
2020記事まとめ(4/5):戦略ファームの実態と内情
まとめ記事の第四弾です(そろそろ打ち止めの予定です笑)。
note開始以降、戦略ファームの実態や内情についての記事をたくさん書いてきました(もちろん、守秘義務などに抵触しない範囲の一般論に近い形で)。なぜかといえば、戦略コンサル志望者を想定読者の一つに設定していることもありますが、内情を文字に起こすことでアップル自身の頭の整理に役立てようと思ったことも背景の動機にあります。
戦略ファームは守秘義務があるため、その仕事の実態や内情は外部から見えづらいと思います(実際、競合ファームの動きは、そのファームに仲の良い知り合いでもいない限り見えづらい)。もちろん元コンサルの人などが書いた本は出ているので、そこから実態を窺い知ることはできるかもしれませんが、それもリアルタイムではないので、今この瞬間どうなっているかは示されていません。
このように外から見えづらい業界であるため、外部の人からすれば意外なこともあるんじゃないかと思います。
そこで、このまとめ記事では、外部の人からすると意外にみえるんじゃないかと思うものを7つ厳選?して、まとめておきたいと思います。
戦略ファーム志望者の方に限らず、興味本位でも結構ですのでぜひいろんな方に見てもらえればと思います!
※ディスクレーマー※
・ランダムに並べたので構造化やMECE化はされていない点ご容赦ください
・コンサル業界に近い方(中の人や、知り合いがいる人)にとってはさして意外性がないと思いますが、これもご容赦ください
ご紹介するのは、以下の7つです。
1.ロジックツリーを使うのは素人である
2.フェルミ推定は実践でも使う
3.戦コンに最も大事な、隠れた地頭要素
4.シニアからみるとジュニアは相当無能に見える
5.戦コンの価値が出しづらくなってきている
6.戦略以外のこともたくさんやっている
7.シニアになるほど”右脳化”していく
1.ロジックツリーを使うのは素人である
ロジカルシンキングの本の最初に出てくるロジックツリーやイシューツリー。これは実践であまり使えない/使わないということを、理由とともにまとめました。
ロジックツリーを描いて網羅的に論点をつぶしていくような遠回りをしていては、とてもじゃないけどスピーディーにアウトプットは出せませんし、最終的にシャープな提言ストーリーに落とし込むことを念頭においても実践的ではありません。
2.フェルミ推定は実践でも使う
フェルミ推定といえばケース面接のお題の鉄板。コンサル業界志望者は必ず対策をします。
フェルミ推定は決して面接のお遊びでやっているわけではありません。論理的思考力や計算力をチェックするのに有効という側面はもちろんありますが、コンサルの実践でフェルミ推定を使うことがあります。どのように実践で使うのかも含め、フェルミ推定って大事ですよ~ということをまとめたのがこちらのエントリーでした。
3.戦コンに最も大事な、隠れた地頭要素
地頭と言うと、頭の回転とか、左脳・右脳とか、いろんな言われ方をされます。もちろんこれらも大事ですが、実は一番大事なのが「思考体力」であるとアップルは考えています。思考体力とは、すなわち粘り強く考え続ける力。いくら頭が良くても、思考体力がない人は戦略ファームで行き詰まります。
なぜなら、戦略コンサルタントとは、誰よりもたくさんクライアントのイシューに対して考える仕事だからです。
4.シニアからみるとジュニアは相当無能に見える
これはストレートすぎてやや言うのがはばかられますが、戦略コンサルティングという業務特性、組織特性を背景とした事実です。職人技っぽい仕事には共通する構造と言えます。
戦略コンサルティングは熟練度がモノをいう仕事です。1年選手、5年選手、10年選手との間には大きなスキル・ノウハウのギャップがあります。なぜ大きな差が開くのかのメカニズムを図解しつつ、記事にまとめたのがこちらのエントリーでした。
5.戦コンの価値が出しづらくなってきている
戦コン含め、コンサルティング業界は人気業界になっていますが、こと戦略ファームのオーソドックスなプロジェクト(事業戦略の策定など)関しては価値が出しづらくなってきている側面もあります。
あくまで一つの見方ではありますが、情報でサヤが抜きにくくなってきているのが、大きな変化点ではないかと感じます。従来は、クライアントが知らない情報(マクロトレンド、業界知見、顧客ニーズ、競合の動向など)をインプットすること自体に価値がありました。つまり、クライアントと戦略ファームとの間に「情報の非対称性」があり、それが価値の源泉の一つになっていたわけです。
しかし最近では、ネットで調べればある程度のことがわかる上、インタビュー先をマッチングするサービスも出てきました。これにより戦略ファームの人的ネットワークからの一次情報すらも価値が毀損しつつあります。このあたりについてまとめたのがこちらの記事です。
6.戦略以外のこともたくさんやっている
戦コンと言うと、大企業の命運を左右するような全社戦略や、中核事業の事業戦略を切れ味鋭く提言するイメージがあると思います。しかし、戦略ファームも近年ではかなりプロジェクトの種類が多様化しており、ファームによって差はあれど、それって戦略って言えるの?というようなプロジェクトも扱っています。
どんな種類のプロジェクトがあるのか、アップルの知り得る範囲でまとめたのがこちらの記事になります。
7.シニアになるほど”右脳化”していく
戦略コンサルタントといえば「左脳」「ロジカルシンキング」のイメージが強いでしょう。
確かに、アナリストやコンサルタントには、これらの力が大いに求められます。しかしマネージャー以上のシニアとなると、話は変わっていきます。
左脳の特徴は「積み上げ」「形式知化しやすい」というものです。対して右脳は「直感」「暗黙知」。シニアになるほど、経験が蓄積され、物事を直感的に判断するようになります。つまり、右脳化していくわけです。
そんなことも含め、役職別にケイパビリティがどう変わっていくかの全体像をまとめてみたのがこちらの図です(詳しくは、記事をご覧ください)。
いかがでしたでしょうか?
コンサル業界の中の人にとってはどれも当たり前でしょうが、外部の人からするとちょっと意外だなと感じる話があったのではないかと思います。
2021年も、戦略ファームの内情を、お話できる範囲でお伝えしていきたいと思います!