#ネタバレ 映画「ちょんまげぷりん」
「ちょんまげぷりん」
2010年作品
自分の井戸を掘る
2010/8/13 10:48 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)
180年前からやってきた侍の安兵衛は、シングルマザーである、ひろ子、の家に居候することになります。
しかし、そこで驚くほどの適応力を発揮し、一流の家事振りを見せるのでした。
安兵衛としたら、ごくあたり前に役目をこなしただけなのでしょう。何事にも命をかける、純すぎる侍ですから。
しかし、「家事などというものは、所詮レンジでチンするがごとく簡単に済ますもの、それより外の仕事をしなくちゃ」と思っていたひろ子は、大いに驚きました。
さらに、お菓子作りを完璧にこなした安兵衛を、友人はコンテストにまで出場させてしまうのでした。
どうやら、ここら辺りにこの映画で言いたいことが有る様な気がします。
昔からの人生訓で「自分の井戸を掘るべし」とか申します。
自分の仕事がつまらないとか、自分の環境が恵まれないとか言って、やたら他所へ出て行こうとする人を戒める言葉だと思いますが、この映画は、家事や子育てに殉じるのではなく、外で働きたいと願う女性たちに、お説教をする物語だったのでしょうか。
もっと他に主題があるのではないかと思い、しばらく考えてみましたが、私の頭では思い浮かびませんでした。
現代人が同様な女性批判をすれば時代錯誤だと大ブーイングになるのでしょうが、さすがに180年前の若くてカッコよいお侍さんが言えば、女性もすなおに傾聴するのでしょう。
劇場は空いているだろうと思って、気楽に行ったら、どうして、どうして、若い女性客で満員でした。窓口では販売していないポスターまで欲しいと申し出ている女性客もいました。
大人気の安兵衛さんは、お地蔵さんの前で泉(井戸)から現れ、泉(井戸)に消えていきました。
侍の描写が真面目に描かれていて好感が持てました。もう一回観ても良いかも知れません。
★★★★☆
追記 ( わが子をサムライにする方法 )
2019/7/24 16:55 by さくらんぼ
映画「哲人王~李登輝対話篇~」を観たら、
ふと、この映画「ちょんまげぷりん」を思い出しました。
終わり近くに子どもの宣言がありますから。
追記Ⅱ 2023.2.24 ( 「主夫」という生き方もある )
予告編を観なおしてみたら、違う世界が見えてきました。
自分で書いておいてなんですが、ヒロインはシングルマザーでしたね。
働いている夫がいて給料を入れてくれ、普通に生活できるのに、自分も働きに出たいというのとは違います。
シングルマザーは働かないと生活が出来ません。選択の余地が無いのです。
しかも、ヒロインは正社員で重要な仕事を任されているようでした。
この女に罪はない。
ならば、この作品は男(侍)の方に重要な意味を持たせているようです。
「男(侍)には主夫という選択肢もある」と謳っていたのではないでしょうか。
男女同権、選択的夫婦別姓の時代に、主婦だけでなく、主夫はどうですかと問いかけていたのかもしれません。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)