インスタ始めました、ChatGPT×新建築、3Dプリンター住宅、海上建築の話(コンワダさん77週目)
こんにちは、株式会社アーキロイドのコンワダです。前回から2カ月ほど空いてしまいましたが、しれっと”今週も”社内で話題になった事例(コンワダさん)からいくつかをご紹介します。バックナンバーはこちら。
アーキロイド商品第一弾「福井典子の家」(仮)のインスタグラムを開設
当社アーキロイドは住宅設計WEBサービス「archiroid.com」の開発を行ってきました。現在、そのパイロット版ともいえる住宅商品を開発中です。今年よりメンバーに加わった建築家福井典子モデルです。福井は住宅設計で著名な伊礼智設計室で11年間住宅の設計に従事してきました。同社はそんな実務経験豊富な住宅設計のプロフェッショナルを迎え、システム開発と住宅設計の両面から事業を推進してまいります。ぜひインスタグラムのフォローお願い致します。設計のご依頼や記念すべき福井モデルの第一弾を建てたい!という方がいらっしゃいましたら是非ご連絡下さい。(mail: info@archiroid.com)
ChatGPT×新建築データ:20,000件超の建築プロジェクト情報を組み込んだAIチャットボットの実証実験を開始
建築を学んだり仕事にした人なら避けては通れない雑誌「新建築」。その新建築社からリリースです。同社が展開する「新建築データ」がChatGPTを活用したAIチャットボットサービスの実証実験を行っています。新建築データは雑誌「新建築」「新建築住宅特集」がこれまで掲載してきた建築プロジェクトの紙面をデジタルベース化したもので、建築の「知」をデータという形で社会へ広げています。
本リリースによると、社会現象を巻き起こしているOpenAI社が開発運用する「ChatGPT」のGPT4を活用し、新建築データに登録されている2万件のプロジェクトテキストを組み込み、対話形式で建築の知にアクセスできるチャットサービスとのことです。
具体的な会話の例も公開されています。
これからは、任意の設計案件(コンペや依頼)に対して下記のようなフローで初期検討が十分に行えるかもしれません。
2以降はこれまでも可能性が提唱されていましたが、1によってローカライズやサイトへの言及など、解像度がさらに高まることが期待されます。また「Q. 良い建築とは何か?新建築データのテキスト内容を参照して論じてください。」といった抽象的な質問への対応も進んでいるようで、案件ベースではなく建築家やそれを志す人間にとって壁打ち相手となる存在になるでしょう。
新建築社は雑誌がメインだった業態から「新建築データ」という新たなメディア、データ活用に乗り出しています。旧来のメディアと新しいメディアの対比が騒がれる昨今ですが、新しいメディアがUGCによって爆発的にデータを獲得したのに対し、旧来のメディアはその深い歴史が持つ叡智の詰まったデータを有しています。ChatGPTはそうした旧来のメディアが若い世代に対して再び影響力を取り戻す契機となるのかもしれませんね。(建築雑誌については数字面に関する記事を書こうとしてお蔵入りしたものがあるので、どこかで出せたら…)
セレンディクスの3Dプリンター住宅、1LDKタイプが44時間半で完成
本連載「コンワダさん」で昨年取り上げた3Dプリンタ住宅を手掛けるセレンディクスの最新記事です。昨年は「10平米タイプの家を24時間以内に竣工、300万円」という非常にニュース映えする内容でしたが、今回は「鉄骨造の1LDK50㎡タイプを44時間30分で完成、販売予定価格は550万円」というまた強烈なニュースです。
ほとんどの素材は3Dプリンターで、屋根はCNCで造形。いよいよ、本格的な住居モデルとして市場投入が見えてきているという状況でしょうか。「短時間で低価格」を技術によって実現している同社ですから、これからの成長に期待されています。実際、昨年段階でセレンディクスコンソーシアムには国内外80を超える企業が参加しており多数のパートナー、応援者がいます。
一方で、3Dプリンタの積層構造がむき出しとなる外観については、X(Twitter)を見ているとその単調さや周囲との調和から物申したい勢が一定数観測できます。しかし金額や工期の速さは現状他の追随を許さない大いなる魅力であり、それだけでもこの住宅を選択する要因になることは推測にたやすいでしょう。
海上建築スタートアップN-ARK(気候変動により深刻化する海面上昇の課題解決を海上建築実現により目指す)
N-ARK社によると、将来的な海面上昇によって多数の都市が被害を受けます。(海面上昇に限らず)現状の日本の水害による被害額2兆円をこしているそうです。世界に目を向ければ、沿岸沿いに位置する主要都市はたくさんあります。それらの都市の海面上昇による損失額は天文学的数字に達するとの予想もあるそうです。同社はこれまで安定した地盤の上に作られるのが常識だった建物や都市を海上に展開しようと計画しています。なんだかSFの世界のようですが、同社の各リリースを見るとそれを現実のものにしようとしているのがよくわかります。古くから、香港やランタオにある棚屋と呼ばれる水上家屋や、伊根の舟屋のように水辺や水上で生活をしている人は世界中にいますから、技術的ハードルを越えてしまえば人間の方は案外すぐに慣れるかも?
まとめ
2か月ぶりのコンワダさん投稿ということで、いつになく”建築事例過多”になってしまいました。基本的には広く浅く事例紹介をしていく連載ですのでゆるりと続けていければと思います。夏真っ盛りということで、レジャーの楽しい季節、ビールのおいしい季節ですね。一方で熱中症による悲しいニュースも増えています。クーラーを我慢せずに皆さん涼しく夏を乗り切ってください!