ひんやりと寒い日
『自分のこと大切にしてね、
寒くなってきたからお風邪ひかないように
気をつけてね』と言った私に対して彼もまた
【あなたは身体が弱いんだからお布団かけるのよ】と返した。
ついこの間までこれは当たり前の会話だったのに今ではお互いの身体を思い合う関係ではなくなっていて本当はこんなやりとりはとっくに 必要ないふたりになってしまったことに複雑な気持ちになった。
一緒に過ごしていたから私はあの人の
寝相の悪さを知っていた。
寝ている間に彼が遠くに蹴飛ばしてしまった
お布団をやれやれと掛け直してあげることも、
もう私の役目でないことも。
それでも変わらずあの人のことを
心配してしまう。
どうか、あたたかく過ごして欲しい。
私の心はまだ、追いつけていなくて
ついそんなことばかり考えてしまう。
最近まただんだんと肌寒くなってきた。
これからはひとりで過ごしていかなければ ならないのだと思うと、途端寒さが増した。
私は寒いのが苦手で冬が大嫌いだったけど、
今年の冬にあの人と出会い、ずっと一緒に過ごしたおかげで22歳にしてはじめて
冬が好きになれた気がする。
そろそろ冬がくる。寒さに弱い私は今年も きっとまた冬が嫌いになると思う。
寒くなる度にこれまでを思い出しては
予定していた存在しないこれからの未来を
思い浮かべてしまう。
傍で一緒に過ごしてくれる人がいたから
寒い日でもあたたかかったことに
本当はずっと前から気付いていた。
新調した冬用のブランケットにくるまって
あたたかいスープを飲む。
それでも指先は冷えていく、
私は今年の寒さをひとりで越えられるの
だろうか。
未来のことはわからないし、私がやさしい
あたたかさを見つけられるのはまた当分は先のお話なのかもしれない。それでも
どうか、あたたかく過ごしていて欲しい。