#ネタバレ TV・朝ドラ「まれ」に見るハイブリッド
( これは映画「フード・ラック!食運」追記の加筆再掲です。引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
追記Ⅸ
2021/2/5 9:36 by さくらんぼ
「ヒナは最初に見たものと親だと思う」。高卒で公務員になったヒロインの人生観は公務員色に染まった
土屋太鳳さんと言えば、NHK朝ドラ女優としても有名ですね。「まれ」(2015年)にヒロインとして出ておられました。
「まれ」は公務員から民間へ転職するお話です。
「ヒナは最初に見たものと親だと思う」とか申しますが、高校を卒業してすぐ公務員になった、18歳のヒロイン・希にとっての世間とは、この世の価値観とは、公務員のそれになったはずです。
そこで仕込まれた公務員のイロハは、そこを去った後も、無意識に希の人生観の幹になっている可能性があります。
夢ではなく安定を求めて市役所職員になった希は、やがて本当にやりたい夢であったケーキ職人へ転職します。しかし、彼女は(師匠みたいな)唯我独尊の尖がったアーティストを目指しながらも、師匠とは違って、まだ無意識に周囲の調整役を続けており、公務員魂も捨てていないことが伺えます。ハイブリッドです。
しかし、皆が「まれ」のように器用だとは限りません。健さんみたいに不器用な人間もいるのです。
だからと言って、刷り込まれた最初の親を捨てるのも容易ではありません。親は、仮に老いさらばえたとしても、尊い親であることに変わりはないのです。
しかし、まとっている空気感が違うと、「みにくいアヒルの子」ではありませんが、周囲から浮いてしまい、疎外感(さみしさ)を感じるだけでなく、最悪いじめに遭うことも有りえると思います。
追記
ヒロインが公務員からケーキ職人に転職したのは、ハイブリッドを表現するためのワンピースだった可能性が
ちなみに「まれ」、私は面白かったですが、登場人物の行動に一貫性がないとか、リアルではないとか、言われてもいたそうですね。
しかし、すでに皆さんお気づきでしょうが、ヒロインが市役所職員からケーキ職人に転職したのと同様、多くはハイブリッドを表現するためのワンピースだった可能性があります。構造的に言えばそれが定石ですから。
追記2
ヒロインがいきなりケーキ職人になれば、師匠を世間のスタンダードと盲信したかも、しかし課長を知っているので、無意識に二人を比較したはず
「まれ」のヒロイン・稀が市役所職員時代の課長は厳しい人でした。
ケーキ職人時代の師匠も厳しい人です。
二人の上司はともに良い人ですが、厳しさの質は違うようです。
細部を忘れたのでいけませんが、ざっくり言うと、課長は大人っぽく、師匠は子どもっぽい印象を持ちました。
稀がいきなりケーキ職人になれば、師匠を世間のスタンダードと盲信したかもしれませんが、課長を知っている稀は、無意識に二人の上司を比較したはずで、以後、覚めた目で師匠を観察していた可能性があります。
追記Ⅲ 2022.5.9
仕事が人をつくる。 二つの価値観を教え込まれたヒロインは、無意識に両方を目指していたのか
二人の上司について、もう少しお話します。
誤解の無いよう申し上げますが、私は職人と課長に人格の上下があると言っているのではありません。
例外もありましょうが、唯我独尊で一生かけて一つ道を究める職人(アーティスト)と、黒子になり数年ごとに係を異動しながら(住民の奉仕者)になる公務員との、できあがってくる人生観の違いを申し上げているのです。
抗しがたい自然相手の農業従事者のような人と、人を相手に「生き馬の目を抜く」ような世界を生きている人も、長い年月の間には、違ってくることがあると思います。
そして、若くして二つの価値観を教え込まれたまれは、無意識に両方を目指していたようです。
追記Ⅴ 2022.9.2
お借りした画像はシンプルでもみずみずしいイチゴケーキ
キーワード「ケーキ」でご縁がありました。シンプルでもみずみずしいイチゴケーキですね。無加工です。ありがとうございました。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)
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