慶應大の旧図書館 カフェ八角塔×小倉トーストを堪能【東京三田】
私達の身の回りに当たり前にあって、日々の生活を豊かにしてくれるもの、それは建築と甘いもの。
このnoteでは、建築好きの私 やま菜がおすすめしたい建築と甘いものを紹介していきます。
今回訪れたのは、学生街・ビジネス街として賑わう東京三田。
慶應義塾大学の三田キャンパスがあることでも知られるこの地に、とっておきの建築と甘いものスポットがある。
1.慶應大の旧図書館にあるとっておきのカフェを訪問
今日訪れたのは慶應義塾大学の三田キャンパスにある旧図書館にはいるカフェ八角塔だ。
慶應義塾大学は、江戸時代の末期に福澤諭吉が開校した蘭学塾をルーツとし、明治元年に「慶應義塾」となった歴史ある大学だが、そんな慶應大学に学外の人も利用できる素敵なカフェがあると聞き、早速訪れてみた。
カフェ八角塔は、明治の終わりの1912年に建てられた図書館旧館内につくられた喫茶スペースだ。
この図書館旧館は慶應義塾の創立50年を記念して計画がはじまり、私学の大規模な図書館として最初期につくられた図書館だ。建物の入口には「創立五十年紀念慶應義塾図書館」の文字が現在も残されている。
この時代の図書館建築といえば、以前このnoteでも東京上野の旧帝国図書館(1906年竣工/現在の国際子ども図書館)を紹介したが、日本の主要都市で大規模な公共図書館が建設された時代でもあった。
高台に聳え立つ建物は、赤煉瓦と花崗岩によるコントラストが鮮やかなネオ・ゴシック様式のデザインが特徴だ。
築100年以上の建物は、関東大震災による被害や、太平洋戦争の空襲で内部が焼けるなど様々な歴史を通過してきたが、その強固な構造や関係者の努力により現在まで堂々としたその姿を保ち続けていて、国の重要文化財にも指定されている。
現在は図書館としては使用されていないが、図書館時代は内部か6層に分かれて書架が並べられ、約20万冊の書籍が納められる当時の最大級の規模の図書館であった。
戦後の1961年には蔵書数の増加に伴い、写真の左側の部分を増築したりもしている。
度重なる修復と改修工事が行われた図書館だが、修復にあたっては過去の記憶を残すために、たえて戦禍で傷付いた跡を残したりしているのが面白い。
令和元年に大掛かりな補修・改修工事が行われた際も、安全上問題ないことを確認した上で、この修復方針を踏襲した工事が行われていて、まさに歴史の生き証人といえる建物となっている。
2.2021年の春にオープンしたカフェ八角塔で素敵なランチタイム
そんな歴史ある建物の1階に2021年の4月にオープンしたのが、今回の目的地 カフェ八角塔だ。
キャンパスの外からも見える建物のトレードマークである八角形の塔から名前がとられたカフェは、建物にはいってすぐの場所にある。
本をモチーフにした入り口のサインが目印だ。
元々は図書館だったことからカフェのサインやメニューは本にちなんだデザインになっている。
そんな八角塔で頂くのは、こちらの小倉トーストだ。
あんこと発酵バターによるシンプルなメニューだが、もちもちのパンがカリッと焼かれたトーストはとても美味しい。
脇には岩塩が添えられていて、この岩塩が甘い小倉あんとマッチしてその甘さをより引き立てる。
トーストを堪能した後は歴史の詰まった空間を楽しみつつ、アイスコーヒーでブレイクタイム。
内部は図書館時代を思わせる高い天井高の空間に、南東2面の窓から降り注ぐ自然光が満ちている。
奥の八角形の塔の部分は自由に閲覧できる小さなギャラリーになっていたり、天井や床には八角形をアレンジしたデザインが施されていたりと、八角形がデザインモチーフになっているのも面白い。
今回はトーストメニューいただいたが、メニューは他にもパスタやカレーなどのランチメニューやプリンなどもある。
ちなみにお手洗いは地下階にあるのだが、お手洗いに行く途中に昔の建物の写真や学校の様子が展示されていて、とても興味深く拝見した。
また、建物の奥の2階スペースは一般開放された福澤諭吉記念 慶應義塾史展示館になっているので、八角塔を訪れた際は是非合わせて訪れてみてほしい。
【慶應義塾大学図書館旧館 カフェ八角塔 施設情報】
設計(建物原設計):曽禰中條建築事務所
住所:東京都港区三田2-15-45
行き方:田町駅、三田駅から歩いて約7分
カフェ八角塔オープン年:令和3年
竣工:明治45年
その他:重要文化財
3.あわせて訪れたいおススメのグルメ建築
せっかくなので、慶應義塾大学図書館旧館とあわせて訪れたい三田のグルメ建築についても少し紹介したい。(三田には素敵な近代建築が多いが、ここでは食事もできるおススメ建築ととして2建築を紹介する)
まずはじめに紹介する建築会館は、日本建築学会の創立100周年を記念して建てられた建物だ。
建築の一部であり都市の一部であるこの中庭によって、この建物全体が公共性を帯びているように見えるのがとてもユニークだ。
中央の中庭には膜状の屋根を掛けることもできて、雨のイベント時など、運が良ければ軽やかに中庭を包み込む姿を見ることが出来る。建物の北側は立体的なレストラン街となっていて、うどんからイタリアン、焼き肉など様々な料理を楽しめる。
【建築会館 施設情報】
設計:秋元和雄設計事務所
住所:東京都港区芝5-26-20
行き方:田町駅から歩いて約3分、三田駅から歩いて約4分
竣工:1982年
続いて紹介する港区立伝統文化交流館(旧協働会館)は、都内に現存する唯一の木造の見番であった旧協働会館を、伝統文化の交流施設に生まれ変わられた建物だ。
改修に当たっては、特徴的な唐破風を持つ正面の外観などを保存しながら、曳家によって新たな機能の増築スペースを生み出したり、部位によって様々な耐震補強を行うなど現代の技術と知恵を結集した保存・改修工事が行われている。
内部は古い部材と新しい部材を使い分けるデザインとなっていて、お互いの部材をより引き立たせているのが面白い。
1階にはカフェが併設されていて、展示を見たあとの休憩スポットとしてもピッタリだ。
【港区立伝統文化交流館(旧協働会館) 施設情報】
改修設計:青木茂建築工房
住所:東京都港区芝浦1-11-15
行き方:田町駅から歩いて約10分
竣工:1936年(2019年改修)
その他:港区指定有形文化財
2020年度グッドデザイン賞
今回は、東京三田エリアの建築と甘いものを紹介した。
どの建築も、素晴らしい体験と味を楽しめる名建築なので、皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。