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戦略コンサルタント流の会議術(前編)

戦略コンサルタントのアップルです。

2回にわたって戦略コンサルタントの「会議術」についてポイントをご紹介します。会議の生産性はちょっとした心がけで大きく改善するものです。会議運営に課題をお感じの方や戦略コンサルタントの会議術にご興味ある方はぜひご覧ください!

※前編では、戦略コンサルタントにとって会議運営が肝であること、会議術の3つのポイントのうち2つについて書きます

戦略コンサルタントにとって会議は主戦場

戦略コンサルタントにとって、会議は仕事の中心を占めます。クライアントとの会議も日々行いますし、社内のチームでのミーティング、1on1での個別ミーティングなど、会議付けの日々です。

特に、プロジェクトマネージャーになると、メンバーの検討を方向付けするためのミーティング、メンバーのアウトプットをレビューするためのミーティング、クライアントのオーナーやリーダーとのミーティング、営業の仕込みのミーティング、・・・などとあらゆる会議でスケジュール表は埋め尽くされます。

アップルも一時期、
「私の仕事は会議です」
と吹聴してた時期がありました笑。

いずれにせよ、ジュニア、シニアを問わず会議は戦略コンサルタントにとっての主戦場です。なぜなら、会議は、

・論点、仮説、アウトプットの進化
・意思決定の前進
・実行やアクションの前進

をドライブしていく「場」だからです。いくらいい調査や分析をしても、会議運営がうまくいかないと戦略コンサルティングのバリューは発揮されません。それくらい会議は大事です。

このように会議が戦略コンサルタントにとっての主戦場であるため、会議の生産性を上げるためのお作法やテクニックが戦略ファームには根付いています。

ちょっとした工夫の話もあるのですが、クライアントの事業会社と接していると、そうしたちょっとした工夫もできていないことが散見されます。これからご紹介する内容は基本的にオーソドックスなことですが、これを徹底するかしないかで会議の生産性には大きな差が生まれてきます。

会議術の3つのポイント

会議術のポイントは3つあります。

1.会議の目的や種別の設定
2.会議の時間と時間配分の設定
3.会議資料づくりのお作法・型

これら3つが噛み合うことによって実のある会議が実現されます。
逆に、どれか一つでも欠落すると会議の生産性に影を落とします。

これからそれぞれのポイントをご紹介していきますが、一つひとつのことは決して難しいことではありません。そうした一つひとつのことを丁寧に積み上げることが大事で、それによって会議の生産性は大きく向上します。

1.会議の目的や種別の設定

世の中には目的が曖昧な会議というのがあふれていると思います。目的が曖昧だと、その会議のアウトプットも弱くなるため、会議の生産性(アウトプット÷投下時間)も低くなります。それぞれの会議について目的を明確にするのが出発点となります。

会議の目的には大きく3つの種別があります。

(1)議論
会議に何らかのインプット(議論用の資料)を持ち込み、それをもとに参加者で議論するという会議です。最も一般的な会議形態かもしれません。

なぜ議論をするかと言えば、何らかの仕事上のアウトプットを進化させるためです。そのため、会議の生産性は、持ち込まれたアウトプットがbefore会議に比べて議論によってどれだけ進化したかによって問われます。

(2)報告と意思決定
組織の役職上位者に対して何かを報告し、それに基づいて意思決定をするような会議です。このタイプの会議では、会議の生産性は意思決定がどれだけ前進したかによって決まります。意思決定が前に進むためには、意思決定の材料である「報告内容」の質が問われます。質の高い報告がなされることと、会議の議長である意思決定者の判断力との掛け算によって、このタイプの会議の生産性は決定づけられます。

(3)ブレスト
何かを議論したり決めたりというカチっとした目的の会議ではなく、リラックスしながら発散させましょうというたぐいのことを目的とする会議です。目的が発散なので、会議の生産性は「発散の総量」によって決まります。

発散されたもの、すなわち参加者から出された意見やアイデアを可視化するため、ホワイトボードを使いながらやることが多いです。


このように大きく3タイプの会議目的・会議形態があるわけですが、会議を設定するにあたっては、この3タイプのどれを主眼とする会議なのかを明確にし、参加者に対して宣言をすることが重要です。

また、上記をご覧いただくとわかるように、会議の目的や形態によって生産性のKPIが異なる点にも留意が必要です。タイプに応じてKPIを最大化するような会議運営を想定することが大切と言えます。

2.時間と時間配分の設定

会議の目的や種別が決まったら時間と時間配分を決めます。
例えば、議論の会議であれば、

・今回の会議で議論すべき論点やアジェンダの総量を踏まえたとき、どれくらいの尺が必要か?
・議論用の資料の説明時間と議論の時間配分はどれくらいにするか?半々にするのか、それとも議論の時間を長めにとるべきか?

というようなことをあらかじめシミュレーションします。

ここに対する感度は極めて重要です。尺が短すぎたり、時間配分の想定を見誤ると、会議は消化不良となり、ネクストアクションにしわ寄せが来ます。会議の主催者には、会議の成功を具体的にイメージしながら時間や時間配分を的確に設定する力が問われるというわけです。


今回はここまでです。
次回、後編では「3.会議資料のお作法・型」について書きます。
また会議運営全体を通じてとても大事になるスキルについても言及します。

次回もぜひご覧ください!



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