食卓の向こう側(5)火星人 食べ物ちゃんとかめますか?
「子どもたちの口が開かなくなって…」。受話器の向こうで、担任教諭の声は困惑していた。
昨年三月のことだった。咀嚼(そしゃく)と脳機能の研究で知られる中村学園大教授の坂田利家(67)=当時は大分医科大教授が市内の学校で二年生に
「よくかめば頭がよくなり、健康にもなる」と語りかけた。
電話があったのは、その数日後。話を聞いた子どもたちが急に張り切り顎(がく)関節が炎症を起こしたらしい。五十人中、五人。
「こんなにまで、あごが『運動不足』だったとは」。あごの衰えが進んでいる現実をあらためて思い知らされた。
半年後の学会。「二〇五〇年、日本人の下あごはここまで退化する」。パソコンに映し出されたシュミレーション画像の顔は、あごが小さくて目がぎょろりと大きい。SFに登場する火星人のよう。
食べ物は食べやすくなり、肉はミンチに、玄米は白米に。卑弥呼の時代は今の六倍かんだと推定される。
この数十年でレトルト食品、フリーズドライ食品、ゼリー状の栄養補助食品などが普及。
菓子売り場も硬いせんべいより、柔らかい洋菓子が圧倒的に多い。「軟食化」は食全般に及ぶ。
坂田は懸念する。「本当に火星人になるかもしれない。脳の働きにも影響するのでは」
福岡市東区にある杉の子保育園。午後三時のおやつで、離乳後期のゼロ歳児から二歳児までは、ゆがき野菜のスティックを食べる。今日は大根。ゴボウ、セロリ、レンコン…。野菜は日替わり。
野菜スティックをおやつにしたのは、かむ力を鍛え、味覚も豊かにするため。子どもの咀嚼力低下が言われ始めた一九八〇年半ばに、取り入れた。
「咀嚼の基本を身につける大事な時期ですから」と、調理員の勝野享子(48)。
給食で、肉がかみ切れず(あるいはかもうとせず)肉汁だけ吸って塊を出す「吸い食べ」の園児が、時々いる。三、四歳ごろまでたって入園した子どもたちの方が、かむのが苦手な傾向もうかがえる。
ヨーグルトやプリン、ホットケーキだけという朝食も珍しくない。確実にかみごたえが薄れている。
目の前のさじにプリンがあればどうするか。上下の唇で挟み、舌も使ってプリンを口へ運ぶだろう。実は生まれつきできるこどもは、母乳、離乳食、幼児食を通して、三歳ごろまでに訓練された成果なのだ。
佐賀県武雄市の小児歯科医、増田純一(61)は、不適切な食事や虫歯など、さまざまな原因から上手に咀嚼できない子どもや、舌に力が入らず、さじを口で挟めない子どももいる。
「咀嚼が不自然だと歯並びも崩れる。口の周りの筋肉が発達せず、おしゃべりも不明りょうになる。意識も低下する」。
時間をかけて、訓練、治療すると、徐々に顔が引き締まり、性格も活発になるという。
しっかりかむことで脳が刺激され、生命力が向上する。最近、味覚刺激や口のマッサージで高齢者が機能回復した事例も増えた。
坂田も増田も「咀嚼は生きる力そのもの」と言う。
乳幼児の食事で「丸のみ」が増加
10年ごとの「乳幼児栄養調査」(厚生労働省、親にアンケート)によると、2歳児〜3歳未満児の「丸のみ」は 1985年の 11.0% が、95年には 16.0%に増加。「硬いものがかめない」は 5.4%から 6.6%へ、「かんでものみこめなかったり口から出す」は 9.8% から 15.1%へ増えた。
転載終わり
小さい頃、ポン酢に大根おろしを入れて、ナマコを食べるのが好きだった。
噛みすぎて、あごが痛くなってた記憶がある。笑
今の子はナマコなんて食べないんだろうな〜。
フリーペーパーにリチャードブランソンの記事が載ってて、彼がお肉食べない(ヴィーガン)ことを初めて知った。
「動物の細胞を培養して多種多様な食肉加工品をつくる」ことに力を入れていると書いてて…ギョッ😅
そのあと関連記事も見つけて読んでみた。
このメンツをみてピンときた方、仲間です!笑
昆虫や人工肉を食べたい人ってどれくらいいるんだろう?
大物投資家たちがこぞって投資してるから(なんとソフトバンクも😅)
この先、食糧不足でこういう食事が広がってくるのだろうか?
最近よく聞くSDGs(Sustainable Development Goals の略)の目標も、明らかにそちらを目指してる感じだし😅
リチャードブランソンは数十年先と言ってたけど
一般の家庭の食卓に上る日もそう遠くはないのかも。。。
なんだか、色々と考えさせられる今回の記事でした!