山寺に登ったら神様みたいな笑顔に会えた
出向の為来た山形県。せっかく来たのだから、どこかに行っときたいとおもい、いろんな方に聞いた。結果1番多かった意見が「山寺」である。
山寺?
山に寺があるのかな?
そんなイメージしか持たずにGoogleマップさんに案内してもらい山形市は山寺へ。
山寺を簡単に紹介しとくと、慈覚大師が貞観2年に創建したと伝えられていて、本当は「宝珠山立石寺」という天台宗の山で、奥の院に続く約1000段以上の石段に沿って色々なお堂があり、松尾芭蕉も訪れているらしい。
そんな情報も知らず、のそのそと出向いてきた。
さ、寒い! 山とあってそれなりの厚着をしてきたが、もっと厚着をしてくれば良かった。しかし、その心配も杞憂に終わる。
奥の院に向かう情緒豊かな石段が誘うのは、良い景色や古くからの建造物だけでは無く、40過ぎのオヤジにはかなりの疲労を誘ってくれた。早々とジャケットを脱いでも汗がしたたってくる。
無知で行った私は、何処に向かって歩いているのかもしれず、心まで削られて登り続けた。
しかし、世間では働き盛りと言われる40歳、なんとかメインであるであろう「奥の院」周辺の「大仏殿」「五大堂」などを参拝し終わり、達成感満載で近くのお茶屋さんで休憩をすることに。
その時視野の端に見覚えのあるリュックが見えた。
Uber eats ? そこに居るみんな ????? となっている。
私も2度見どころか3度見してしまった。
3回目はUber eatsのスペルを1文字づつ確認しまくった。
そりゃそうだ、こんな山奥にUber eatsを頼む奴なんて、お坊さんしかいない。いやいや、こんな高貴な寺のお坊さんが、今や俗世代表のサービスを頼む訳がない。そうあって欲しい。
そもそも山形県にUber eatsはまだ無いはず。私以外の参拝者達も困惑した様子で彼を見ている。
そんな僕らをよそにUber eatsのリュックを背負い、その青年はたたずんでいた。
「仙台から東北を原付で旅してるんです。」
その青年は爽やかに何事もない様に言った。
恐らく多くの人に聞かれているのだろう。一時、Uber eats青年と近くにいた参拝者達と談笑し、青年は颯爽と下山していった。
以外な人物の登場でやけにテンションが上がりながら、私も颯爽と下山していた。
思ったより楽しかったな。予想以外の旅人にも会えたし、その彼を輪にして参拝者の人達とも話し出来たし。そんな事を思いながら早く帰ってビールでも飲もうと思っていた。
その時、前から遺影を持った1人の男性が登ってきた。
瞬間、私は男性に魅入ってしまった。
おそらく、歳は70代で身長も高くなく、体格は少しがっしりした感じだ。失礼な話よくいる感じなおじさんにだ。
何というか、雰囲気がとても落ち着いていて、見ているこちらも自然と体の力みが抜ける様な感覚になった。奥様であろう遺影にも、景色や建造物を見せる様に手で色々な方向にかざしている。なんといっても魅入られたのが
穏やかな笑顔
私は端に寄ってすれ違う姿をただ見ていた。完全に不審者だが足が動かなかった。
後光がさして、神々しいオーラ満載なわかりやすさはなくても何となく
「あーあれは神様やな」
1人納得したが、さすがに後ろ姿に拝むことはやめておいた。
何となく来て、かなり疲れたけど心の充電とやらが出来かなりいい日だったんじゃないだろうか。
私もあのおじさんの様に、周りに影響を与える様な穏やかな雰囲気に、神様の様な笑顔になれる人間になりたいな。
何より山形がまた1つ好きになったのがよかった。そう考えながら本日1本目のビールをあけるのであった。