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メタバースが変える"自己表現"と"アイデンティティ"

この記事は、アバターやメタバースが、私たちのアイデンティティをどう変化させていくか、についての4部シリーズの第1弾。

このシリーズでは、アイデンティティのポリティクス、表現の倫理観、逆識別、そして私たちはどのようにアバターに似てくるのか、私たちのアイデンティティはメタバースにおいてどのように「商品化」されるのか、について議論していきます。

この新しい現実に関わるニュアンスを、私のアバター作成の過程と一緒に解き明かしていきましょう。

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筆者について

Giovanni Castillo:エイクエントUS・メタバース エバンジェリスト
NASAエイムズ研究センターや北アリゾナ大学などで、バーチャルとリアルの世界を融合させるデザイナーとしての経験を経て、現在エイクエントUSにてメタバース開発を担当

アバターにアイデンティティが生まれる

メタバースについてご存知でしょうか? それは、新しいタイプのインターネットを搭載し、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの技術によって強化された、没入型の共有空間です。

リアル世界とデジタル世界をより具体的な方法で結びつけることで、人々の交流や生活、そして真にグローバルな新しい人間社会の実現に向けた大きな可能性が新しく生まれるでしょう。私たちの今の生活やアイデンティティに影響を与えることを考えると、多くの人が関心を持つのは間違いありません。

近い将来、バーチャルな体験がより一般的になり、リアルな体験はより少ない、贅沢品になるでしょう。

例えば私の場合、朝の最初のミーティング前に、15分から20分かけて(アバターの)着替えをします。

今日は、自分の肌の色ではメキシコ人であることがよく伝わらないと思い、色を濃くしてみました。本家ザッカーバーグのアバターと同じような表情にはしたくないですから。それから、鮮やかなブルーのシャツと紫色のパンツを履いて、ブーツを履く。

でもよく考えたら、これでは「仕事に本気じゃない」という印象を与えてしまうかもと思い直し、服の色をトーンダウンして、肌をもっと黒く、ネクタイをして、エミリアーノ・サパタ風の口ひげをつけて、もっとまじめに見えるように着替える。

これは、まず自分のアバターを着飾るからできることで、私のミーティングのほとんどはメタバースでおこなわれるので、誰にでもなれるのです。

あなたは、"なぜメタバースでアバターを作るの?"と疑問を持ったかもしれません。

私はアバターと一緒に生活するようになって、もう2ヶ月が経ちました。最初は、自分のセカンドボディであるアバターに無関心でした。でも最近は、自分のアバターを大切にするようになりました。私は複数のメタバースに住んでおり、それぞれにアバターがあります。だから、私はリアルの自分を除いた3つの"アバター体 "を持っているということになります。あるアバターではゲームを、あるアバターではビジネスを、そしてあるアバターでは自分がどうあるべきかをシンプルに試しています。

メタバースでは、すべてのアイデンティティが同じように作られているわけではないことを忘れないでください。

ここで考えてみよう:

  • アバターを現実の自分の外見とどれくらい同じくしたいですか? あなたのアイデンティティの重要な部分を、どれくらいアバターでも表現したいですか?

  • 異なるコンテクストに対して、異なるアバターを作成したいと思いますか?

リアルとの境目、無意識な偏見

数週間前、アバターを太らせてミーティングに参加してみました。 視線を浴びているような気がしてしまい、自意識過剰になっているような気分でした。そこで、少しスリムになって、女性アバターを作ってビジネスミーティングに臨んだらどうなるだろうと考えたのです。

そこで、私の中のすべてが変わったんです。私はどんな性別にもなれるし、人々は私を違うように扱うだろうか? また、現実世界と同様に、特にビジネスやより正式な交流の場では、自分のことを誤解させたり誤魔化したりしないように注意する必要があります。

無意識の偏見を探り、文字通り他人の立場に立ってみるために重要なレッスンとなりました。

ここで考えてみよう:

  • アバターを変えることで、自分のアイデンティティをさまざまな側面から試したいと思いますか?

  • 私のアバターを、現実の私を知っている人たちに対して、現実の私のアイデンティティと異なる形で表現することは倫理的でしょうか? それでは、現実の私を知らない人たちだったら?

自分自身がアバターを反映するモノになる

アバターで十分な時間を過ごすと、やがて私自身がメタバースで作った身体の反映するものとなっていきました。どういうことかというと、例えばこの前美容院に行ったとき、アバターの髪型を考えていて、「これいいな」と思ったんです。その結果、美容師さんにレーザーアートを入れてもらうことになったんです。

それから数週間後、モロッコに行ったとき、革製の靴を見かけ、「アバターと同じだ!」と思いました。それでそれを買って、少しずつですが、アバターに似ていったんです。変身の完了です。

アバターで十分な時間を過ごすと、やがてあなたはメタバースで作成した身体の反映となっていくでしょう。

アバターの中で過ごす時間が長くなればなるほど、その意味を考えなければなりません。もはや、インスタグラムで見るプロフィール写真や、絵文字で表現されるだけのものではなくなります。このアバターは、完全に再現された動く人型アバターで、なりたい姿やしたいことが何でもできるようになるのです。

ここで考えてみよう:

  • アバターに合わせて現実の容姿を変えようと思ったことはありますか?

  • 一線を越えるような、あるいは行き過ぎたと感じたアバターはありましたか?

個人から仕事の場でのアバター活用

私たちが個人のアバター・アイデンティティを探求し続ける中で、ブランドや企業がどのようにアバターを選択するかについても問いかけを始めています。会社や職場の空間では、メンバーのアバターがメタバースにおけるブランドを代表することになります。

メタバースにおいて、私たちがどのように自分たちを表現するかを選ぶだけでなく、ブランド(企業)がどのように自分たちを表現するかも興味深いところです。

消費者として、私たちはブランドの共同創造者になります。個人のアイデンティティとブランドのアイデンティティの境界線は、アバターのバーチャルな風景では曖昧になるでしょう。その正体は私たち消費者が決めることになりますが、企業は私たちが購入できるバーチャル商品でエコノミーを実現しようとしています。

シリーズ第2回では、アバターのアイデンティティがブランド表現にどのような影響を与えるのか、また、企業がブランドを反映するためにアバターについてどのように考え始める必要があるのかについて、考えていきます。

第2回もお楽しみに!

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