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水着少女が眩しい文化大革命時の青春映画

太陽の少年 4Kレストア完全版(1994年/中国・香港合作/140分)【監督】チアン・ウェン  【キャスト】シア・ユイ,ニン・チン,チアン・ウェン

大人のいない町でギラつく太陽が、少年の恋と青春を狂わせるー。世界中を熱狂させた永遠の青春映画が復活。
1970年代、文化大革命下の北京。国策の下放運動によって青年層の大人たちは農村に送り込まれている。中学生のシャオチュンと幼なじみの悪友たちと町を歩き回る。
ある日、シャオチュンは忍び込んだ家で水着の少女の写真を見つける。その少女が仲間たちの間で話題になっているミーランだとわかると、シャオチュンはミーランを探し出し、暇があれば2人で会うようになっていく。だが、ミーランを仲間たちに紹介すると、シャオチュンの兄貴分のイクーがミーランと接近するようになり、シャオチュンの心を騒いでいく。

文化大革命というと紅衛兵が右傾化した民衆を吊し上げるという政治色が強い時代なのだが、そんな時代でもいつの時代とも変わらぬ青春時代があったという映画か。私小説映画という感じで途中でこれはぼくのフィクションだからという説明が入ったりするのが、メタ・フィクション映画になっている。

文化大革命時だと思わなければ、通常の田舎の不良少年たちをめぐる初恋映画の青春映画であり、それほど特別なものではない。ただ中国だからか不良同志の喧嘩が半端なかったり、年上少女との恋が淡いものだったりするのが、胸キュン!なのだろうかと思うのだが、それは映画の撮り方が中国映画らしくない、当時のニューシネマっぽさがあるのだと思う。

少年たちの日常はいつの時代もどこの世界も変わらないものだが、その変わらなさに監督や原作者に特別な還らざる青春の日々があるのだった。一人の少女を巡る三角関係がよくあるパターンだと思うが、その少女の新鮮さは当時の中国ではいないタイプの積極的なミューズという感じなのが、女性の社会進出の世界的な流れだったのだろうか?

そんなヒロインに惹かれながらも反発してしまう少年の青臭さがかけがえなく、むしろ少女との恋愛よりも少年たちの想い出の方が尊いのかもしれない。それは喪失した北京でのどこでも見られた風景が、やがて徴兵や経済都市のなかで喪失していく。変わらなかったのは竹馬で無邪気に遊ぶ知的障害のある青年だけで、少女もいつしか消えて行くのだった。

中国映画にはない性的な表現やヌードなんかも新鮮な映像だった。ラストのプールの飛び込み台からのシーンは、豊島園の飛び込み台を想い出してしまうぐらいに、ああそういう青春時代はあったよなと共感出来る映画になっている。そこに紅衛兵の姿はなく、悪ガキ供の青春の日々であり、水着少女の眩しさであった。


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