見出し画像

短歌レッスン29

画像1

今日は寺山修司先生ではなく、穂村弘先生です。昨日図書館で借りた『シンジケート』からの短歌です。こうして見ると寺山先生の精神を引き継いでいる感じですね。

『シンジケート』は最初に12ヶ月の短歌が並んでいる。こういう感じの短歌ならできそうな気がする。十月。

押し迫る終わりの序章十月はハロウィンの街 仮装のサイレン  やどかり

今日の十首は『シンジケート』から。12ヶ月短歌。

風の夜初めて火をみるネコの目の君がかぶりを振る十二月
停止中のエスカレーター降りるたび声たててふたり笑う一月
九官鳥しゃべらぬ朝にダイレクトメール凍って届く二月
フーガさえぎってうしろより抱けば黒鍵に指紋光る三月
郵便配達夫(メイルマン)髪整えるくし使いドアのレンズにふくらむ四月
「あなたがたの心はとても邪悪です」と牧師の瞳も素敵な五月
泣きながら試験管振れば紫の水透明に変わる六月
限りなく音よ狂えと朝風の光に音叉投げる七月
プードルの首根っ子押さえれトリミング種痘の痕なき肩よ八月
置き去りにされた眼鏡が砂浜で光の束を見ている九月
錆びてゆく廃車の山のミラーたちにいっせいに空映せ十月
水薬の表面張力ゆれやまず空に電線鳴る十一月

穂村弘『シンジケート』より

やっぱ十月が一番決まってますね。すべての月がいいわけでもないけど、このアイデアが素晴らしい。こういうの真似したくなりますものね。

でも今日は時間がないので「うたの日」のお題に行きます。昨日もどんまいで、2日続けてどんまいだったんで、今日はなんとかしたい。まあ、どんまい十連ちゃんでもいいのかも知れないですけど。今日はお題の言葉は必ず入れるという縛りにします。

「越」
もう十月越境する無職の日仕事始めよりうたの日々

まずまずの出だし?平凡だけど。

「シングル」
シングルの生活長く足冷えるネコも嫌うか臭い靴下

自虐短歌。

「幹」
幹を抱く抱きつくのが幹ならばそれがわが神木人見られ恥ずかし

神木を決めるということを昔やっていたな。

T字路
T字路を右に行くと駅だけど左に行くとまた戻ってくる

人生の教訓的な歌にしたかったが実力不足。

「彩」
近づくな!迷彩服着た女とは繊細には語れぬ過去

いいかも。

「大根」
エコバックおしゃれなきみは葉っぱ付き三日続けて大根料理

いいかも。でも寄り添い過ぎだな。自分の歌ではない。きみをぼくに変えるか。なんか軟弱なイメージ。

リュックから葉っぱはみ出す大根と両手にエコバックぶらさげ

いまいち対象がぼんやり。

「鉄」
延々と鉄道自殺を語るきみどっちの世界かトンネルの中に

最後の「に」が余計なんだよな。一文字の言葉を探しておこう。

「ショック」
「うたの日」の二日続けのどんまいにショックを隠せず今日も歌詠み

これは実感だけど情けを受けそうだから止める。

「声」
留守電の父の声からメッセージ 沈黙を聞き見送る母


修整テキスト『ぼくの短歌ノート』

父の声留守電応答メッセージ遮断音まで見送る母

昨日の映画『3つの鍵』から。

そして「システムへの抵抗」でディズニーランドを受け入れてしまう穂村弘。

システムは悪ではない。それはより安全で便利でより楽しい世界をつくるために我々自身が生み出したものだから。むしろ善。ゆえに、システムは決してなくならない。  
            (穂村弘『ぼくの短歌ノート』)

「美のメカニズム」で葛原妙子の歌が連なる。この「美」は保留して、先に進もう。虚構性に逃れるのはいいと思うのだ。だけどそれは寺山修司の方向性ではないのか?

父の声留守電応答メッセージ遮断音まで見送る母

今日はどんまいではなく♪3つ。でもなんでこれで❤が付かないわけ?幼子の歌が多すぎる。なんかそういう内輪で評価し合う仕組みがあるのかと勘ぐってしまう。

まあ長い間やっていく内に短歌も寄り添って、個より同調圧力に従ってしまうこともあるかなと。それとまだ自分はわからないが、短歌の癖があってそれが好きという人もいると思う。

今日もひたすらレッスンですね。






この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?