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短編集『夏秋』の秋パートです。
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#季節感

ハロウィンと娘

ハロウィンと娘

 娘が何やら企んでいるらしい。秋の季節が深まり、そして浮つく世間。夜は長くなり、冷たい風は首筋を撫でるようになった。

 そう、今日はハロウィン。

 子供が、子供らしく、それも男女問わず、好き放題できるそんな季節。
 私の実家が多くの布を取り扱っているという理由もあるのだろう。年を経るごとに、娘のハロウィンへの気持ちは強くなっていく。
 そうは言っても、結局は仮装して騒ぎたいだけなのだろうけれど

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盲目と彩り

盲目と彩り

 さやかの家に向かう途中、ひとりの不思議なオジサンを見つけた。
 そのオジサンは、さやかの家の近くの公園のベンチの横に立っていた。
 色鮮やかに、黄色に、紅色に輝くまわりの風景に溶け込まない不気味さを湛えていた。
 輪郭がぼやけているような、そんな感じがする。美しく輝く風景画に、一点だけ黒い墨を零してしまった。そんなようなたたずまいで私の視界を捉えていた。
 今日は久々にさやかに会おうと思って、こ

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鍵とダンス

鍵とダンス

「ママ……私、やっぱり秋が嫌い」
 ママは驚いていた。ママはママでも母ではない。働いているお店のママ。店長だし、なんなら、一児の父。 

 母は、秋にいなくなった。

「なによ、急に。なに泣いてんのよ」
 店の裏口で、秋風に吹かれて、美味しそうに煙草をふかしていたママがびっくりしている。
 それもそうだ。だって私だってなんで泣いているのか分からないんだから。

 樹々は色づき、空は高く、夕暮れに浮

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