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#6 包括の予防プラン

 今回は「予防プラン」についてまとめました。地域包括支援センターの業務ではないと断言する相談員もいるほど、ある意味特殊な業務ですが、私個人としては一番好きな業務だったりします。うまく伝わると良いのですが。


【予防プランとは】

 地域包括支援センターの業務の一つに、介護予防支援・介護予防ケアマネジメント(通称「予防プラン」)があります。これは、利用者と契約を結び、直接ケースを担当し、さまざまなサービスを調整したり、ケアプランという計画書を作成したりする業務です。
 定期的に自宅訪問し、生活状況などを確認。必要に応じてサービスを紹介して調整します。介護保険サービスに関する費用・請求の管理も担当します。

【地域包括支援センターの役割】

 すべての利用者を地域包括支援センターが担当するわけではありません。介護保険を申請し、要支援1・2と認定された方は地域包括支援センターが担当します。要介護1~5に認定された方はケアマネジャーが担当します。
 例外として、要支援1・2の認定を受けた方でも、ケアマネジャーに業務の一部を委託することがあります。
 令和6年度から、要支援1・2の認定の方とケアマネジャー事業所が直接契約することができるようになりました。私の自治体では1つの事業所が指定を取り、直接契約できるようになりました。

【資格】

 要介護認定がある方を支援するケアマネジャーの場合、介護支援専門員の資格が必要です。地域包括支援センターでは、保健師、経験のある看護師、または社会福祉士の資格があれば、介護支援専門員の資格がなくても担当が可能です。
 介護支援専門員になるには試験に合格する必要がありますが、試験を受けるために相談業務の経験が必要です。ただ、地域包括支援センターで予防プランする場合は、極端な話、大学を卒業したてで社会福祉士の資格を持つ方が、経験なしで予防プランを立てることが可能です。

【予防プランの現状】

 私の所属する地域包括支援センターでは、予防プランの件数は全体で月に約300件、私の担当はそのうち約35件です。以前は最大で月平均65~70件を1年間ほど担当していたこともあります。予防プランを専従で担当する職員もいれば、他の相談業務と兼務している職員もいます。私も兼務しています。
 予防プランの報酬単価は低いため、常勤・専従配置が難しいのが現実です。私の地域包括支援センターでは、全体の相談件数の半分が予防プランに関するものです。ケアマネジャーに委託している割合は20%以下。全国平均の50%には到底及ばない状況です。

【課題】

 介護保険の申請をする高齢者の割合は年々増加していますが、介護認定が低く出る傾向があります。その結果、要支援認定を持つ高齢者が増え、委託することも難しいため、地域包括支援センターが対応しなければならない予防プランの件数は増加の一途をたどっています。
 統計を取ると相談件数の半分が予防プランに関するものとわかります。結果として総合相談などの業務が圧迫されています。

【負担軽減??】

 地域包括支援センターの業務負担軽減について、厚生労働省にてさまざまに議論されていますが、現実的ではない改善案が多いです。
 以前は地方分権改革にて自治体から負担軽減に関する要望が多かったですが、令和6年度に入り無くなりました。自治体もあきらめムードとなっています。報酬単価の引き上げなどの話もありません。そのため、人員増にはつながらず、どの地域包括支援センターも少しずつ増える業務量に追われています。正直、相談員がバーンアウトしないか心配です。
 そのため、予防プランについては報酬単価を引き上げ、せめて常勤専従できる相談員を雇える環境を整えてほしいと切に願っています。
 とはいえ、個人的には予防プランを兼務することで利用者との距離が近くなり、「仕事をしている!」という実感が持てるので、それ自体は良い経験だと感じています。

 次回は「ICT化」についてまとめます。


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