小川洋子『博士の愛した数式』を読んで
終わりから10ページ前くらいだろうか。鼻につんと来るものがあって、頭の下に敷いていた羊の抱き枕まで涙のようなものが伝った。
この本は、80分しか記憶が残らない博士のもとで働く家政婦とその息子(頭のてっぺんが平らなので博士からルートと呼ばれていた)の3人で過ごした日々を描いた作品となっている。
"博士"はかつては数学博士であったが、ある時交通事故に巻き込まれ、脳に障害が残ったために、大学での勤務を辞めることになった。その後は、日々"ジャーナルオブ"に掲載されている数学の懸賞