「地域包括支援センターのICT化」 夕暮れの包括から 第7回
今回は「ICT」についてまとめました。福祉のICTは正直遅れているのが現状だと思いますが、時代の流れと共に、業務に入り込んできています。私個人は、福祉職の前職がシステム管理的なことをしていたため、馴染みがあるのですが・・・。
【地域包括支援センターとICT】
地域包括支援センターの業務は、電話・来所・訪問などの相談業務が中心ですが、時代の流れに伴い、多くの業務がICT化しています。
相談の訪問が終わると、パソコンの前でデスクワークが待っています。記録だけでなく、付随する書類も多いため、データの管理は大変です。
以前は記録がすべて手書きでした。(かなり昔の話しです。)当時、パソコンでの記録入力を提案したことがありましたが、先輩から「味が無くなるから」と却下されたこともありました。今は当然のようにパソコンで記録入力。それを考えると時代の流れには先輩方も逆らえなかったのだと思います。
【私の地域包括支援センターとICT】
私の地域包括支援センターでは、相談員一人ひとりにパソコンがあり、常勤相談員にはタブレットも支給されています。地域包括支援センター専用のソフトウェアを使用し、相談などの記録はデータベース化されており、請求業務もインターネット経由で行っています。これは当然の流れですが、ひと昔前の手書きですべてが完結していた時代を知る者としては、変化が非常に速いと感じます。
特に今年度に入りスケジュールはGoogleカレンダーにて共有、チャットを使って業務連絡、ドライブを使ってデータ共有するなど、変化がより早くなっているように感じられます。
【ICTのデメリット】
ICT化にはメリットとデメリットがあります。メリットは多いですが、デメリットの一つとして、システムの設定やメンテナンスを担当する職員が必要になることが挙げられます。私がその担当をしているのですが、これがまた大変です。全員が同じパソコン設定をするわけではなく、個人の使い方に合わせた設定が求められます。日々更新されるシステムや、突然出てくるエラーメッセージに対応することが必要で、トラブルが集中すると、対応に追われて相談業務ができない日も出てきます。
また、行政がまだICT化されていない部分もあります。記録は電子化されているのに、申請は紙で持参しなければならないなど、効率化とは逆行する手間がかかることもあります。しかし、行政のICT化も進んでおり、電子申請が可能な項目も増えてきているため、将来的にはかなり効率化されると感じています。
【将来は・・・】
技術の進化は止められず、いずれは相談員がAIに代替される可能性すらあります。すでに、一般的な相談においてはAIの方が確実に対応できる場面もあると思います。人間としての付加価値をどこに見出すかが課題になる時代も、そう遠くはないでしょう。
とはいえ、相談業務の根本はケースワークです。会話以外の情報をしっかり把握し、アセスメントを行うのは、人間の方が得意なはずです。
ただ、現時点ではほぼ無いのですが、今後、モニタリングのオンライン化が始まることを考えると、重要なノンバーバルコミュニケーションが軽視される環境変化に戸惑いを感じることも事実です。
ICT化はあくまで支援の質を向上させるための手段であり、基本的な部分は変わらないで欲しいと、経験が長く古い人間としては感じてしまいます。
「手書きの記録は味がある」と言っていた先輩に、私もなっているのだと実感しています。
次回は「地域とのつながり」についてまとめます。