出会い13~神の子

お館様は少しずつ、話してくれた。

もともとは、影丸の母は私の村の出身だと言う。戦の折り見初められ、なかば奪うように連れ去られた

影丸の村の占い師のばばは、今年生まれる男の子に神々が味方し、大いなる事を成し遂げるものが現れるであろうと告げた。

お婆も良い年、老いたな、そんなのがこの村に産まれるわけないべと皆口々に言った。

あの戦で、連れてこられた娘はあまりにも美しかったが、恐怖のあまり口もきけず、固まったまま何も出来ずに過ごしていた。

眺めるだけの毎日。そのうち女が身籠っているとわかった。慌てて婆に見せると、この子じゃ、間違いない。社に預けるように申し渡される。

まだ、口も聞けない女は社で大切に保護された。

男が1人部屋に戻ると村長が訪ねてきた。

私の娘を貰って欲しい。子供を父親なしで育てるわけにいかないと泣いて訴える。いずれ、私の後を次がせよう。

どうしたら良いのか、わからないまま引き受けてしまった。

社で生まれた子供は凛々しかったが、身体も小さく弱かった。

生き延びさせる為にお婆も母親も必死だった。少しずつ、弓を教え森の怖さと優しさを伝えた。いつか、走り回るようになった。


ここまで

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