#ネタバレ 映画「パーマネント・バケーション」

「パーマネント・バケーション」
1980年作品
映画「愛と青春の旅だち」を連想
2021/10/15 11:51 by さくらんぼ　（修正あり）

（　引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。）

後で知ったのですが、これは監督の大学院での卒業制作のようです。

カラー作品ですから観やすいですし、（失礼ながら）ちゃんと監督のカラーも出ています。

私はこの手の卒業作品は観たことがありませんが、充分に完成度が高く、資料を読むまで気がつきませんでした。

ちょっと映画「愛と青春の旅だち」を連想しました。ただし、映画「パーマネント・バケーション」は、家の中の悶々とした苦悩に焦点が当たっています。あちらでは冒頭に語られただけの。

★★★★

追記 （ 映画「愛と青春の旅だち」を連想 ） 
2021/10/17 6:30 by さくらんぼ

最近も新居をニューヨークに構えようとする方がいらっしゃいますので、行ったことの無い私はきれいな街だと思っていました。しかし、この映画を観る限り、１９８０年当時のニューヨークの下町というのは、汚い場所だったようです。

ゴミが道路に、シールのように張り付いているのです。それも沢山。掃除されないままタイヤに潰されて、ヘラでも持ってこないと剥がせないようになってしまったのでしょう。そして当局には、もうその気力も無いように感じました。

ビルも空爆が行われた後のように、壊れているところが多い印象でした。

映画の主題を描くために、そのような場所を選んで回ったのかもしれませんが、あのような映像を見せられると、街も荒廃し、人々とも心が通わない、（失礼ながら）それこそ誰もいない埋め立て処分場のような街から、一刻も早く旅立ちたいと思う主人公の気持ちは、分かるような気がしました。

エンドロールに映るフェリーから見た遠ざかるニューヨーク。あれは主人公の心象風景でしょう。いつのまにか、私は主人公になっていました。

追記Ⅱ （ 「酢昆布」と「キャラメル」が友だった映画館 ） 
2021/10/17 7:00 by さくらんぼ

主人公が映画館の売店に行くシーンがあります。机ひとつほどの小さな売店で、幼い頃に初めて行った近所の映画館を思い出しました。あのような小さな売店、（ポップコーン以外の商品が）ミカン箱一つに入りそうになほど少ないお店は、それだけで懐かしい。

映画の中では、若い女性が一人本を読みながら店番をしています。そこに主人公が現れてポップコーンをワンカップ注文しました。商品を渡すと再び本に没頭する女性。話しかけてみる主人公。

読書をしている人はこちらに攻撃してこないので、安心してそばにいられます。しかも、安心感があると、話しかけたくなるのです。ですから、主人公の気持ちは分かる気がします。でも、映画の彼女は、主人公に興味はないので、あまり乗り気ではありません。なんとなく疎外感を感じる主人公でした。

似たよう小さな売店があった映画館には、幼い頃、両親につられれてチャンバラ映画を観に行きました。しかし、幼子に「おのおのがた…」というセリフが出て来るようなチャンバラはほとんど意味不明であり、映画館に限らず雑談をしてくれない両親にも、意味不明の映画にも疎外感を感じ、闇の中、ほとんど客のいない座席の間を歩き回って、二本立て３時間を過ごしました。

追記Ⅲ　2022.8.8　（　ある「放浪」　）

がらんとした客席を眺め、整然とした席の並びに心地よさを感じ、その心地よい風景を「あの席は楽園かも…」と誤解して、あちらの席、こちらの席と、当時は自由席だったせいもあって、幼子の私は、無邪気に放浪をしていました。

映画館で大人から叱られた記憶は皆無ですが、随分ご迷惑をおかけしたと思います。ごめんなさい。

追記Ⅳ　2022.8.8　（　時間泥棒　）

デートで映画館に行くときは、夕方、まだ明るい時間帯が良いそうです。明るい時間に映画館に入り、出てくると夜になっている。そうすると、「私はこの人と、こんなに長い時間、一緒にすごしたんだわ。。。」と、運命的なものをより強く感じるのだそうです。先日、何かの番組で観ました。

しかし、幼い頃の私は、たいくつな映画館を出るといつも夜になっているので、「あ～あ、楽しい昼間が消えてしまった」と、とても哀しかった記憶があります。かといって、家で留守番をしていて、だんだん暗くなっていく部屋は寂しいものです。だから、いつも私は究極の選択に迷っていました。

追記Ⅴ　2022.8.8　（　お借りした画像は　）

キーワード「ニューヨーク」でご縁がありました。華やかさと寂しさが良いですね。少し上下しました。ありがとうございました。

（　最後までお読みいただき、ありがとうございました。　

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。）

#映画感想文