No.3 『Think Smart』 ロルフ・ドベリ (著)
『Think Smart』 (ロルフ・ドベリ 著、安原実津 訳 / サンマーク出版)
No.1で紹介した『Think clearly』の著者の最新刊。
前回は「よりよい人生を送るために必要な52の思考法」が紹介されていたが、今回は「やるべきことではなく、やるべきべきでないことを避けるための52の思考法」について紹介されている。
この中で、私が共感できたもの・学びを得られた思考法についてまとめようと思う。
・新年の抱負が達成できないわけ 【先延ばし】
ここでは、なぜ大事なこと・やらなきゃいけないことをいつも後回しにしてしまうのかについて書かれている。
その理由として、
「始めてから成果が出るまでの時間がかかる」「精神力・意志力を持続することは難しい」
ことが挙げられている。
これらを踏まえて、先延ばしを回避するためには、期限を設ける・自分の意志力を維持し続けることは不可能であることを理解することが重要がと述べている。
期限といっても目標だけを決めるのではなく、パート毎に分けたり、中間目標を掲げたりすることが有効である。
自分の集中力・意志力が続かないことで自己嫌悪に苛まれ、やる気をなくしてしまうことが多かったのだが、これは当たり前であることを知れてよかった。
新しいことや大事なことに取り組む際には、期限や目標を決め、休憩・リフレッシュすることを忘れずに、自分の意志力を充電しながら、取り組みたいと感じた。
・ほかの人も自分と同じ考えでいるように思うわけ 【偽の合意効果】
人は、無自覚のうちに大多数の人は自分と同じ考えでいる、と思い込んでしまう。
これは趣味嗜好から、あらゆる仕事の場面でも起こる現象だろう。
自分の価値観や意見と違う人と出会ったとしても「変わり者」と決めつけてしまわず、様々な価値観に触れることが自分の思考に深みを持たせることに繋がると気づかされた。
自分を含めて多くの人は違う意見に出会うと、その意見に対して懐疑的になってしまうが、むしろ自分の意見に懐疑的になる必要がある。ということも今まで気づけなかった学びである。
・最適なものを見逃す場合が多いわけ 【選択肢の見過ごし】
MBAを取得するべきかを例に挙げて、思考の罠について説明している。
一つ目が、「スイマーズボディ幻想」。
一流の水泳選手の体形が完璧なのは、水泳のおけげではなく、もともと体格に恵まれた人が水泳選手になったからである。という考え方で、
MBAの場合も、もともとキャリアを重視していた人がMBAを取得しようとするのであり、こういった人はMBAの有無に関わらず、それ以外の人たちより高い収入を得られる可能性は高い。
二つ目は、MBAの取得には2年かかるという点。
MBAを取得するために授業料と、働いていれば得られたはずの給料をうまく投資に使えば、MBA取得による追加収入を上まわる額を手に入れられたかもしれない。と述べている。
三つ目は、30年といった長い期間の収入を見積もるなど、ばかげている点。
30年後の世界がどうなっているかなど、誰も知ることができない。
四つ目は、選択肢がMBAを取るか取らないかだけではないという点。
もしかしたら、MBAよりずっと安価で、同じくらいキャリアにプラスになるプログラムがあるかもしれない。
この四つ目が特に私にとっての学びだった。
選択をするときに大事なことは、「次善の選択肢」と必ず比較することだ。と述べている。
MBAの例で言ったら、私たちは今ある選択肢 (MBAの取得) と現状 (MBAがない状態) だけを比較してしまいがちだ。だがこの比較の仕方は間違っていて、時間をかけてでも別の選択肢を比べるべきである。
ということに気づかされた。
その他に学びが多かった思考法について下にまとめる。
・「期待」とは慎重に付き合った方がいいわけ 【ローゼンタール効果】
・ハンマーを手にすると、何もかもが釘に見えるわけ 【職業による視点の偏り】
・チェックリストに頼りすぎてはいけないわけ 【特徴肯定性効果】
今読んで感じたこと・学びだと思ったことは、時間がたったり立場や考え方が変わったときに読んだら、また違うように感じるかもしれない。
ぜひ、数か月後や、数年後に読み返して、また新たな学びを得たいと思った。