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西洋哲学史

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記事一覧

西洋哲学史補論① キリスト教と天動説

アリストテレスの天動説
 西洋哲学史①において、アリストテレスの天動説について論じた。
すなわち、「アリストテレスの地球中心説的な世界観・宇宙観においては、地球が宇宙の中心にあり、宇宙の最外層には、その諸々の運動の原因となっている、何者にも動かされずに自足しつつ他のものを動かす「不動の動者」が控えている。アリストテレスは、これを「神」(テオス)である、とも述べている。」とまとめた。
  これが、ア

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西洋哲学史まとめ④

イギリス経験論vs大陸合理論

 近代哲学は、基本的に中世批判であり、スコラ哲学批判である。
「近代哲学」には、〝イギリス経験論〟と〝大陸合理論〟という分類があり、これが延々と続いていく。この2つの流れ自身は、プラトン(合理論)とアリストテレス(経験論)の時代からあったと見ることもできる(西洋哲学史まとめ①参照)。
「知識をどのようにして獲得するか?」と言ったとき、大陸合理論の場合は、経験から学ぶ

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西洋哲学史まとめ③

 今回は、中世哲学のまとめとなります。
 この時代においては、主に神の存在証明が主題となっています。

アウグスティヌス(354~430)

 アウグスティヌスは、ローマ帝国が衰退し滅亡に向かう頃に活動し、次の時代(中世)の中心思想を確立した。キリスト教はローマ時代にも認められていたが、あくまでも周縁的なものだった。中世になってはじめて、キリスト教は世俗的な力をもつようになる。その基礎を築いたのが

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西洋哲学史まとめ②

 ヘレニズム時代において、ギリシアのポリス社会は、アレキサンダー大王の遠征後崩壊してしまっていた。社会秩序は不安定になり、政治や社会に期待ができなくなっていた。そのような時代においては、自己の内面世界の安定、個人がどう生きるべきかを問う思想が流行することとなった。
 ここでは、ピュロン、エピクロス、セネカの思想を概観する。

ピュロン(BC365頃~BC270頃)

 ピュロンは、極端な「懐疑論者

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西洋哲学史まとめ①

最終更新日 2022.03.07

 本まとめでは、哲学史上の著名な哲学者の思想の概略をまとめるとともに、各哲学者の重要な哲学用語を概説していく。

存在論的転回

 ギリシャ哲学では、存在とは何か?あるいは世界は一体どうなっているのか?という、いわゆる〝存在〟のあり方を分析する。
 〝世界〟をどのように理解するかというのが、ギリシャにおけるひとつの大きな問題であった。これを「存在論的転回」という

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