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『ブラックボックス』の感想

明日はどうなるか誰にもわからない

ということを、サクマの刑務所生活を通して、改めて気付かされた作品だった。

ラストを読むまで、サクマの社会的地位がどんどん降下してく様子に、とても心が重たくなった。

しかし、ラストで、サクマは、

ムショに入るなんて皆わからなかったんだから、
未来もどうなるかわからない

と気づく。

少しばかりではあるが、社会の生き抜き方に気づいた、サクマの成長を感じた。
(個人的に、「主人公の成長」という点で、宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』と共通しているように感じられた。)

「未来のわからなさ」を、個人的には、じんわりと感じた作品だった。

将来が明るくない人に、少しばかり勇気を与えてくれる(裏を返せば、今上手くいっている人に、この先どうなるかわからないということを伝える)作品にもなると思った。

2021下 芥川賞 砂川文次『ブラックボックス』

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