#ネタバレ 映画「泣く子はいねぇが」
「泣く子はいねぇが」
2020年作品
大人の事情
2020/11/29 15:24 by さくらんぼ(修正あり)
( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)
なかなか上映開始時刻が合わなかったのですが、今日は朝一で観てきました。
映画「いざなぎ暮れた。」みたいな作風も感じますが、もう少し硬派で純文学な作品ですね。
そして、主人公・たすく(仲野太賀さん)が、妻から離婚を言い渡されるほどのダメ男という設定なのですが、「えっ、どこが?」と言いたくなるほどの微妙さ加減で描かれているのです。
彼がダメなら、きっと私もダメです。
ですから、妻・ことね(吉岡里帆さん)が冷ややかな視線とともに夫に放つ口癖「君は」が私にも刺さりました。私の知る限り、あれほどおっかない吉岡さんは初めてです。
しかし、ラストシーンは良かったですね。
少し泣けました。
★★★★
追記 ( 蜂の一刺し )
2020/11/30 8:53 by さくらんぼ
>ですから、妻・ことね(吉岡里帆さん)が冷ややかな視線とともに夫に放つ口癖「君は」が私にも刺さりました。私の知る限り、あれほどおっかない吉岡さんは初めてです。(本文より)
そして、吉岡里帆さんはほとんど出てきません。感じとしては2割ぐらいでしょうか。あとは仲野太賀さん中心です。
ですから、写真集に出て来るような可愛い吉岡さんを期待して行くと、あてが外れます。
いや、一か所だけそんな吉岡さんがいました。
主人公・たすく(仲野太賀さん)は離婚後は娘にも会わせてもらえないのです。でも、幼稚園の催事で舞台に立つという情報を得て、こっそり観に行くのですね。その時、客席に元の妻・ことね(吉岡里帆さん)が新しい男と笑顔いっぱいで観ているのを見つけるのです。。
追記Ⅱ ( 「(子供が生まれたから)離婚します」 )
2020/11/30 9:09 by さくらんぼ
なぜ、あの夫婦は離婚に至ったのか。
映画ではほとんど描かれていませんので想像するしかありませんが、女心のわからぬ私には、なかかな手の届かないところです。
しかし、赤ちゃんが生まれたタイミングで離婚を切り出し、以後、子どもにも会わせないというスタイル(「父親は一人にしたい」という強引な気持ちか)、そして金を稼ぐために水商売をしたり、医療事務の資格を取ったりと、思い切りが良いところは、気弱で優柔不断な夫とは対照的ではありました。
追記Ⅲ ( 映画「卒業」 )
2020/11/30 12:25 by さくらんぼ
映画 「泣く子はいねぇが」のラストからは、
映画「卒業」(1967年)を連想しました。
オマージュかは現時点では分かりません。
それ以前に、映画「泣く子はいねぇが」は、
単純な夫批判だけの作品ではないような予感がします。
追記Ⅳ ( 映画「卒業」② )
2020/11/30 14:41 by さくらんぼ
( 以下、映画「卒業」(1967年)のネタバレにも触れています。 )
一般に、離婚原因は第三者には分からぬとしても、とりあえず、映画の記号から、この作品を解釈してみます。
精神的に父になれない夫は、ある意味子どもの記号だとして、それがナマハゲの日に、酒に酔って、素っ裸で海岸(男女の境界線)を走り回るシーンに凝縮されていたように思います。
妻は子どもが生まれるまでは、(イラつきながらも)その夫を子ども代わりにしていればよかったのかもしれませんが、本物の子供が生まれた以上、双子では負担が大きすぎるわけです。それで(キレて)夫を捨てた。
それでなくとも、子どもが生まれると、妻は育児で忙しく、今までのようには夫にかまっていられないでしょう。夫が疎外感を感じる時期なのかもしれません。
このあたりの「よくある事情!?」が、「離婚」として描かれていたのかもしれませんね。
また、この「父・娘による三角関係」は、映画「卒業」では「母・娘による三角関係」でしたね。
追記Ⅴ ( 映画「卒業」③ )
2020/11/30 15:02 by さくらんぼ
もし、映画「卒業」のオマージュだとしたら、映画「泣く子はいねぇが」のラストで、ナマハゲに扮装した夫を家に入れた妻は、夫を許したのかもしれないと、私は「頭がお花畑」の解釈をしたのです。
子どもにとって実父であるナマハゲを家に入れ、養父になる予定の男の膝に座っている娘との、三角関係の修羅場を許したのです。
あの後、ナマハゲが娘をさらっていけば、妻もついていったかもしれません。
気弱で優柔不断な夫が、妻の前で(今まで聞いたことの無い)ゴジラのような雄叫びを繰り返し上げ、「そこを通せ!」と迫るのです。
それは、娘可愛さのためです。
その父の気持ちを制止することは、母としてできません。
それどころか、「父の雄叫びの中に希望を見つけ」、娘のためにも、もう一度この男とやり直してみようと、そう思ったのかもしれません。
追記Ⅵ ( 「確かじゃないけど 春かもしれない」 )
2020/11/30 15:06 by さくらんぼ
映画のエンドロールに流れる折坂悠太さんの歌が、
「確かじゃないけど あるかもしれない」と聴こえました。
追記Ⅶ ( 大人の事情 )
2020/11/30 20:32 by さくらんぼ
>それどころか、「父の雄叫びの中に希望を見つけ」、娘のためにも、もう一度この男とやり直してみようと、そう思ったのかもしれません。(追記Ⅴより)
そして、これがどこにつながって行くのかと言えば、最終的には「ナマハゲ存続への願い」なのだと思いました。
私は秋田県のナマハゲの事は良く存じませんので、まったくの見当はずれかもしれませんが、映画の解釈をしていくと、時代とともに廃れていく伝統行事を守りたいという、どの世界にも共通のお話だったのだと思いました。
その場合、夫・たすくは、ナマハゲの記号
妻・ことねが、現代社会の記号でしょうか。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)