2021年読んだ本ベストオブザイヤー

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

と、いつも通り始めてみましたが、改めまして、明けましておめでとうございます。
昨年、noteを読んでくださった方はありがとうございました。
今年もつれづれなるままに本を読み、読書感想文を綴っていくつもりです。

さて、2021年はちょうど150冊の本を読みました。
その中で特に印象に残った本、読んでよかった本、他の人にもぜひ読んでほしい本をまとめてみようと思います。
この記事を書く第一義は1年を振り返るという自分の為ですが、ついでに他の人にも為になったらいいなぁと思います。
こんな風に微妙に読みたくなくなるような書き方をするのは、文章力の無さの言い訳です。読みにくいかもしれませんが、良ければ気が向くところまでお付き合いください。

あまり長くなってしまっても良くないので、そろそろ本を選んでいきたいと思います。
ちなみに今から選ぶので、まだ何冊になるかわかりません。
今年は豊作だった印象がありますが、できれば10〜20冊に収めたいと思っています。
タイトルだけざっと知りたい人の為に、目次にタイトルが出るようになっていると思います。読むのが面倒な人はそちらだけでもざっと目を通してもらえたらと思います。
あ、順番は順位というわけではありません。思いついたままに書いていきます。ランキングにしようと思えばある程度はできますが、全部ベストオブザイヤーということにしておきます。

(1)平野啓一郎『マチネの終わりに』

まず思いついたのがこの作品でした。もう「この記事書こ〜」と思った瞬間から選んでいた作品です。
さっき順位はつけないと書いたばかりですが、もし順位をつけるとしたら一番かなぁと思います。次に書くつもりでいる新井素子『チグリスとユーフラテス』も同じくらい良かったので、やっぱり順位付けは難しいですが……。

この本の特に良かったところは重層的なテーマとその奥深さ、そしてその深淵を感じられる静謐な文章です。
生と恋と音が重なって静かに響いてくるような文章は全てが私の好みでした。
「過去は変えられる。変わってしまうとも言える。」(うろ覚え)というのは特に印象に残っています。
ちなみに強いて好きじゃなかった所を挙げるとすれば、最初の夜の後に続くナレーション(?)的な地の文の数行です。確か「この夜を何度も思い出すことになる」みたいなことが書かれるのですが、少し説明過多のように感じました。「そんなこと言われんでもわかっとる!」 と思ってしまいました。
まだ一度しか読んでいないので、また読み返したら色々と思うことがあるだろうなと思います。今年も一度は読みたいと思っています。

この調子で長々と書いてしまうとキリがないので、過去の感想文のリンクだけ貼って次に進みます。もう半年近く前なんですね……。

あ、ちなみに有名な作品なので知っている人も多いかもしれませんが、恋愛小説です。

(2)新井素子『チグリスとユーフラテス』

既に予告した通りですが、二作目はこちら。SF小説です。
この本の良いところは設定と構成の面白さ、多様なテーマです。
惑星ナインの最後の生き残り・ルナちゃんがタイムカプセルに眠っている人を順番に起こしていくことによって惑星ナインの歴史が徐々に明かされていく逆さ年代記です(確か裏表紙にそんな感じで書かれていたはず)。この設定と構成だけでも面白そうではありませんか?
しかし特に面白いのはそのテーマです。「特権階級」というキーワードを通しても色々と考えさせられますし、他も数え切れないほど色々と考えさせられました。この小説を読んで「やっぱりビジネス書より小説だな」と思ったほどです。

この本にも強いて難癖をつけるとすれば、下巻が若干冗長に感じました。
こちらもまだ一度しか読んでいないので、再読すればやっぱり必要だと思うかもしれませんが。

ちなみにこの本も、先程の『マチネの終わりに』も人からオススメされて読みました。やっぱり誰かのオススメはオススメだけあって面白い率が高いなぁと思います。私も自分のオススメを発信しつつ、これからも誰かのオススメを享受していきたいと思っています。

(3)吉本ばなな『キッチン』

もうたくさんだと思いながら見上げる月明かりの、心にしみ入るような美しさを、私は知っている。

正月早々、布団の中で色々と考えていたら思い出しました。
「人生やってらんねーな」が既に3周くらいして、4周目くらいに突入している感じです。
この本は何度も読み返したいです。

(4)ミヒャエル・エンデ作、大島かおり訳『モモ』

これも何度も読み返したいです。
時間や「やるべきこと」に追われている現代人に是非読んでほしい一冊です。
読書会でもいつか紹介したいです。

(5)コナン・ドイル作、延原謙訳『恐怖の谷』

昨年はシャーロック・ホームズのシリーズを全て読めたのも良かったです。
その中でも特に面白かったのがこの『恐怖の谷』だったので代表として選びました。
映画はまだ観たことがないので、いつか観てみたいです。
ホームズを読んでから、他の作品を読む時に少し伏線などに気が付きやすくなったような気がします。
推理をする脳を鍛えるのにも良いかもしれません。論理的思考というよりは、どちらかというと水平クイズのような脳を鍛えられる気がします。

(6)湊かなえ『告白』

これは結構最近ですが、昨年は初めて湊かなえさんの作品を読みました。
『Nのために』も面白かったのですが、初めての衝撃が強かったのでこちらをチョイスしました。
この本の良い所は、見事な構成と兎に角先が気になる展開です。
読みながら何度か「え!」と声に出してしまった気がします。
伏線とか意外な展開が好きな人にはオススメです。

(7)東野圭吾『マスカレード・ホテル』

映画化をきっかけに読みました。
東野圭吾さんは有名ながらほとんど読んだことがありませんでした。
しかし読んでみて売れていることに納得しました。とにかく面白い、こりゃ売れるはずだ、と。
ホテルマンかっこいいな〜と思ったので、職業の魅力を知ることができたのも良かったです。
シリーズは3冊ありますが、第一作目の『ホテル』が一番好きでした。
ちなみに映画も良かったです。よくこの分厚い500ページ分の内容をこんなにも上手く映画化できるなぁと感心しました。

(8)長谷敏司『あなたのための物語』

これもなかなか強烈なお話でした。
今後AIがどのように発展していくのか私はわかりませんが、いずれ「人間とは何か」 という昔から考えられ続けてきた大きな問いを、多くの人が考えなければならない未来がやってくるような気がします。最近だと川原礫『ソードアート・オンライン』でも似たようなテーマが見られたことを思い出しました(アリスの話)。
深すぎて理解できていない部分も恐らく多いので、また読み返したいです。

(9)辻村深月『凍りのくじら』

これも色々と考えました。
国民的アニメ「ドラえもん」 の原作、国民的マンガ「ドラえもん」を読みたくなりました。
主人公に似ているところをたくさん見つけられたので、自分を省みる為にも良かったかもしれません。
これは友人のオススメだったのですが、感想文を書いたら、その感想文を書いてくれました。なので、その感想文をまた書きました。

(10)サン・テグジュペリ作、河野万里子訳『星の王子さま』

もう名作中の名作ですが、ものすごく良かったです。
これからも読み返し続けて、子どもの心を忘れずにいたいです。
将来、子どもと一緒に読みたいです。

いちばんたいせつなことは、目に見えない。

(11)ヘミングウェイ著、高見浩訳『老人と海』

静かで熱い小説です。
いつか孤独な戦いを迎えた時、必ず心支えになってくれると思います。
短いけれど、ものすごいエネルギーを秘めた小説です。

(12)金子みすゞ作、いもとようこ絵『金子みすゞ てのひら詩集・1』

金子みすゞの詩集はいくつか読んだのですが、この本は名作集的な一面もあるのでこれを選びました。絵もとっても素敵です。
金子みすゞの作品は普段の自分と異なる視点で描かれるものが多いので、ハッとさせられます。また、温かい作品が多いので読んでいて心地良いです。
一つ一つの作品は短いので、寝る前の数分で音読します。心を穏やかにして眠ることができるのでオススメです。

(13)兼好法師作、小川剛生訳注『徒然草』(角川ソフィア文庫)

オススメ本を紹介している記事はあまたあれど、『徒然草』をオススメしたる記事は他にあらんや。
ということで、懐かしい「古典」を思い出す『徒然草』です。
いわゆる古典文学ってオススメしてもなかなか読んでもらえないんですけど、『徒然草』は本当に読んでほしいという意味でオススメです。
単純に面白いということもありますし、現代でも活きる抽象度の高いエッセンスがたくさん含まれています。
ビジネスマンにとってもきっと有益なヒントがたくさんあると思います。
是非読んでみてください。
ちなみに私が一番好きなのは175段です。

(14)勝又基編『古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた』

国語教員必読書です。
それ以外にも、特に日本文化が好きな人には読んでほしいです。
「古典が何の役に立つのか?」という問いを一般に示すことは確かに難しいですが、そこが文学者の弱みだなぁと感じます。きちんと整理して示す必要があります。完全に一般的な証明は難しいですが、ある程度の蓋然性を以て示すことはできそうな気がするのですが……。
この本の良い所はきちんと古典否定派がいることです。そしてこの本を読むと否定派の方の論理の方が明らかに筋が通っています。
私自身は古典大好きですが、否定派の言うように古典を必修でなくすのも選択肢としてアリだなと思いました。
しかしその場合、少なくとも学校以外で古典を学ぶことができる確かな環境が必要です。その環境が整っていないうちに学校から古典をなくしたら、本当に文化が滅びてしまいます。
この問題について、自分ができることは何だろうか、と考えざるを得ません。
私にとってはこれからの人生の指針ともなる一冊でした。
古典にそれほど興味が無いという人も、自分の好きなものがこの世から消えてしまう可能性を考えてみてください。そしてそれによってどのような影響があるでしょうか。具体例をたくさん挙げて考えると、色んな属性に分けたりすることができると思いますが、そういった思考は数学の中でも培われるのかなぁとぼんやり思いました。

(15)岡潔著、森田真生編『数学する人生』

世界的に有名な日本の数学者のエッセイをまとめたものです。
内容は文化論が中心です。
近年文系学問が軽視されがちであり、それに反対したいという(いわゆる)文系の人も多いのではないでしょうか。
著者は数学者ですが、いかに文化というものが大切かということを説いています。
文系理系という概念で人を分けるのではなく、まず全員この本を読み、手と手を取り合って将来を考えませんか。

(16)サイモン・シン著、青木薫訳『フェルマーの最終定理』

『数学する人生』を読んで、自分の成長のヒントは数学にあるだろうと思ったので、本格的に数学を学ぶにあたって、親しみやすい所から数学に近づくことにしました。
フェルマーの最終定理というあまりにも有名な定理を巡る、ノンフィクション・ドラマです。
『数学する人生』とは違ってしっかり数学の話ですが、詳しくわからなくても楽しめるので、数学が苦手だという人にもオススメです。

(17)アレックス・ロビラ、フェルナンド・トリアス・デ・ベス作、田中志文訳『Good Luck』

ここからビジネス書です。
といいたいところですが、この本は小説というか、自己啓発本というか、そんな感じです。
童話のようなお話の中に、大切な事がたくさん詰まっています。
一時間あれば読み終わる分量でありながら学びが深く凝縮されている、本当に良い一冊です。
運はなかなか巡ってこないし、巡ってきたとしてもすぐに離れていく。幸運は誰でも自分でも作り出すことができるし、ずっと自分に本物の幸せをもたらしてくれる。ただ、これを現実に落とし込めるかどうかもパースペクティブ次第なのだろうなと思います。

ちなみにこの本だけnoteの感想文がありません。
短いので今年も何度か読むと思います。
その時は感想文を書きます。

(18)木暮太一『超入門資本論』

マルクスの『資本論』の一部を、超わかりやすく解説してくれている本です。
「入門」と書かれた本が全然易しくないことはよくありますが、この本は経済学について何も知らなくても大丈夫です。
この本の一番良かったのは、二種類の「価値」を知れたこと、労働者の立場の弱さがわかったこと、資本主義の問題点が少しわかったことです。
経済の勉強したいけど、どこからしたらいいかわからないという人は、とりあえずこの本も読んでみたら良いと思います。

(19)スティーブン・R・コヴィー監修『まんがと図解でわかる 7つの習慣』

あまりにも有名な『7つの習慣』の解説本です。
私は原作を大切にしたい派ですが、この本は原作を読めていません。いつか読みたいです。
この本で最も印象に残ったのは「インサイドアウト」という考え方です。
これは私が小学生の時に思いついた事と同じなので、その点は大したことないのですが(超失礼)、名称を得たことと抽象化して広く使えるという事がわかったので、読んでよかったです。
「原則中心のパラダイム」というのも小学生の頃から意識していることですが、正直どの程度の効果があるのか、私には疑問です。まあ成功確率を上げるためには確かに重要かもしれません。
あと第三の習慣「重要事項を優先する」の中で説明されている、物事を緊急度と重要度で四つに分類する考え方はとても参考になりました。
本当に大事なことが書かれているので、是非色んな人に読んでほしいです。全人類に読んでほしい、ほんと。

(20)リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著、池村千秋訳『LIFE SHIHT;100年時代の人生戦略』

最後はこの本を。
元々有名な本ですが、最近2巻目が出たので、知っている人も多いかもしれません(2は買ったけどまだ読んでいません)。

日本政府が開いた「人生100年時代構想会議」にアドバイザーとして招かれた著者が、今後こんな風になるから、こんなこと考えなきゃいけないよ、ということを書いています。政府の方針に口出してるんだから、そりゃそうなるでしょう。
最近は「人生100年時代」という言葉も耳タコですが、実際に自分が100歳まで生きる計画を立てている人はなかなかいないのではないでしょうか。
勿論、人生何があるかわかりませんが、できるだけ考えてできるだけ備えるに越したことはないでしょう。
そういう点で、この本はめちゃめちゃわかりやすくてコスパが良いです。
特に読んでほしいのは大学生です。
できれば就活より前に読んでほしいですが、就活後に暇なら社会人になる前に読むことをオススメします。社会人はできるだけ早く読むことをオススメします。

その他オススメ本

無理矢理20冊に絞ってみたのですが、他にも紹介したい本があるので、タイトルだけ挙げておきます。

・湊かなえ『Nのために』
・島本理生『大きな熊が来る前に、おやすみ』
・司馬遼太郎『燃えよ剣』
・星新一『ボッコちゃん』
・井伏鱒二『黒い雨』
・秋葉四郎『短歌入門―実作ポイント助言』
・太宰治『斜陽』
・森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』
・森岡毅『苦しかった時の話をしようか』
・武田尚子『チョコレートの世界史』
・森絵都『カラフル』
・森絵都『永遠の出口』
・田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』
・スタンダール著、大岡昇平訳『恋愛論』
・カフカ著、高橋義孝訳『変身』
・ヤニス・バルファキス著、関美和訳『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい 経済の話』
・サマセット・モーム作、金原瑞人訳『月と六ペンス』
・スペンサー・ジョンソン作、門田美鈴訳『迷路の外には何がある?』
・宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』
・J.K.ローリング作、松岡佑子訳「ハリーポッター」シリーズ
・ロバート・L・スティーヴンソン作、田口俊樹訳『ジキルとハイド』
・フランソワーズ・サガン作、河野万里子訳『悲しみよ こんにちは』
・レイ・ブラッドベリ作、伊藤典夫訳『華氏451度』
・ジョージ・オーウェル作、高橋和久訳『1984年』

こんなところでしょうか。
有名な作品が多いですが、やはり有名なものは面白い割合が多いです。
もしかしたら見落としているものもあるかもしれませんが、きりがないのでこの辺りで。

おわりに

2021年は結構本を読むことができたので、今年もこの調子でたくさん本を読んでいきたいです。
本って読んでも読んでも気になる本が次々と見つかるんですよね。

今年の読書に関する目標は次のように設定しています。

・本を50冊読む
・本を100冊読む
・本を120冊読む
・数学関係の本を10冊読む
・経済関係の本を10冊読む
・美術関係の本を10冊読む
・教育関係の本を10冊読む

などなど。他にも『古事記』を読む、などいくつか作品を指定しているものもあります。
どこまでできるかわかりませんが、「本を50冊読む」と「○○関係の本を10冊読む」を一つは最低でも達成したいです。

どんな年になるかわかりませんが、とりあえずこんな感じで新年ゆるゆると始めていきたいと思います。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。

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