2024夏・モンゴル→中国を国際列車で
こんにちは、今回は2024年の9月に乗車した、モンゴルのウランバートルから中国の内モンゴル自治区のフフホトまで25時間かけて走る国際列車について書いていきます。最後に列車の予約の仕方を書いておくので、実際に乗ってみたいという方は参考にしてください。
ウランバートル駅から国際列車に乗車
この日は、日本人の友人と現地で出会った韓国人カップルの四人でエルデネトから寝台列車に乗ってウランバートル駅まで来ていた。(そのため寝台列車で2連泊する旅程であった。)
日中はウランバートル市内を観光した後、ひと足先に帰国する友人と、この後もモンゴルに残ってゴビ砂漠を観光すると言っていた韓国人カップルと別れ、ひとりウランバートル駅に戻った。
駅は待合室とトイレ、コーヒーショップくらいしかない簡素な作りだが、中にちょっとした展示があったので少し見学した。
発車の1時間ほど前だったがすでに列車はホームに停まっていた。
モンゴルの駅はセキュリティが厳重な中国国鉄とは異なり荷物検査は一切なく、ホームにも自由に立ち入ることができる。
列車は中国国鉄の車両とモンゴル国鉄の車両が混在していて、今回私が乗った中国までいく車両は中国車両で、越境しない国内区間のみの車両はモンゴル車両であった。
今回乗った列車はウランバートル発フフホト行きの列車だ。コロナ前まではモスクワ発ウランバール経由北京行きもあったので本当はそちらに乗りたかったのだが、2024年9月当時はまだ再開していなかった。
発車20分前くらいになって、列車に乗れるようになったのでドアの前で乗務員に乗車券が表示されたスマホの画面を見せて乗車。乗車前のチェックはこれだけで良く、これから国境を越えるとは思えない緩さでびっくりしてしまった。
20時22分に出発。今回予約した席は最高ランクの軟臥車。中国の寝台列車は基本相部屋だが、今回は乗客が少なかったので一部屋独り占めできた。施錠ができるので盗難の心配もなく、しかも使わないベッドに荷物や服を置いたりできたのでめちゃくちゃ快適だった。
国境を越える客車の乗客はあまりおらず、乗務員が部屋を一つ占領してタバコ休憩をしていた。自分の客車に乗っていた他の客はモンゴル人の中年女性とその母親の二人だけで、空室だらけであった。
乗車してしばらくすると、中国人の乗務員のおじさんが部屋に入ってきた。パスポートを確認したのち、何か中国語で話しかけてきたのだが、当時私は中国語を「ニーハオ」と「シエシエ」しか知らなかったので全く聞き取れなかった。(よくそれで中国に行こうとしたなという話ではあるが)
仕方ないので自分のスマホのGoogle翻訳のマイクをオンにしてもう一度喋ってもらうと、どうやら「你会说汉语吗?(中国語話せますか)」と言っていたらしく、翻訳させてる時点でどう見てもわかんないだろと思いつつ首を横に振って会話が終了した。
車内にはモンゴル側の乗務員も乗っていて、モンゴル国内止まりの客車の担当をしていたらしいが、時折中国側の客車にやってきて中国人の乗務員と翻訳アプリを使いながら業務連絡っぽいことをしていたのが印象的だった。
翌朝、国境を越えて中国へ
目が覚めるとすでに列車は国境付近まで来ており、しばらくするとモンゴル最南端のザミンウード駅に列車は到着した。
ザミンウード駅のモンゴル出国の流れは以下のようだった。
①到着前に乗務員にパスポートの写真を撮られる
②8時30分に駅到着後、乗務員にパスポートを渡す
③9時30分ごろに軍人が乗ってきて、ベッドの下を確認する(手荷物検査や質問は無し)
④9時50分に出国スタンプが押されたパスポートが返却
⑤10時に発車
待ち時間は長かったが、基本的に列車の外に出ることはなくベッドで寝てるだけで良かったのでかなり楽であった。
中国入国、しかし台車交換は見られず
ザミンウード駅を発車するとしばらく何もない緩衝地帯を走り、フェンスと石碑みたいなのが建っているところを超えると中国に入国する。中国側は公園として整備されていて、国境の至近まで近づいて写真を撮っている観光客と思しき中国人が何人かいた。(外国人が入れるのかは不明)
公園を抜けるとまもなく中国側の最初の駅、二連に到着する。
二連駅を境に線路の幅が変わるので、(モンゴルは広軌、中国は標準軌)この駅で台車の交換を行う。以前の訪問者のブログでは乗務員に頼めば車内に残ってそのまま台車交換の様子を中から見学することが可能だと書いてあったため、乗務員に車内に残って良いか翻訳アプリで聞いてみたが、降りるように言われてしまった。少し楽しみにして居たので残念だったが、他の乗客も皆降りてしまい、早く降りろという雰囲気だったので大人しく降りることにした。
もしかしたらコロナを境に規則が変わってしまったのかもしれない、、、もしくはもう少し中国語力があればゴネて居させてもらうこともできたのだろうか。
二連駅で待機、そして再出発
列車を降りると、駅舎の中にある入国審査場に案内された。ここで普通の空港のように入国カードを書き、審査官にパスポートのビザを見せて、簡単な質問を受けてスタンプを押してもらい、最後に荷物検査をしてあっさり入国に成功した。驚いたことに、私の列の審査官の若い男性は日本語を話すことができて(高校で勉強したらしい。上手ですねと言ったら少し照れていた)、日本語と英語混じりで質問をしてくれたので、終始和やかな雰囲気であった。こんな辺境にも日本語を話せる人がいるとは思わなかった。
駅の外に出ると、西洋人観光客と思しき集団が屯していた。どうやら一緒にモンゴルから越境してきた人たちのようで、このあとフフホト方面の列車に乗るにはどうすれば良いか分からず困っているらしい。私もよく分からなかったので一緒にいると、しばらくして中国人の警備員がやってきてあっちにいきなさいというふうに指示してくれた。
国内線(フフホト方面)の乗り場は国際線の乗り場から数十m離れた別の駅舎にあり、続けて同じ列車に乗る場合でももう一回荷物検査やパスポートのチェックを受けて駅に入り直さなければならなかった。
待合室はモンゴル人と思しき客の他に西洋人観光客もかなり多かった。中国の田舎なのに外国人ばかりというギャップが面白い。
この時11時過ぎだったが、発車は13時45分でまだ2時間以上もあったので、英語で彼らと雑談したりしていた。中には夏休みを使って家族4人で東アジアを何週間も旅行しているというスイス人もおり、このあと日本にも行く予定らしくなかなかアクティブだなと感じた。以前ヨーロッパに留学した際は韓国人や中国人が仲間という感じだったが、中国人が多数派の中国ではむしろ西洋人にマイノリティとしての仲間意識を感じてしまう。
12時を過ぎてお昼時であったが手持ちの食料が尽きてしまった。頭の中の井之頭五郎が「腹が...減った...!」と言い始めたので、昼ごはんを調達することにした。
待合室には、中国によくあるショーケースにQRコードが貼ってあってAlipayとかで読み取って支払うと扉が空いて商品が取り出せるタイプの自販機が設置してあったので、そこで売っていたカップ麺でも食べようかと画策した。(中国の駅には給湯器があるのでその場で調理することができる)
しかし、AlipayもWeChatPayも読み取っても中国の銀行口座情報の入力を求められてしまい使えず…(この手の自販機はこういうパターンが多いんですよね)
そこで、発車までかなり時間があったので、近くにいたスペイン人カップルに荷物番をお願いし、パスポートとスマホと財布だけ持って二連の街に繰り出してスーパーを探しに行くことにした。
5分ほど歩くとスーパーがあったので、とりあえず色々買ってみた。国境の街ということもあってか国際クレジットカードにも対応しており、なかなかいい感じの店であった。
13時30分頃になると改札が始まり、台車交換が終わった列車に再度乗り込んで再出発した。個人的には台車交換イベントが見られなかったのは残念だが、他の乗客と交流したり、二連の街を散策できたのは楽しかったので降りて良かったと思う。降りないと食べ物なかったし
フフホトへ到着
もう一眠りし、暗くなってきてから先ほど買った食料を食べ、また一眠りすると、高速鉄道の車両とすれ違い、都市部にやってきたことを実感した。そこからさらに1、2時間ほど走ると、ようやく終点のフフホト駅に着いた。この時点で夜の9時半であった。長い旅が終わった。
フフホトは内モンゴル自治区最大の都市で、めちゃくちゃ栄えている。この日はフフホト駅前のホテルにチェックインし、翌日は高速鉄道で北京に向かった。
モンゴル鉄道の予約の仕方
最後に、今回利用したモンゴルの鉄道の予約方法について説明する。
モンゴル鉄道は国内線国際線問わずtapatripというモンゴル版Trip.comみたいなアプリで予約することができる。ただし、国際線はモンゴル発の列車のみである。
ちなみに今回はウランバートルからフフホトまで通しでチケットを買い、2万円ほどかかったが、二連やザミンウードで分割するともっと安くなるらしい。(しかしtapatripではザミンウード→フフホトや二連→フフホトの購入はできなかったので、現地の窓口で手配する必要がある。)
支払いは日本のクレジットカードで可能だが、稀に弾かれることもあるので注意。
ちなみに中国側からモンゴルに鉄道で行く場合は、おそらく中国鉄路12306やTrip.comで二連までの乗車券を購入したのち、それ以降の乗車券は二連駅で手配するという方法になるはず。二連駅から南にすこし歩いたところにモンゴル鉄道の窓口があったのでそこで買うことになるのではないだろうか。(オンラインで切符を手配する方法は不明)
記事は以上です。皆様のモンゴル、中国旅行の一助になれば幸いです。