整理整頓が苦手なASD・HSP向け:散らからない部屋づくりメソッド
「片づけなきゃ…でもどこから手をつければいいの?」
「一度片づけてもすぐにぐちゃぐちゃに…」
——こんな悩み、ありませんか? ASD(自閉スペクトラム症)やHSP(Highly Sensitive Person)の傾向があると、視覚的・感覚的な刺激に弱いうえに、物事の優先順位づけがむずかしかったりして、整理整頓が大の苦手!という人は少なくないんですよね。
実は私自身も、ASDのグレーゾーン傾向&HSPの気質を持ち合わせているせいか、「この部屋、いつ片づいた状態になるんだろう…」と長年頭を抱えていました。でも、いくつかの**“散らからない”ための仕組みづくりを試した結果、以前よりはるかに整った部屋で過ごせるようになったんです。
もちろん完璧ではないけど、「散らかりにくい仕組み」「片づけやすい部屋」**があると気持ちがかなりラクになる——そんな経験をシェアしたいと思います。
1. 最初に“視覚ストレス”を減らす工夫を
(1) 視界に入る情報を減らす
ASD・HSPの人にとっては、物がたくさん見えている状態自体がストレスになります。そこから「片づけしなきゃ…でもどこから…」というスパイラルに陥りがち。
見えるところに積まれた書類・雑貨類は、とりあえず箱やファイルにまとめて“視界からオフ”に。
カラーボックスや棚を使う場合、扉付きのものを選ぶとスッキリ見えます。扉を開ければ多少乱雑でも、閉じると“見た目”はシンプル。
例:とりあえず“箱に放り込む”BOXを用意
「どこに仕舞えばいいか分からない…」と思ったら、とにかく一時保管用の“とりあえずBOX”を作ってみるのがオススメ。時間があるときに、その中身を改めて整理すればいいので、散らばった状態を回避できます。
2. “定位置管理”は苦手だからこそ大胆に
(1) 「ここに戻す」が分かりやすい仕組み
ASD・HSPの人は、“きっちり定位置を決めて全部しまう”というやり方が難しい場合が多い。そこで、できるだけ分かりやすく・シンプルに定位置を作るのがコツです。
ラベリング:たとえば引き出しに「文具」「書類」「ケーブル」と貼ることで、迷わず突っ込めるようにする。
カテゴリーを大雑把に:細かく分類しすぎるより、「文房具一式」「雑貨全般」みたいにザックリくくる方が片づけやすい。
例:カゴにドサッと入れてOK方式
たとえば、文房具なら引き出しの1つに「文房具カゴ」を入れておいて、ペンもハサミもぜんぶそこに突っ込むだけ。細かく仕分けるのは苦手でも、1つのカゴにまとめるぐらいなら意外と続けられるんです。
3. “捨てるハードル”を下げる
(1) “ゴミ袋を常設”作戦
部屋が散らかる原因の一つは、「要らない物が散乱しているのに、捨てるのが面倒or判断ができない」という状態。そこで、部屋の一角にゴミ袋や不要物用の箱を常設しておくと、スッと入れられるようになります。
迷ったら「とりあえず不要箱へ」→ 後日まとめて処分を検討。
開封済みの段ボールや包装紙など、大きなゴミもすぐ捨てられるようにすると溜まりにくい。
(2) “一時保留エリア”で捨てる恐怖を減らす
ASDの傾向があると、捨てることに抵抗が出やすい(「いつか使うかも…」など)。HSP的にも「捨てたら後悔しそう…」と不安になることも。
一時保留用の箱を作る→「1ヶ月経っても使わなかったら捨てる」などルール化。
時間を置いて冷静に見ると「やっぱり使わないな…」と納得しやすい。
4. “視覚優先”のレイアウトづくり
(1) “ここにある”が見えるように
ASD・HSPの人は、目に入ってくる情報に過敏なぶん、“見えてない”ものは存在を忘れがち。しかし、同時に“ごちゃごちゃ”してるとストレスを感じる。この矛盾をどう解消するか?
中身が見える収納を活用する:クリアボックスや透け感のあるケース。
“見せたくない物”は扉付きの棚にまとめて、あとはカゴ収納で「○○はここ」とパッと見で分かるようにする。
例:仕事道具はワンセットで“見せる収納”
在宅ワークの方なら、PC周辺機器・ケーブル・文具などをワンセットにまとめ、クリアケースで見えるようにしておく。「あれどこだっけ?」というパニックを防ぎやすくなります。
5. “習慣化”のためのルーティンを作る
(1) 1日5分だけ片づけタイム
「片づけしなきゃ…」と思うほど重荷になるなら、1日5分だけを決めて集中的に片づけるのがおすすめ。
毎晩21:00〜21:05はリビングだけ片づける
朝の支度前に5分だけ机周りを整える
どう効く?
ASDの人はルーティン化すると安心しやすいし、HSPの人も短い時間なら負担が小さい。
5分というミニマルな制限だと「これくらいならできるかも」と取りかかりやすいんですよね。
(2) “帰ったら○○”ルール
もし外出から帰ってくると物を床に置きっぱなしになるなら、ルールを1つ決めるのが効果的。
「帰宅したら靴を揃えるついでに、手に持ってる荷物は決まった場所へ」
「鍵は必ず玄関のフックにかける」
特にASD特性の人は、同じ動作を繰り返すことで落ち着きを得られることが多いので、**“帰ったらまずこれ”**と一つ決めるだけでも散らかりがちのものが減ります。
6. “溜まる前に”コマメに処理するコツ
(1) その場処理・即行動
郵便物・DMが溜まってしまうなら、ポストから取ったらその場で要否を仕分けして不要なものは捨てる。洗い物なら「すぐ洗ってしまう」「終わったら拭いて食器棚へ戻す」など。
ASDの特性で「一度置くと忘れる」「後でやろうと思っても先延ばし」になりがちなので、**“見つけたらすぐ処理”**を意識してみると意外とスッキリする。
HSP向け:少しずつ処理のほうが心がラク
「一気に溜まった物を長時間かけて片づける」はHSPにとって疲弊する作業。コマメに少しずつなら、一度に受けるストレスが少なくて済むんです。
7. “デジタル断捨離”で情報過多もカット
(1) PCやスマホのデスクトップを整頓
ASDの人は画面上のアイコンの配置が気になる一方、HSPの人はメール通知やSNSの大量情報に圧倒されることが。
不要ファイル・通知はオフに: スマホの通知を減らし、メールも必要なもの以外は配信解除しておく。
デスクトップはフォルダ分類: アイコンを少なくし、“○○関連”フォルダを作ってまとめると視覚ストレスを減らせる。
(2) SNSのタイムライン整理
情報が多すぎると頭がパンパンになって、物理的な部屋も片づけのモチベーションが消えやすい。フォローを絞る・通知を減らすなど、デジタル環境からも余計な情報を断捨離すると、部屋の片づけにもプラスに作用します。
8. “憧れの完璧収納”じゃなくていい
(1) 自分に合った“ほどほど”レベル
完璧なインテリア雑誌のような収納を目指すと、ASD・HSPの人は逆に疲れて続かないことが多いです。ちょっと雑だけど、これくらいでまあストレスないよねというレベルを目指すと長続きします。
HSPは「整えすぎて使いにくい」状態になると精神的に追いつかない。
ASDは「仕組みはシンプル」かつ「一定のルール」があれば安心する。
例:ラベリングを雑でもOKにする
「ラベリングはきっちり印刷しなくちゃ…」とこだわるより、マスキングテープに手書きでいいから貼るだけ、というラフさで続けるほうが現実的。あとで気になったら作り直せばいいや、くらいの軽さも大事。
9. “視界をリセット”する習慣
(1) 1日1回、部屋を見回す
たとえば寝る前5分、サッと部屋を360度見渡して「テーブルの上に物が出てるな」「床に服が落ちてるな」を確認。そこだけ片づけてから寝る。これだけでも翌朝のストレスが違います。
ASDの人は1日の終わりにルーティン化すると安心しやすい。
HSPの人は朝起きたときに散らかっていない部屋だと心に余裕が生まれる。
(2) 週1回、部屋全体の写真を撮る
写真に撮ると、**客観的に“ここが散らかってる”**と気づきやすいんです。ASDは視覚情報に敏感だけど、意外と部屋全体を俯瞰できないことも多い。HSPは写真を見て「ここが乱雑に見えるか」と落ち着いて判断しやすいんですよね。
10. “散らからない部屋”は心の負担も減らす
片づけが苦手だと「何がどこにあるか分からない…」「いつ片づけるんだ…」と頭の中でもモヤモヤが溜まる。でも、ASDやHSPの人にとっては、散らかってる状態自体が視覚・感覚的なストレスになって、さらに悪循環に陥りがち。
だからこそ、シンプルな仕組みづくりや視覚情報の削減が効くし、完璧じゃなくても“そこそこ整ってる”だけで心の余裕が生まれるんですよね。
視覚ストレスを減らす
定位置管理をざっくりシンプルに
捨てるor一時保留で迷いを減らす
ミニ習慣で片づけを続ける
デジタルの断捨離も忘れずに
完璧主義じゃなく“ほどほど”でOK
こういったコツをちょっとずつ取り入れるだけでも、散らかりやすい部屋がだんだん“散らからない部屋”になってくる。もちろん試行錯誤は必要だけど、ASD・HSPの特性を理解して自分に合うメソッドを見つけると、片づけがラクになって心の負担もグッと減るはず。部屋が整えば、毎日がちょっとだけ気持ちよく過ごせますよ。お互い、無理なく続けられるスタイルを探していきましょうね。