【詩】感情
調子はどうだい。口を開いた。
僕はたまらず手を伸ばす。
外へ出たのはいつぶりだろう。
小風を捕まえて聞いてみる。
どこでも近くに咲いている、
黒い影さえも愛しくて。
春を失った物足りなさと、
エバーグリーンの髪の色。
別れの時まで泣きもせず、
無邪気に笑った閉塞感。
乱れを知らない葉脈と、
移り変わりゆく瑞々しさ。
満たされないのは、穴が空いてるからじゃない。
誰かが盗んでいくからだ。
溢れて止まらぬその声に、
どうして名前がつけられようか。
そして立ち上がるベンチのそばに、
一輪、二輪のノボロギク。
頷く祈りを抱きしめて、
君らもそうか、と呟いた。