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ブラウハウスの哲学者
ケルンの老舗ブラウハウス、ジオンに行くのは2回目でした。今日は少し遅めの20時30分の予約で、ゆったりとした時間を過ごしました。ドイツ料理を食べ続けているので、今日は軽め。薄生地のピザのようなものと、ローストビーフ。
客の入れ替わりのタイミングだったこともあり、最初の1杯が出てくるのが遅かったのです。私たちのテーブル担当の若い男性店員は、「待たせて申し訳ない、最初の1杯はおごります」そう言ってくれた。
ここのビールは200mlのグラスを何度もお代わりするシステムです。支払いの時に何杯飲んだかを確認する時も、最初の1杯ずつは無料だからと言ってくれました。ですからそのまま勘定をしました。
ケルンに5日いるんです、支払いの際に彼に言うと、今日は何日目かと問われます。最後の夜なんだと話すと、どういう訳かお礼を言ってくれました。楽しめましたか、次はどこに行くんですかと。
明日からはストラスブールなんです。そう言うと、彼はストラスブールはとても良い町だから楽しんで、と握手されました。
帰り際に彼がもう一度私たちのテーブルに来て、スマートフォンの画面を見せます。この人のことを憶えてて欲しい、できれば本を読んで欲しい。彼はそう言います。
ジャン=ルーク・ナンシー。私は聞いたことがありません。どんな種類の本を書く人なのかを訊きました。「フィロソフィーだ、ぜひ読んで欲しい」
どうして私か゚哲学書を読むような者に見えたのかは知りません。ヘーゲル、カント、デカルト、ラカンなどについての著書があり、ポスト構造主義後のフランス哲学の重鎮だと、ウェブサイトを通じて知りました。
3年前にストラスブールで亡くなった哲学者のことを、英語か゚下手なただの日本人客に教えたかったのか、それはわかりませんでした。でも日本語訳があるようなので、近いうちに1冊は読んでみようと思いました。