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藤岡市・甘楽亭のタレカツ丼を食す

 ソースカツ丼ではない、タレカツ丼だ。

 というか、タレカツ丼とソースカツ丼は何がどう違うのか? そこで調べてみると、やはり両者は全く別物だった。

 ソースカツ丼の発祥地とされるのは福井で、名前の通りトンカツにウスターソースをくぐらせ、ご飯の上に盛られたキャベツの上に乗せるモノ。トンカツ定食をそのまま丼にした、というイメージか。キャベツが大盛りで思い出したが、金沢産まれのゴーゴーカレーもキャベツがてんこ盛りだ。北陸はキャベツの千切りが好きなのだろうか。
 一方、タレカツの元祖とされるのは新潟。とんかつよりも薄く切った肉を揚げ、醤油ベースのタレに一回くぐらせてからご飯に乗せる。ただしご飯のの上にはキャベツがなく、あったとしても薄く敷き詰める程度。本場では直に乗せるのが主流のようだ。

 今回紹介する藤岡市の甘楽亭は、そのタレカツである。

 店へ着いたのは土曜の昼。かつて『ケンミンショー』でも紹介されたそうで、もしかしたら混んでるか? と思ったがそうでもなかった。
 とはいえ、注文後に店内の様子を見ていると、お客さんは結構入ってきている。ただ半分くらいの人は席にも座らず、レジでほんの数分ほど待ったかと思いきや、厨房から出てきた店員さんから袋を受け取って帰っていった。

 そう、ここは持ち帰り弁当もやっていたのだ。なるほど、弁当なら家へ帰る頃にはタレが良い感じに沁みてるかもな、などと思っていると、来た。

 大きさが分かりづらいので、自分の手と比較してみた。

 結構デカい!

 ボリュームあるな、おい。いざ実食。

 ……サクッ、と来ました。
 そしてタレが口の中に、じわぁ~っっっと広がります。


 不思議なものです、間違いなく衣にはタレが沁みてるのですが、口の中でサクッ、てなるんです。そして甘辛なタレ。甘いけど塩がピリっと効いてて、ちょっと病みつきになります。

 何より、醤油ベースとは思えない濃さとコクがあった。これは味噌ダレの間違いでは? と思えるほどに。

 なにせ、一口目にまず連想したのが焼きまんじゅうなのだ。
 どこかで食べたような味がする、そうだ、焼きまんじゅうだ! と。しかし店のホームページには「タレは醤油ベース」とある。なら気のせいか、となったものの、やはり一口目の焼きまんじゅう感は忘れられなかった。

 だからこそ感じた。
 元祖は新潟だが、これは間違いなく群馬らしいタレカツであると。

土曜日の空は青かった

 ……また食べに来たいな。

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