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『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』観たよ

ガンダムエースがちょっと気恥ずかしいと思うのは中身的には昔たくさん書店に並んでいた女性向けアンソロジーを思い出してしまうからで、私にとってはそのふたつはほとんど同じものだ。ガンダムエースは公式で許諾とってるのに非公式アンソロと一緒にするなと言われそうだがそういう問題ではなく、載っているものの中身はだいたいが「そのコンテンツを好きな人がコンテンツを通して抱いた共同幻想の具現化」だからだ。
それで言うとこの映画の前半部分はマジでガンダムエースに載ってる漫画だ。シャアがあまりにも一人でやってうまくいきすぎてその経緯をすべてモノローグで処理をしているのでトニーたけざきの漫画かもしれない……絵もオリジンの安彦準拠だし……とかいろいろ「ファーストガンダムにまつわる二次創作物」が頭をよぎる。この映画の前半に私が全然のれなかったのはとにかく「ガノタが今まで言ってきたこと」を作中でも反復することで、たとえばシャアが「このMSは白くて目立ちすぎる。まさか陽動のため?」みたいな、「劇中に加えていろんなムックで言及されたアムロのガンダムとホワイトベースの一年戦争時の地球連邦内での立ち位置」に触れてる台詞とか、めちゃくちゃ二次創作っぽくてムズムズした。シャアがシャアというよりは、シャアの肉体に異世界転生したガノタのように見えるのだ。ぶっちゃけ「シャアがサイド7でガンダムに載ったらif」二次創作、探せばぽんぽこ出てくるだろう。それをあの映像でやるからすごいんだ!とか言われそうだがあまりにもダイジェスト過ぎて単体のお話、映像としては正直何が何だかよくわからない。私にとって初代のガンダムはテレビ版も劇場版も神がかって完璧な作品(あまりの完璧さに人知を超えた技術を用いられたオーパーツ的存在)なので何かを付け足すのも改変するのも意味がない行為だから余計に。まあそういう私の一方的な責任による積み重ねがあるため自分の中のガンダム体験とぶつかりあい胃の内容物がぐちゃぐちゃになり前半部分を見ている間は体調がすぐれなかった。面白いとか面白くないとかではなく、鑑賞するための姿勢を整えるためには自分の中の成分が過剰すぎたと言える。とはいえ仕掛けとしてはあまりにも内向きというか……私はスターウォーズ関連の現代のスピンオフ作品の過去作へのリファレンスの多さもあんま好きじゃないので……。

あっでもアムロが戦場に出ないで済んだのは良かったです。15歳でパイロットとして戦場に引きずり出されて有能すぎるわシャアと因縁ができるわで29歳で戦死するのつらすぎるから。好きな人には生きていてほしいから……。カムランさんも裏取引で終身刑にならずに済みそうだし。アムロは出さないでくださいお願いします。私が何か言う立場ではないのはわかっているけど言わずにはいられないんです。アムロのことが好きだから……多分アムロはnoteでこんなこと書いている奴はすげー嫌いだとは思うんですが……。

後半の話は正直まだあんまり話せることがないというか、細かい話になっちゃうので気になった点だけ言及すると、MS戦で富野が多用するコクピットの部分的なカットインを使わないでMSと中のパイロットを直接重ねるようなカットの使い方にしているのはちょっと新鮮でした。その結果、肉体の延長としてのMSという部分が強調されてむしろこっちの方が中のひとが戦っている感じが出ますが制作工程的にはコストがかかるので本作くらいの規模の作品だからこそ実現できる臨場感と言えそう。キャラデザもかわいいしアニメ向き、刀語とは全然印象が違うけどこっちの方が好きです。ぶかぶかニット着ている人がブラトップ一枚になると胸のラインが際立つみたいなのは当たり前の話なのでそこのギャップの話でキャッキャしているひとはちょっといっかい自分の姿を省みてください。パイロットスーツがブラトップくらい薄いのは問題あると思うけども。
個人的には導入が「形式としての戦い」で始まるのが「えっまた?」と思ってしまった。戦争から始めるのは現代ではもう無理なんだろうか?「水星の魔女」がウテナを引用して決闘が……という話で皆納得して、今作は榎戸洋二だからで納得して、でも一年戦争の後の話を描いてゼータガンダムの語り直しをするならもう戦争のきざしの話にしてしまってもいいんではないかなと思う。今どきは戦争が共感されづらいとかそういうことなのかもしらんけど、時代に傷ついた人たちがその痛みをアニメにぶつけて作り上げたところがファーストの神がかりの大きな要因だと思うし。戦争を描くのが無理でも今の時代なら、形式としての、見世物としての戦いの部分に踏み込んで描くこともできるだろうしなあ。


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