見出し画像

本の学び

きいろいゾウ  西加奈子


この本を
はじめて読んだときの
感想は

情景描写は好きだけど
物語から伝わる
悲しい思いが
当時のわたしには
ちょっと重かった

悲しい出来事の方が
伝わり過ぎてた

なので
西加奈子さんの本は
ちょっと避けてた


約15年の時が経ち
出会った
『サラバ』

あれ???
やっぱ好きだ


改めて
『きいろいゾウ』
再読してみた


”ほとんど白に近い
頼りない月が
電車にこっそりと
ついてきて
わたしはその努力を
涙ぐましいと思う”
P233

”せめて橙色だったら
良かったのに”
P234


どんな心で
夜空を見上げれば
こんな感想を
持てるんだろう?


わたしも
車窓からの月を
眺めたこと
あるのに



今回
この本を手に取り
1番心に残った言葉は

「わたしは眠ります
それがそこにあることを
知っているから

わたしは
安心して眠ります
それがそこにあることを
知っていたから」P336


”僕は
人生というものが
ただそこにあるものだと
知った”P426

”それだけで
安心して
眠るに値するものだと
目覚める理由が
あるものだと
知ったのです”P427


”それでも
それをとても
あやうい何かだと思い

消えてしまう可能性に
怯え

恐ろしい想像に
蓋をしていた”P428


確かに
人は
自ら勝手に
人生を複雑にしてる



ちょっとページを
戻す


”でも
アレチさんや
ムコさんは
自由に生きてる

好きな場所で
好きな人と
暮らしていける

ぼくは
うらやましかった

そんな風に思ったのは
初めてだったよ

ぼくはずっと
大人になるのが
怖かったから”P250


子どもの立場での
大地くんの
シンプルな言葉


”簡単だけど
途方もなく尊いこと”

“それがどれだけ
簡単で
厄介で
優しくて
尊くて
そして苦しいこと
だったのか”P428



本って
そのときの
年齢や経験で
読む人の心に
刺さる言葉が
変わってくる

だから
本の学びは
やめられない


再読してよかった


“さっきまで
あんなに近かった月が
今はもう小さく
知らないふりして
空に浮かんでいるのだ”P453


涙で文字が歪む


”じわじわと健康な塊が
広がっていく感じ

それはずっと
そこにあったものだから

一度広がると
どんどん
元のやりかたを
取り戻す”P459



開け放つ
窓からの風が
心地よい
この季節に
この本が読めて
良かった

庭の景色が
いつもと少し
違って見えた



『サラバ』を完読したら
(まだ上巻後半)

西加奈子さんの
初期の作品も
もっと読もう

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集