見出し画像

【7週目】 今週、社内で話題になった事例。(コンワダさん)

こんにちは、株式会社アーキロイドの津久井です。

金曜日は週刊コンワダさんの日です。
これまでで一番遅い書き始めとなり、ギリギリ金曜日中に出せました。(いつもより事例数が少ないのは、それと無関係とは言えないでしょう。)

早速、今週アーキロイド社内で話題になった事例から、幾つかを紹介します。いってみましょう。

事例1:Unity ArtEngine Mobile

【概要】
 スマホで撮影した画像から、シームレスなPBRマテリアルを作成できるArtEngine Mobileのベータ版をUnityが発表しました。アルベドマップ、法線マップ、ハイトマップその他の編集も可能で、HDRP、URP、Unity標準マテリアルとしてのエクスポートが可能です。この手のツールとしては初のモバイルツールで、外出先でも高品質PBRマテリアルを作成できる初のツールです。無料アセットにも頼らず、オーサリングも不要で、目の前のサンプルを撮影してそのままマテリアルにできます。現在はこのベータ版のフィードバックを得るために、クローズドグループでテスト公開しています。

【アーキロイドポイント】
 PBRマテリアルを必要としている全ての開発者にとって、夢のようなツールかもしれません。「イメージはあるけどうまく形にできない」というのは、誰しもが直面したことのある壁だと思います。例えば、字が下手な人でも、上手な字のイメージは当然持っていますが、自分で形にすることは出来ません。筆者がまさにそれです。
 CGにおけるマテリアルも通ずるところがあります。住宅をモデリングする時、理想の壁紙があるとしましょう。その理想に近いマテリアルを探したり作リ出すのは大変で、理想が明確であればあるほど画面に写っているものが程遠く感じるものです。ArtEngineは、もし理想の素材が目の前にあるならば、それに”近い”ではなく、”同じ”ものが再現できるし、それを基準に編集することも出来ます。
 当社の提供するarchiroid.comでは、ユーザーが設計した家の間取りが自動で3Dモデリングされて、VR内覧が出来ます。ArtEngineを使えば、使用できる素材を一気に増やすことが出来ますし、ユーザーが素材を増やしていく可能性も出てきます。カフェやショップ、美術館、友人の家などで、気に入ったペンキ、左官壁、クロスや床材をそのまま撮影して、自分の理想の間取りの家に当てはめてみる、そんな日が来るかもしれませんね。

事例2:5分でわかる「クリエイターエコノミー」を取り巻く現状【声の履歴書 Vol.62】

【概要】
 日本発の音声プラットフォームVoicy代表の緒方氏のnote。クリエイターエコノミー協会の発足に際し公開したようです。現在、note、Youtube、Voicy、メルカリShops、ミンネなど、クリエイターが個人の力で収入を得られるプラットフォームが沢山あります。

画像1

▲クリエイターエコノミーを説明する図(緒方氏のnoteより)

 上の図を概説すると、「個人の自由な表現」こそがクリエイターのクリエイターたる所以で(左上)、写真やツイート、動画、文章、工芸品、あらゆる形で個人がクリエイティビティを発揮します。SNSなどで広くリーチ(右上)し、更にはエンゲージメントが高まる(右下)と、お金を獲得(左下)し、更にできることが広がる(左上)というサイクルになっています。これまではこの4セグメントは分業制でしたが、前述のようなプラットフォームの登場によりクリエイター自身が全てを統括できるようになりました。自ずとクリエイターによってストラテジーも変わってきます。例えばリーチする「広さ」を重視するならば、Youtubeのようにプラットフォームに貢献することで広告で収入を得ます。一方で消費者から直接お金を取るならば、自身のファン層に刺さる「深さ」のコンテンツを意識する必要があります。マスに届けるかコアに届けるか、広く作るか深く作るか、広告で稼ぐかユーザーから直接もらうか、これらは全てが何をクリエイトするかによって決まります。緒方氏は音声こそがクリエイターエコノミーの主役となると語ります。

【アーキロイドポイント】
 このnoteにおいて、クリエイターエコノミーの中でリーチ・グロースやファンエンゲージメント、マネタイズが別の概念としてあり、サークルとして構造化されていることがよくわかりました。緒方氏もこの図を文中で3回も使用しており、クリエイターエコノミーを概観するための地図を刷り込ませているという印象です。(note初心者の筆者としては、勉強になりました)
 プラットフォームは人類皆クリエイターになれる環境を整備しましたが、エコノミーとして成立しているのはやはり、リーチ・グロースとファンエンゲージメントがキーでしょう。みんなが良いと思う指標は人それぞれで、みんな好きなコンテンツ、好きなクリエイターが違います。それが可視化されているし、差別化されています。テレビの10チャンネルでは、コモディティ化し、視聴者は自分の好きな指標を発見できていなかったし、発見できたとしてもどうせ10チャンネルしかありませんでした。今後は動画などのデジタルコンテンツだけでなく、あらゆる商品が多様化し、消費者は自分の好きをとことん突き詰めることも可能になるでしょう。ものづくり革命により、コスト最小化生産最大化のための少品種大量生産ではなく、クリエイターも消費者も自分らしさを追求できる多品種少量生産の時代に突入しています。
 当社は家づくりにおいても同じことを考えています。しかし、家はデジタルコンテンツのように毎日新しいモノに触れることもないし、洋服のように定期的に購入したりすることもありません。大抵の人にとって家は一生に一度の買い物で、自分が良いと思う指標、好きな指標がわからないのが当たり前なのです。
 archiroid.comでは、自分で住宅を設計して、内覧して、評価して、検索して、比較して、自分にとって大事な指標を見つけるための試行錯誤の環境を整備しています。結果的にそれが、他の誰かがクリエイトした住宅案かもしれないし、はたまたこのサービスから飛び出して設計を依頼したい建築家が見つかるかもしれないし、建売住宅で良いとなるかもしれません。結論はどれでも良くて、自分にとって良いと思う指標を見つけて、納得して家を買う、そんな主体的な体験を共有できる企業になっていきたいと考えています。

事例3:楽しそうと思える家

【概要】
 風呂なしアパートの物件情報を紹介する東京銭湯ふ動産(「風呂がないんじゃない、銭湯があるんだ」のコピーでおなじみ?)を運営する鹿島さんと、広告看板の家というプロジェクトをやっている村上さんの対談です。

一人の人に一つの住所と制度化されてしまっているから、家のポイントが一箇所と思いがちだけど、食べ物を買うためにスーパーに行くし、インフラは遠いところからやってくる。自分の生活を支えているものの範囲は広くて、家は箱というよりアメーバのようなイメージ。であれば、相場より2~3万円安い風呂なしアパートに住んで銭湯を利用し、浮いた分を自由に使う。その選択は主体的で政策的。結果的に銭湯を存続させ街の力にもなるので社会活動かもしれない。(本note筆者による要約)
日本では家が商品になりすぎちゃっている。洗車は自分でするけど、家の話になると急に業者や専門家にお願いする。賃貸でも商品ぽさは同じで、原状回復が絶対みたいになってる。(本note筆者による要約)

【アーキロイドポイント】
 コンワダさん6の事例3の中で取り上げた現代住宅双六しかり、みんなが1つの良いとされるゴール(指標)に向かって走る時代はとうに終わり、価値観も多様で、選択肢も多様です。それでも賃貸ならば、風呂とトイレは別、独立洗面台、ビルトインコンロなどなど、変わらず良いとされる指標があり、悪い方を選ぶのは妥協という固定観念があります。しかし妥協ではなく「政策的に別の選択」をするという考え方は、決して詭弁ではなくとても参考になりましたでした。当社サービスでは、ゆくゆくは住宅をあらゆる指標で評価し、ユーザーに見せていくことで、一人ひとりがどの指標を重要と思うか、重み付けしていく事ができると考えています。
 家が商品になりすぎているという話は、買って住んでなお、家のことがよく分かっていないからかもしれません。買うときも住み始めてからも、自分の理想を主体的に発見して形にする姿勢を大事にできるといいと感じました。もちろん全員にそれを強いるわけではなく、そういう空気がもう少し出てきてもいいなと感じております。(後半アーキロイドポイントというより本note筆者の感想となってしまいました。)

おわりに

 今週は3件と少なめでしたが、いかがでしたか?毎週お読みになっている方は、アーキロイドはきっとこんな事例を話題にするんだろな、とパターンが読めてきたかもしれません。いい事例をご存知でしたら是非コメント下さい。

 そう言えば、先週の記事がアーキロイドnoteの中で一番のスキ数になりました。まだお読みでない方がいたら是非飛んでみてください。

 実は、コンワダさん連載でご紹介したいと思いつつ、まとめられていない事例もあります。別の週に出したらそれは”今週”社内で話題になったわけではないので、”以前”社内で話題になった事例、イゼワダさんになってしまうのだろうか。まぁその週にまたちょっとでも話せばコンワダさんと言えるか、なんてウダウダ考えたりしております。

 最後になりますが、「この記事面白いよ」「事例2、興味深かったな」「週刊連載頑張って」というコメントを頂けるととても励みになりますが、コメントは面倒だよという方はスキを押して頂けると私が勝手にそう解釈しますので、便利です。ご検討のほど宜しくお願い致します。

「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。

社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。

メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。

【バックナンバー】はこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?