#ネタバレ 映画「バグダッド・カフェ」
「バグダッド・カフェ」
1987年作品
布教
2002/8/24 9:16 by 未登録ユーザ さくらんぼ （修正あり）
（ 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。）
この作品は映画館で観たのだろうか、はっきりとした記憶が無い。手元にＬＤも有るが、どうして買ったのだろう。その時の事もはっきりと思い出せない。昔、中古で安かったから、ハズミで買ったのかも知れない。
先日、押入れからＬＤプレーヤーを取り出し、テレビにセッティングした時に、久しぶりに観てみた。観たのはこれで2～3回目だと思う。なかなか雰囲気が素晴らしい。
映画は、ドライブ中に男と喧嘩して道端に捨てられた女が、たどりついた荒野のカフェで幸せを見つける話である。
観ると元気になるという映画はほかにも聞いたことが有るが、この映画は間違い無い。決して派手な作品ではない。逆に陰気だと感じる人も中にはおられるかも知れない。しかし、観終わるとなぜか元気が出てくる。手放せない一本になった。
ところで、2～3度観て少し冷静に観察できる様になってくると、疑問が出てきた。それをお話ししようと思う。
一つ目は、なぜカフェの住人達がほとんど黒人で、ヒロインが白人なのかということだ。これは白人による黒人支配を賛美する映画なのか・・いや、そんな事は無いだろう。今時そんなことをしたら世界中から非難を浴びるだけだ。
二つ目は、ヒロインが映画の後半で見せる手品である。唐突に手品が登場し、それが拍手喝さいを浴び、カフェの名物になり客を呼ぶ。そこに少し安易な展開を感じた。
だから、そこからこの映画の深層へ進入を試みたところ、こんな隠し味の物語が浮かび上がった。
「これは、迫害を受けたキリスト教徒が、逃れていった異国の地で、布教をしながら幸せに暮らす話し」である。
最近、何でもキリスト教に結び付けているので、自分でもどうかと思うが、現在、私にはほかには思い浮かばないので、これが正直な感想である。
冒頭、ヒロインと男とのケンカは「迫害」である。
荒野のカフェは「辺境の地」を示す。
黒人たちはキリスト教で「人種差別から救われた人」たちでもあるので、「代表」として登場したのかも知れない。もちろん、他にもキリスト教を受け入れた辺境の民は沢山いると思う。
又、彼らはキリスト教を通じて「新しい文化や生き方」も吸収した。
そしてヒロインが男の荷物しか持っていない事で小さな疑惑が起こるが、これは布教活動をした信徒達が主に「男性」だった事を言いたいのか。
ヒロインの手品はキリストの「奇跡」である。だから唐突なシーンではないのだ。
カフェのアメリカ男がヒロインに求婚するのは、現在のアメリカとキリスト教の「絆」を語っているのか。
そして、この映画がドイツ映画で、ヒロインがドイツ人なのは、ナチスドイツの犯した罪の「贖罪」の意味を込めた映画であるのかも知れない。
私はこの作品に出てくる様な「荒野のカフェ」がなぜか好きだ。
以前、オーストラリアに行った時、今でもまぶたに焼き付いているのは、名所旧跡ではない。路線バスから見た、荒野に「ぽつん」とある、まるで西部劇に出てくる酒場のような建物だった。あれは何だったのだろう。もう一度行く機会が有ればぜひ尋ねてみた行きもするが、思いでは美しいまま定着しておくことが幸せの秘訣かもしれない。
追記 2002/8/26 21:27 by 未登録ユーザさくらんぼ
もしかしたら、私の映画コレクションは、持っていたことを忘れるほど沢山あると思う方も、いらっしゃるかもしれませんね。
でも、違いますよ。両手で抱えられるほどしか有りません。今まで私は映画館至上主義だったからです。そして家では音楽一般を楽しみます。住み分けがハッキリしてました。
映画のコレクションをしようかなと思い始めたのは最近です。中古のＬＤは安いし、ＤＶＤも比較的手に入れ易いからです。
ところで、元気の出る映画の話しですが、同じ元気が出るというのも、心の元気度が「0 → ＋10」へ動くのも元気が出ると言いますが、「－10 → 0」へ動くのもそう言います。今回、私が言うのは後者です。ちなみに映画「バグダッド・カフェ」も後者だと思います。
おじさんの心象風景はいつも「せつない」のです（笑）。
追記Ⅱ 2022.10.1 （ お借りした画像は ）
キーワード「カフェ」でご縁がありました。コーヒーとケーキのたたずまいも良ければ、背景のグラデーションも良いですね。少し上下しました。ありがとうございました。
（ 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。）