#ネタバレ 映画「いざなぎ暮れた。」
「いざなぎ暮れた。」
2019年作品
ファミリーは大事に
2020/3/20 10:03 by さくらんぼ(修正あり)
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)
もうリタイアしましたが、むかし郵便局の友人から、義理で10年間ぐらい年賀はがきを買ったことがあります(自爆営業か)。
年賀状を卒業する機会をうかがっていた私でしたし、毎年つかう年賀状は、コンビニ等で売っている印刷済みのものでしたから、申し訳ないと思いつつ、郵便局のものは、すべてディスカウントショップへ売りました。
つまり、私には毎年「売却損」が出たわけです。
友人が定年を迎えるまで10年としたら、損失はその10倍になるので、許容額から逆算して、毎年買う枚数を決めていました。
だから、そんなにたくさん買ってあげられない。
しかし、今になって思えば、最低でもその二倍は買ってあげた方が良かったと、思い出すたび胸がチクチクと痛むのです。
きっと、私にすがった友人とて同じでしょう。他の友人・知人、親戚縁者にも営業していたかもしれません。ならば、その人たちの視線の中で、痛む気持ちもあったはずです。
ところで、この映画「いざなぎ暮れた。」は、あろうことか親戚に「オレオレ詐欺」をする男と、それに反対する彼女のお話のようです。
友人・知人、親戚縁者という、いわゆるファミリーは大切にした方が良いです。中国人のように。これは、おじさんになって分かった事の一つ(他人になら「オレオレ詐欺」をしても良いという意味ではありません)。
だから、私のような人見知りは損です。親も子の陰口を親戚縁者の前で言ってはなりません。それは情報操作になり、やがて子どもたちの未来を奪うかもれませんから。
追記 ( 記号化された「日の丸」 )
2020/9/18 9:13 by さくらんぼ
先日、日本を描いたと思われる映画「リトル・ジョー」を観てきました。中には「日の丸」が記号化されてたくさん出ていました(詳細については、あちらのレビューをご覧ください)。
そんな折、本屋さんでもらってきた映画「いざなぎ暮れた。」のチラシを見ていたら、こちらにも「日の丸」があるではありませんか。
チラシの両面に太陽があるだけでなく、男の白いネクタイに赤くて丸いタイピン、それに赤いマフラー。
女が着ている白いコートと、下に着ている白地に赤い柄の服。
そして、タイトルに出てくる「いざなぎ」とは「日本神話に登場する男神」のことです。
(映画をまだ観ていませんが)あらすじは「崖っぷちの男が実の親戚にオレオレ詐欺をする」ものらしいです。
あの男が日本の記号だとしたら、実の親戚にオレオレ詐欺をするというのは、政府が国民に国債を買わせるという事なのでしょうか。
この映画は日本の将来に夢や希望を持てないといわれる、今の若者の閉塞感を描いていたのでしょうか。
追記Ⅱ ( タイトル )
2020/9/18 10:01 by さくらんぼ
「 2020年1月時点でモナコ国際映画祭など12ヶ国26以上の映画祭に入選を確定、既にベスト作品賞2つを含む10タイトルを受賞、」
( チラシより抜粋 )
追記Ⅲ ( カッコ良いって、なんてカッコ悪いんだろう )
2020/9/21 21:54 by さくらんぼ
やっと観てきました。
そんなにコミカルではありません。
見た目と違って、ヤクザっぽい男はなかなか良い奴です。
女はもっと真っ当です。
人は見かけで判断してはいけませんね。
この作品、意識的にB級ロードムービーをねらっているようですが、終盤には純文学の風がひと吹きするのです。
志が高い。
そして舞台が日本の祭り。
そこらあたりが外国で好評だった味なのでしょう。
日本人にも、じわっと感動です。
老若男女にどうぞ。
★★★★
追記Ⅳ ( 人生を変えるパスワード )
2020/9/22 10:09 by さくらんぼ
「 旅の本当の目的を隠していた。…それは、実の親戚に“オレオレ詐欺”をすること。 」 ( チラシより抜粋 )
しかし、映画の中に私たちが知っている「オレオレ詐欺」は出てきません。
借金のある男(毎熊克哉さん)は、女(武田梨奈さん)と結婚するなどと、嘘とも本当ともつかない話をして(女が惚れていることは間違いなさそうでしたが)、親戚の老女から祝い金をもらおうとしたのです。さらに、順調にいけば祝い金は友人知人からももらえる可能性がありますね。
でも、結婚が嘘だとしたら、これも広義のオレオレ詐欺でしょうか。結婚詐欺にもなりかねません。
しかし、老女とのやり取りはそんなにあくどいものではなく、むしろ、「おやっ」と思うほどイメージ的には普通に近いものでした。
そんなこんなで50万円ぐらいのおカネがもらえることになった男は、さっそく郵便局のATMで下ろそうとしますが「暗証番号」が分かりません。早くしないと借金返済のタイムリミットが来てしまいます。
「暗証番号」を推理して、しばらくすったもんだのドラマがあるのですが、私はこの「暗証番号」が主題の可能性があるのでは、と思いました。
人生の扉を開くとき、進路を決めるとき、物事を決断する時などは、「誰かの一言」「何かの出来事」に教えられたり、背中を押されることがあります。
小説「最後の一葉」の「一枚の葉っぱ」や、「レ・ミゼラブル」の「銀の燭台と神父の言葉」もそうです。あっ、プロポーズの言葉もそうですね。
あれらも広義の「暗証番号」なのかもしれません。
この映画「いざなぎ暮れた。」は、(人の心を動かす)そんな人生の「暗証番号」で、進路を変えられていく人たちが描かれていたのかもしれません。
追記Ⅴ ( ダッジ・チャレンジャー )
2020/9/22 10:29 by さくらんぼ
「 ダッジ・チャレンジャー
アメリカのマッスルカー。米国伝統の大排気量V8エンジンを心臓に持ち、大きなトルクで地を這う姿が印象的なこの作品の裏の主役。かつてこの車の先代が、映画『バニシング・ポイント』で“消失点”を目指して疾走していた姿を覚えている映画ファンは多いだろう。 」
( 映画「いざなぎ暮れた。」公式HP より抜粋 )
男は本物にすがりつきたくてこのスポーツカーに乗っていました。しかし、借金の方に取られそうになって、大慌てでオレオレ詐欺を決行しようとしたのです。
しかし、映画のラストには農作業などによく用いられる軽トラックに乗り換えます。
クルマを取られたこともありましょうが、この旅で、男の中に価値観の転換も起こったようです。
追記Ⅵ ( 映画「バニシング・ポイント」 )
2020/9/22 10:38 by さくらんぼ
>「 ダッジ・チャレンジャー
>アメリカのマッスルカー。米国伝統の大排気量V8エンジンを心臓に持ち、大きなトルクで地を這う姿が印象的なこの作品の裏の主役。かつてこの車の先代が、映画『バニシング・ポイント』で“消失点”を目指して疾走していた姿を覚えている映画ファンは多いだろう 」(追記Ⅴより)
この映画「いざなぎ暮れた。」は、映画「バニシング・ポイント」へのオマージュの可能性があります。
ラストをハッピーエンドにした。
追記Ⅶ ( 映画「バニシング・ポイント」② )
2020/9/22 14:28 by さくらんぼ
( 映画「バニシング・ポイント」のネタバレにも触れています。 )
『 1970年代のアメリカ合衆国で、新車の陸送を仕事としている男コワルスキーは、請け負った「白の1970年型①ダッジ・チャレンジャー」の陸送で、翌日の②午後3時までの15時間でコロラド州デンバーからサンフランシスコまで到着させるという賭けをすることになった。
途中、スピード違反で警察に追いかけられ、派手に騒ぎを起こして振り切ったことを地方ラジオ局の盲目の黒人DJ・スーパー・ソウルに放送されたこともあって、他愛のない賭けは思わぬ大騒動へと発展する。③かつては海兵隊隊員であり、レースドライバーであり、警官であったこともあり、そして④愛する女を失った男であるコワルスキーは、数々の障害が降りかかろうと、道々に追跡してくる警察を蹴散らし、ただひたすら車を走らせ続ける。
そんな彼に対して、スーパー・ソウルを始め、共感するものたちの輪が広がっていき、ある者は協力し、またある者は声援を送った。⑤その有様を苦々しく思う警察は、威信にかけてコワルスキーを止めようと異常なまでの検問をひく。しかし、コワルスキーは自らの⑥消失点(バニシング・ポイント)に向かうかのように、アクセルを踏み続けるのだった。 』
( ウィキペディア映画「バニシング・ポイント」ストーリーより。 ただし文中の①~⑥の数字は私が記入しました。 )
直感で映画「バニシング・ポイント」 へのオマージュかとも、思いましたが、具体的なポイントを挙げてみます。
① の自動車名は同じですね。
② のタイムリミット午後3時も同じです。それも、最初は午後0時でしたが、約束を守れなくて午後3時に変更になっています。(陸送)旅の時間は正確に覚えていませんが10時間以上だったと思います。
③ 男は複雑な家庭環境であり、仕事も複数の経験がありそうです。
④ いったんは女と喧嘩別れします。
⑤ 義理の弟とその仲間たちは、力づくて金を奪い返そうとし、男も追い出そうとします。
⑥ 最後に待っていたのは価値観の転換です。勝負に負けた男は生まれ変わったように別の人生をスタートさせ、ダッジ・チャレンジャーも消失(借金のカタに)します。
昔観た映画なので良く覚えていませんが,さがせばもっとあるのでしょう。
追記Ⅷ ( 順法運転 )
2020/9/22 14:58 by さくらんぼ
書き忘れましたが、
映画「いざなぎ暮れた。」に、
カーアクションはまったくありません。
追記Ⅸ ( 映画「バニシング・ポイント」③ )
2020/9/22 16:29 by さくらんぼ
映画「いざなぎ暮れた。」の最初には、何秒かの黒いスクリーンがあり、炎が燃え上がるような雰囲気に近い音がしたのです。
かつて映画「マディソン郡の橋」を封切りで観に行った時、バイクのエンジン音のようなノイズが最初から30分前後も続き、「そういう演出か」と誤解したこともあります。TVで観直して「映写事故」だったと気づきましたが、そんな経験があったものですから、また「映写事故?」と思いました。
しかし、映画「いざなぎ暮れた。」の終わりにも、やはり黒いスクリーンと炎の燃え上がる音が入っていたので、「そういう演出かも」と思い直しましたが、それっきり忘れていました。
しかし、映画「バニシング・ポイント」 へのオマージュなら理解できました。
映画「バニシング・ポイント」 では、消滅点に到達した時、印象的な大きな炎が上がったからです。
映画「いざなぎ暮れた。」の炎の音は、そのダメ押し的記号だったのでしょう。
追記Ⅹ ( 毎熊克哉さん )
2021/1/11 22:18 by さくらんぼ
2021年1月7日に放送されたドラマスペシャル「黒革の手帖~拐帯行~」を録画して観ていますが、どこか懐かしい人が出てきたと思ったら、映画「いざなぎ暮れた」の主人公・毎熊克哉さんでした。
映画「いざなぎ暮れた」では、「悪事を計画しても悪人になり切れない男」を好演されていました。毎熊克哉さんも共演されていることで、このドラマへの期待が高まりました。
追記11 2022.5.2 ( お借りした画像は )
「日本」で検索してご縁がありました。美しく楽しい雰囲気。無加工です。ありがとうございました。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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