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#19 自己覚知の大切さ
地域包括支援センター相談員として普段から心がけていることをまとめています。今回は、相談員の自分自身のこととして考えていることです。若い頃、自分のことを考える習慣はなかったのですが、相談員として経験を積めば積むほど経験が邪魔をすることもあり、自分自身のことを考ええることは本当に大切なことだと思います。
【自己覚知】
支援する上で、相談員は自分自身のことを把握しておくことが大切です。自分の能力はもちろん、組織や地域の中での立ち位置、自分に協力していただける関係機関の存在、得意・不得意分野のことなどを把握するようにしています。
自分自身のことを把握することを「自己覚知」と言います。
【自己覚知は難しい】
地域包括支援センターでは深刻な相談もあれば、行政と調整が必要な内容、緊急性が高い相談など、日々様々なことが起こります。そのような様々なことが起こりえる環境の中だからこそ、相談員自身の現時点での疲労や感情、体調などをある程度把握しておくことが大切です。
時間単位・日単位・週単位・月単位で変わることもあり、ちょっとした変化も含めて自己覚知するのは本当に難しいです。
難しいため、場合によってはスーパーバイザーによる適切な関与が必要となる場合もあります。
【重要なのは】
個人的に一番重要な自己覚知は「相談員としての感性」「考え方の傾向」だと思います。その時の感情ももちろん重要なのですが、利用者に悪い影響を与えるリスクが高いのが、この2項目だと思います。
そのため、支援者の感性・考え方をできるだけ本人に影響しないよう配慮することはとても大事だと思います。
それ以外にも、相談員として必要な知識は、できる限り得るようにしています。必要な知識には制度の理解などわかりやすいものもありますが、例えば関係機関の特徴などの細やかな情報も重要な知識です。
【親和図法】
相談員は利用者などの話を聞く機会が絶対にあります。相談は内容が多岐に渡ることが多いため、話しをまとめる方法を知っておくことは重要です。会話の内容を言語化し、似たような内容をまとめることを「親和図法」と言います。
本人や家族などから出た発言・意見などは確認の上、必ずメモを取ります。メモの中で、似たような内容があればまとめます。すでに書いてあるメモの近くに書くなどして、話を聞きながらまとめていきます。多くの場合、似たような内容をまとめると、話しの論点は多くても4・5種類程度なので、頭の整理にも活用できます。
まとめた内容は本人・家族にも伝えます。今回はこの内容について話を聞いたということが伝わることで、本人・家族も「聞いてもらえた」と安心していただき、結果として幅広い話を聞くことができます。
【優先順位】
親和図法にてまとめた内容について、頭の中で整理します。情報提供するもの、サービス調整するもの、傾聴するものなどに分けます。その中で解決が必要なことの優先順位をつけ、それを本人・家族と共有します。
その上で、まずは優先順位1番目の対応について説明。1番目について理解いただいたら、優先順位2番目について説明します。本人・家族が混乱をきたすようになったら、他の相談内容は次回の相談の時に改めて確認することなどし、1回の相談にて説明する内容は絞るよう配慮します。
これらを行うことで、結果として相談時間が短縮することが多いです。相談員としての負担も軽減されると思います。
ただし、特に初回相談では本人・家族の相談が続いている間は無理に優先順位・対応方法などの説明はせず、まずは相談内容がある程度尽きるまで話を聞くこと・メモを取ることに専念するようにしています。
このようなことを自己学習し、自己覚知することで、より良い支援につながると思っています。
次回は番外編「地域包括支援センターと検索すると」をまとめます。