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◯◯

◯◯

ざらざらを舐めるのが
仕事なもんで

舐める

絨毯を
網戸を
次女の習字バッグを

◯◯ですか
いえ、私、もう出るところなんで

ええ、そうです
スイッチみたいなものです
時空が歪むんです

繊維の
奥にあるんです
土星の輪っかのその先の
入り口につながる小さな入り口が

光を
匂いを
音を
すーっと引き連れて

この場所から出ていきます
時間が
ここにあった時間が

そうして誕生日になります

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蚊がいる

二日目のお休みは不安だ

目をつぶって
細く息を吐いてみたり
鼻から
息を抜いてみたり

するけど
おやつの
食べ過ぎで

寒いのに
冷房の温度をあげる気力すらわかない

救いは
金魚が二匹
水槽のなかで
泳いでいること

たまに猫が近くで
のびをして
膝に毛がふれること

恐ろしいときには
空気が汚れていて
鴉はいつもより多く
空を飛んでいる

9月は、あたたかい

空は、
海との境目を
さかさ

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消失

もう卵を産みつけるのはやめてほしいのに
レモンの木の周りを飛んでいる

息切れした
犬のような夏は
お終いです

もう、秋なんです
育たなくていいイチジクが
のびのびになって
木の幹も
なんか太くなって

冷房の効いた部屋で
天津飯をたべてても
夏は終わるんです

当てずっぽうの言葉を
ちぎって投げたような夏が
秋の足首を引っ掴んで
井戸にひき摺り込もうとしています

何も始まらない
はずかしくな

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