#ネタバレ 映画「パラレル・マザーズ」
「パラレル・マザーズ」
2021年 スペイン・フランス合作
2022.11.7
( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)
これは病院での「子どもの取り違え」の話です。
しかし、それが本題ではないのかもしれません。
同時に語られているのは、1930年代に起きた「スペイン内戦」で犠牲になった、10万人~20万人の行方不明者の遺骨発掘の話です。
私は「スペイン内戦」には詳しくありませんが、遺骨を発掘して親族のもとへ返し、墓を建てて葬りたいという話でしょうか。
ちなみに、同じかどうかは分かりませんが、現在のウクライナでは、ロシアが(隠ぺいのために)埋めた遺体を掘り出し、埋葬しなおしているようです。
とかく戦争犠牲者はその他大勢で語られがちですが、子どもの取り違えを通して(取り違えたまま片方の赤ちゃんは亡くなっていた)、一人の人間として見ること、本当の家に(母に)帰して弔うことの必要性を語っていたのかもしれません。
なかなか楽しめる一作ではありましたが、発掘作業を入れた事での影響か、もともと西洋映画だからしかたないのか、私には「子どもの取り違え」部分の、狂おしいはずの情念が、少し淡白に感じました。
追記 2022.11.7 ( お借りした画像は )
キーワード「母」でご縁がありました。この枠には半分しか入らないのが残念です。上の方にもきれいな花がいっぱい。少し上下しました。ありがとうございました。
追記Ⅱ 2022.11.7 ( 邦画の二本と比較してみる )
子どもの取り違えを、主に父の視点で描いた作品には、映画「そして父になる」がありました。
こちらは誘拐ですが、主に子どもの視点で描いたものには、映画「八日目の蝉」がありました。
どちらも映画「パラレル・マザーズ」に勝るとも劣らぬ良作だと思います。
特に、映画「八日目の蝉」の子供の心情描写はすごいものでした。
映画「パラレル・マザーズ」に出てくる子供は、乳飲み子というより、幼稚園児を連想させる子どもでした。だから、いきなり「本当のお母さんはあっちの人よ」と言っても、機械的に納得するとは思えないのに、(私が記憶している限り)グズル描写は皆無だったのです。
でも、遺骨発掘、つまり死んだほうの赤ちゃんに焦点が当たっているとしたら、もしかしたら、生きている方の赤ちゃんは(表現は適当でないかもしれませんが)添え物だったのかもしれません。沈黙している死者とのバランス上からも、(帰還を喜ぶことがあっても)グズらせることは出来なかったのかもしれません。
追記Ⅲ 2022.11.7 ( LGBTQ )
二人の未婚の母は、やがて体の関係にもなります。
だから、バイセクシャルのようにも見えます。
そして片方が、他方の男の恋人に嫉妬して…
これも主題を補完する同類のワンピースのようです。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)