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生徒に教えられたこと
ピアノを教えて20年以上にもなると、いろんな生徒に出会います。(出産〜子育て期間のブランクがあるのでもう少し長いかもしれません)
下は2歳(グループレッスンリトミック)から上は70歳オーバーの方までのべ300人以上の方を指導してきました。
そのなかでも印象的だった生徒のお話を。
1人目は30代の女性
3人のお子さんのお母さんで、元々お子さんの1人を私が教えていたことがきっかけでした。
ジャズピアノを習いたいといって教室に来られました。まだ小さなお子さんがおられて子連れでのレッスンでした。とても熱心で本当に音楽が好きな方で、ダイアナ・クラールのこともこの生徒さんから教えてもらいました。大人の方を対象にした発表会にも毎回出て頑張っておられました。ご主人も確かドラムをされていて、ご家族で私が出演するコンサートを見に来てくださったこともありました。(その時に、ご主人が「ブラボー!」と間合いよく声を掛けてくださったことも覚えています(笑)) レッスン中は小さいお子さんが泣くと、なんとおっぱいを与えながらピアノを弾いておられて、まだ結婚前だった私は「お母さんってすごいな…」と感動した素敵な女性でした。2人目は5年生の女の子 この生徒も元々、その子のお兄ちゃんを教えていたことがきっかけでした。お人形のように整った顔立ちで(商店街でスカウトされたこともあったそうです)いわゆるお嬢様でしたがまったく嫌味がなくおっとりして素直な子でした。この生徒もコンサートを見に来てくれていて、「先生、すごい✨」と演奏後にキラキラした目で感想を伝えてくれたこと、私の結婚が決まった時には夫の写真を見て「優しそうな人〜♥」と子どもながらに気を遣ってくれていたことを覚えています(夫はいわゆるイケメンではないので(笑)) タカラヅカに入りたいと言っていたのですが、本当にその夢を叶えて、のちにタカラジェンヌになりました。
3人目は70代の男性
なんと70歳を過ぎて初めてピアノを習いに来られたという生徒さんでした。大手ゼネコンに長年勤務されていたそうで、お仕事のお話や趣味の詩吟のことなど、古い日本語の言い回しなど人生の先輩として私が知らないことをたくさん教えていただきました。いつもよくお土産や差し入れをくださいました。
他にも、自分のオススメの本を何冊も読んで!と持ってきてくれたイタリアからの帰国子女の男の子や大学生(中には在学中に妊娠してやめたと思ったらTVに出ていた女の子も)、サラリーマンの方、小学校や中学校の同級生も何人か教えました。学校の先生や保育士さん、保育士になるために高校生からピアノを始めて保育士になった生徒もいました。
レッスンをやめて長く経った今でも年賀状をくれたりSNSで繋がっている生徒…何年経っても忘れられない生徒さんがたくさんおられます。
その方たちに共通して言えるのは、みんな音楽が好きでたくさん音楽の話をしたり、それ以外の話もたくさんして“人として”の付き合いがあった生徒。
いまの時代、たくさんの習い事の選択肢があり、特に子どもたちは毎日何かしらの習い事に通っています。
私が子どもだった頃のように「将来はピアニストになりたい」とか「ピアノの先生になりたい」という生徒はかなり少なくなってきているように思います。
それでも、いま教えている生徒の中に、ピアノを弾きたい!うまく弾けるようになりたい!音楽が大好き!という生徒がいることはとても幸せなことだなとしみじみ思います。
いまはその中のある生徒のために絶賛編曲&楽譜作成中です。
しんどい作業ですが、そんな熱心な生徒に出会えたことは有難いことです。
いつかのnoteにも書きましたが、教育とは人を教え育てると同時に、教え育てられるものだということを実感する今日のこの頃です。
育てていただき感謝。