「子供時代の考古学」の30年
子供をめぐる考古学は、この30年の間に大きく前進し、その内容と方法とを刷新しながら成長してきた。ただし、残念なことに(あるいは例によって)、日本の考古学は、そうした国際的な研究の動向から、ほぼ完全に取り残されているといってよい。そこで、ここでは、子供(と若もの)をめぐる「あちら」の考古学がどのように進展しつつあるのか、ごく簡単に紹介して、諸賢の参考に供したいと思う。手始めに、研究のマイルストーンとなった四つの論文と一つのシンポジウムについて概略を記し、研究史の流れを大づかみで