分けてご紹介します。 ①はこちら→【先読み】うみやまのあいだのひとしずく①|うみやまのあいだ、あめつちのからだ|note ②はこちら→【先読み】うみやまのあいだのひとしずく②|うみやまのあいだ、あめつちのからだ|note 私たちのそば、どこにでもい

          【先読み】うみやまのあいだのひとしずく③

          【先読み】うみやまのあいだのひとしずく②

          今明さみどり『ひとしずく』(幻冬舎、2023年2月発売) noteに児童小説を書き続けていたら、本になりました|うみやまのあいだ、あめつちのからだ|note その前身となった『うみやまのあいだのひとしずく』の冒頭数ページを三回に分けてご紹介します。 ①はこちら→【先読み】うみやまのあいだのひとしずく①|うみやまのあいだ、あめつちのからだ|note 私たちのそば、どこにでもいる水滴の一粒〈ひとしずく〉が主人公の物語です。 はじまり、はじまり。 改稿版・続きはこちらから。

          【先読み】うみやまのあいだのひとしずく②

          馬搬

          顔をはたく蔓や枝、脚にひっかかる藪や柴を予め切るなどして除けておき、 山中の丸太を運び出すために人一人、馬一頭が安全に通れる分だけの道をつくる。 今よりほんの少しだけ昔の、私の祖父母やその上の世代の人々にとって、山は宝。 必要以上に道は広げず、必要以上に山を傷つけぬ。 そのために、人馬が通る道の幹や根には柴や垣などで覆いをつくることさえしていたというのだから。 あるいは、他者にその山の道を知られぬための工夫とか。 馬の糞尿を肥しにして、たった一年ほどでその道は元に