
置き去りのこころ
ずっと置き去りにしてしまった
自由な心の私を
広い空のもと、あたたかな風と、海のにおいと
分厚い雲と、その奥に存在する太陽と
何度も波が押し寄せる海と、空も砂浜も
すべて切り離してしまった
自由に風に舞ってクルリと回り
大きな口で笑う私を
ポーズを決めて
あなたのもとに走っていく私を
あなたの隣で笑う私を
自ら切り離してしまった
置いてけぼりにされた私は
ずっと一人
あてもなく彷徨っている
あなたのいない
誰もいない海を
一人、彷徨い続けている
ふと振り返ってみても
風になびく髪を直すフリをし
反対側を探してみても
誰もいない
ポツンと一人
取り残され
風が吹く砂浜で
一人、曇り空の海岸を歩く
どこまでも一人
当てもなく彷徨い続けている
あ、あの時の子だって駆け寄っても
すっとまるで蜃気楼のように
消えてしまい
あ、あの時の私たちと思って
近づいてみても
あなたが笑いながら手を振っただけ
そして消えていってしまう
だから私は
いつまでもいつまでも
曇天の砂浜を
お気に入りのビーチサンダルで
歩き続けている
トボトボと
肩を落とし歩き続ける
ときおり脚にまとわりつく砂を
はらい退けながら
なつかしいいくつもの蜃気楼を見つめながら
涙がこぼれそうなのを
空を見上げ
なんでもないフリをして
歩き続ける