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GFI:2022年の発酵市場レポート

Good Food Institute(GFI)は,毎年代替タンパク質に関する市場のレポートを公表しています。非常に質の高いレポートですので,ぜひご覧ください!

100ページを超えるようなちゃんとした資料ですので,時間がないと読み上げるのは大変だと思います。そこで,GFIは,この資料の解説セッションをYouTubeに投稿しています。こちらは1時間程度なのでまだ見やすいですかね!

いずれも英語なので,今回は日本語版で解説記事を出していこうと思います!よろしくお願いします!



代替タンパク質分野の"発酵"とは?

"発酵"という言葉は誰でも聞いたことがあると思います。納豆とか醤油とかお酒とかパンとかのあれですね!馴染み深いですよね。実は,このような発酵は,GFIの定義する"発酵"のうちのひとつなのです。GFIの定義では,"発酵"はもっと大きな意味で使っています。

GFIの定義する発酵

発酵は,菌類・細菌・微細藻類などの微生物を使用して,タンパク質,脂肪,または他の機能性成分を生産または加工するプロセスです。伝統的な微生物の選別技術や,新規のゲノム工学・合成生物学と呼ばれる分野の技術を利用して,微生物に目的の物質を作らせます。

3種類の発酵

発酵には3種類ある!

GFIは,発酵は大まかに3つの手法に分けられるとしています。

  1. 伝統的な発酵
    植物由来の成分を微生物で処理し,独特の風味や栄養,食感を持つ製品を生産する手法。
    例:パン,ビール,チーズ,ヨーグルト,納豆

  2. バイオマス発酵
    微生物の素早い成長を利用して,大量のタンパク質を生産する手法。この技術は,伝統的な肉や乳製品の代替製品の生産に使用されます。
    例:Meati社の菌糸体ステーキ,Quorn社のマイコタンパク質グラウンド

  3. 精密発酵
    微生物を細胞工場として使用して,特定の機能性成分を生産する手法。この方法は,ビタミン,酵素,インスリンなどのホルモンの生産に使用されてきた手法で,これを代替タンパク質生産に応用・拡大したものです。
    例:Perfect Day社の動物フリーのホエイ(本来は牛乳などに大量に含まれる)やThe Every Company社の動物フリーの卵タンパク質が挙げられます。

世界各国の企業で生産が行われている
アジアでのスケールが未だ追いついていない

商業的な動向

現在,30カ国以上にまたがって,130社以上の発酵に特化した企業が存在しています。これらの企業は,新しい施設の建設や既存の施設の拡大を進めており,多くの国の政府からの支援を受けています。特に,発酵のボトルネックとなっている製造能力の問題を解決するための取り組みが進められています。

2022年は,発酵を活用した製品の商業導入が最も多かった年となりました。米国の小売りで販売されている精密発酵製品は,昨年約30種類あり,そのうち半分が新製品とのことです。

今後の市場予測

近年,代替タンパク質分野への投資は大きく増加しています。例えば,オランダは,R&D・商業化のサポート・教育・労働力の移行リソースを含む6000万ユーロ規模の投資を細胞農業分野に行いました。
米国は,代替タンパク質や発酵技術の投資の大部分を占めてきましたが、2022年にはアジア太平洋・ヨーロッパ・中東での投資が増加しました。特に,アジア太平洋地域での発酵技術への投資は67%増加し,95億 USDに達しました。一方,2022年,代替タンパク質への投資は合計で29億 USDに達しましたが,これは2021年と比較して42%の減少でした。この減少は,個人投資全体の環境と一致しています。特に,フィンテックなどのVCが資金を提供するセクターは,年間で46%減少しました。これは,米国で2021年に代替タンパク質分野への投資が飛躍的に伸びたことが原因です。

2040年までの代替タンパク質の市場は,900億 - 1100億 USDの範囲で予測されています。

発酵分野の投資推移

終わりに

バイオテクノロジーとしても最先端で,食品以外の応用も考えられる発酵技術。日本でも投資が伸びており,有望な企業も数多く研究開発を行なっています。近い将来,アニマルフリーでコスト変動の小さいプロテインや牛乳がスーパーに並ぶかもしれませんね!


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